第48話 龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ
弾 ライフ:1 リザーブ:0 トラッシュ:5 手札:7
フィールド
【魔導双神ジェミナイズ:黄・スピリット
コスト7(軽減:黄4):「系統:光導・導魔」:【装甲:赤/紫/青】
コア3:Lv3:BP8000
シンボル:黄+白】
【宝瓶神機アクア・エリシオン:白・スピリット
コスト7(軽減:白4):「系統:光導・武装」:【装甲:赤/紫/青】
コア3:Lv2:BP8000
シンボル:白+白】
【獅機龍神ストライクヴルム・レオ:白・スピリット
コスト8(軽減:白4)+5→13:「系統:光導・神星」:【重装甲:紫/緑/白/黄】【装甲:赤/紫/青】
コア4:Lv3:BP12000+3000→15000
シンボル:白+白】
+
【ホーク・ブレイカー】
ネクサス
【光り輝く大銀河:赤・ネクサス
コスト4(軽減:赤2)
コア2:Lv2
シンボル:赤】
フィーネ ライフ:4 リザーブ:0 トラッシュ:17 手札:3 バースト:あり
フィールド
【プロフェット・ドラゴン:赤・スピリット
コスト2(軽減:赤1):「系統:戦竜」
コア1:Lv1:BP2000
シンボル:赤】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン:赤・スピリット
コスト8(軽減:赤6):「系統:剣使・星竜」
コア1:Lv1:BP7000
シンボル:赤】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
コア3:Lv2:BP10000
シンボル:赤】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
コア4:Lv3:BP15000
シンボル:赤】
【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード:赤・スピリット
コスト8(軽減:赤3):「系統:覇皇・古竜」
コア5:Lv3:BP13000
シンボル:赤】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス:赤・スピリット
コスト9(軽減:赤6):「系統:滅龍」
コア3:Lv2:BP12000
シンボル:赤赤】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア3:Lv2:BP12000
シンボル:赤赤】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア5:Lv3:BP16000
シンボル:赤赤】
【激神皇カタストロフドラゴン:赤・スピリット
コスト10(軽減:赤6):「軽減:虚神・古竜」:【激突】
コア5:Lv2:BP10000
シンボル:赤】
【断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス:赤・スピリット
コスト10(軽減:赤6)+6→16:「系統:滅龍」
コア4:Lv3:BP16000+10000→26000
シンボル:赤+赤赤】
+
【裁きの神剣リ・ジェネシス】
ネクサス
【永遠なる神都:赤・ネクサス
コスト4(軽減:赤2)
コア0:Lv1
シンボル:赤】
【永遠なる神都
コア0:Lv1
シンボル:赤】
【彷徨う天空寺院:赤・ネクサス
コスト5(軽減:赤3)
コア0:Lv1
シンボル:赤赤】
【賢者の樹の実:緑・ネクサス
コスト4(軽減:緑2)
コア3:Lv2
シンボル:緑】
十六ターン目のメインステップ。弾のフィールドにはホーク・ブレイカーと合体したLv3の獅機龍神ストライクヴルム・レオが存在し、他にはLv3の魔導双神ジェミナイズとLv2の宝瓶神機アクア・エリシオンが存在する。アクア・エリシオン、Lv2・3効果により、系統:「光導」を持つ弾のスピリット達全員に装甲:赤/紫/青が与えられており、さらにストライクヴルム・レオ、Lv3合体時効果により、弾のフィールドの十二宮Xレア達には白のシンボル1つが追加されている。そしてネクサスには光り輝く大銀河がLv2で存在し、フィールドの全てのカードが回復状態で存在している。
対する、現在メインステップを行っているフィーネのフィールドにはLv1のプロフェット・ドラゴン、各Lv1、Lv2、Lv3の十剣聖スターブレード・ドラゴン1体ずつ、Lv3の龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード、Lv3が1体、Lv2が2体の滅龍帝ジエンド・ドラゴニス、Lv2の激神皇カタストロフドラゴン、そしてLv3の裁きの神剣リ・ジェネシスと合体した断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスが存在している。ネクサスには永遠なる神都2枚、彷徨う天空寺院1枚がLv1で存在し、賢者の樹の実がLv2で存在している。また、フィーネのフィールドのカードは彷徨う天空寺院のみが疲労し、それ以外のカードがすべて回復状態で存在している。
「ここでジャッジメント・ドラゴニスが出てくるか……!」
その強力なアタック時効果により、エクストラターンを手にする事ができるようになるフィーネ。これから二ターンの間、その猛攻が続くとなれば、流石の弾も危うくなるだろう。
