第18話 爆乳さん団子を食べる
展望台を後にした俺たちは、茶屋で団子を買うことにした。
ちなみに団子が食べたいと言い出したのは、爆乳さんだ。
「爆乳さん。お昼あれだけ食べたのに、団子食べられるの?」
「団子は別腹」
「バナナは別腹じゃないんだ……」
俺たちは近くのベンチに座り、団子を食べ始める。
俺は団子を食べながら言った。
「この近くには、絶景ブランコと呼ばれるアトラクションなんかもあるんだってさ」
「……絶頂ブランコ?」
「絶景な」
絶頂だと違う意味に捉えられてしまう。
「漆黒さんはブランコ乗りたいの?」
「いや、別に……」
「じゃあ私もいいや」
「………………」
まあ、一人で乗ろうとは思わないよな。
それに爆乳さんは、あれだけロープウェイを怖がっていたんだ。どちらにせよ乗らせない方が良いか。
「爆乳さん。縁結びとかって興味ある?」
「縁結び……?」
爆乳さんは少し逡巡した後、こう答えた。
「……興味ないね」
「ク●ウドかな?」
俺の勝手な偏見だが、女の子は縁結びとかに興味あるものだと思っていた。
爆乳さんはそういうものに興味がないのだろうか。
「でもどうして、そんなことを訊いたの?」
「ここには縁結びの神様なんかが祀られている場所もあって、そこでかわらけ投げを楽しむこともできるんだよ」
「かわらけ投げ?」
俺は簡単にかわらけ投げの説明をする。
「粘土で作った素焼きの皿を的に投げ当てる遊びだよ。見事に皿が的に当たると、良縁に恵まれるんだってさ」
「良縁……」
「どう? やってみる?」
「……やらなくていいかな」
それから爆乳さんは続けて言った。
「良縁なら、もう間に合ってるから」
「……? そっか、間に合ってるんだね」
良縁が間に合ってるってどういう意味だろう。
少し疑問に思ったが、それ以上何かを訊き出そうとは思わなかった。
◆
団子を食べ終えた俺たちは、しばらくの間この辺りを散策して過ごすことにした。
うさぎ神社に参拝し、うさぎの御神体の脚を撫でたり。
やぐらを模した展望台に登り、さっきの展望台から見るのとはまた違った景色を楽しんだり。
パノラマ回廊を歩きながら雑談を楽しんだりもした。
そんなことをしているうちに、時刻は午後3時を過ぎていた。
俺たちは帰りのバスに間に合うよう、駅へ戻らなければならない。
「爆乳さん。そろそろロープウェイ乗り場に戻ろうか」
「うん……」
俺たちはロープウェイ乗り場へと戻る。
俺は一応、爆乳さんに確認した。
「またゴンドラに乗るわけだけど、大丈夫そう?」
「うん、大丈夫だよ。とある秘策を思い付いたから」
「秘策?」
爆乳さんは自信ありげにこう言った。
「目をずっと閉じていれば、高いところでも関係ない……」
「……それ本当に大丈夫か?」
揺れに対しては何の対策にもなってないと思った。
結局のところ。
ゴンドラに乗っている最中に終始目を閉じるという爆乳さんの秘策は、まるで役に立たず。
爆乳さんは再び、生まれたての子鹿のようになっていた。
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