「ジャッジメント・ドラゴニスだけじゃない……フィーネのフィールドには、他にも強力なスピリット達が揃っている」
スターブレード・ドラゴン、ジエンド・ドラゴニス、カタストロフドラゴン、ジーク・ヤマト・フリード。見る者を圧倒するであろうその光景は、絶望として降り注ぐ事となるだろう。
「でも、弾さんなら……!」
「アタックステップ!ジャッジメント・ドラゴニスの効果!アタックステップ開始時、手札の赤のカード1枚を破棄することで、このターンの間、自分のスピリットのBPを+5000!」
【プロフェット・ドラゴン
BP2000+5000→7000】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
BP7000+5000→12000】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
BP10000+5000→15000】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
BP15000+5000→20000】
【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード
BP13000+5000→18000】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
BP12000+5000→17000】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
BP12000+5000→17000】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
BP16000+5000→21000】
【激神皇カタストロフドラゴン
BP10000+5000→15000】
【断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス
BP16000+10000+5000→31000】
フィーネの手札より赤のネクサスカード、永遠なる神都が破棄される。それにより、フィーネのフィールドの全てのスピリットのBPがさらに上昇し、さらに破壊力を高めていく。
「ソード合体スピリットでアタック!ジャッジメント・ドラゴニス、Lv2・3アタック時効果!激突!」
ジャッジメント・ドラゴニスが咆哮を上げ、飛翔する。その身体から赤い波動が放たれ、弾のフィールドを襲うが、その赤い波動を弾き返すようにアクア・エリシオンが両手を合わせ、三つの水流を放って自身、ジェミナイズ、ストライクヴルム・レオの三体にかぶせるとその水流は赤い半透明のバリアへと変わって三体を守る壁となる。
「宝瓶神機アクア・エリシオン、Lv2・3効果!系統:「神星」/「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットすべてに装甲:赤/紫/青を与える!」
「どのみち、このアタックをお前が防がなければならない事に変わりはない!」
残りライフ1の弾は、このアタックをブロックする以外の選択肢はない。ストライクヴルム・レオでブロックしても、そのブロック時効果で上昇するBPは30000止まり。ギリギリ今のジャッジメント・ドラゴニスの方が上だ。
「合体スピリットでブロック!」
ストライクヴルム・レオが雄叫びを上げ、ホーク・ブレイカーより得た翼を広げて飛翔し、ジャッジメント・ドラゴニスを迎撃しようとする。
「ホーク・ブレイカー、合体時効果!ブロック時、バトルしている相手のスピリットのシンボル1つにつき、このスピリットのBPを+5000!よってBP+15000!」
【獅機龍神ストライクヴルム・レオ
BP12000+3000+5000×3→30000】
ストライクヴルム・レオのBPが30000にまで上昇する。ここまではフィーネも予想通り。だが、これでは足りない。フィーネの使役するジャッジメント・ドラゴニスを倒すには、後一歩。
「ああ……!」
「僅かに届かない……!」
「ふん、足掻いたがここまでだ!沈め、獅子座の十二宮Xレアよ!」
ジャッジメント・ドラゴニスの背後に十一の光の剣が次々と出現していく。出現した光の剣が次々とストライクヴルム・レオへと降り注いでいき、それを機動力を高め、空中を縦横無尽に駆け回って避けていき、接近するストライクヴルム・レオ。その翼に光が宿り、威力を高めた斬撃となってジャッジメント・ドラゴニスを斬り裂こうとするが、その翼を両手で掴んで逆に投げ飛ばす。そしてトドメを刺そうと再び十一の光の剣を生み出し、ストライクヴルム・レオにその剣が突き刺さろうとした次の瞬間。弾の背後で輝く大銀河が、一際強く光り輝く。
「!」
「フラッシュタイミング、光り輝く大銀河、Lv2効果!手札の系統:「神星」/「光導」を持つスピリット1体を破棄することで、このバトルの間、自分のスピリット1体をBP+6000し、赤のシンボル1つを追加する!手札の戦神乙女ヴィエルジェを破棄し、合体スピリットにBP+6000!」
【獅機龍神ストライクヴルム・レオ
BP12000+3000+5000×3+6000→36000
シンボル:白+白+赤】
「!?BP36000だと!?」
「弾さんが超えた!!」
光り輝く大銀河の力がストライクヴルム・レオへと降り注ぎ、その力を得たストライクヴルム・レオが咆哮と共に自身へと放たれた光の剣を全て弾き飛ばす。さらにその咆哮はジャッジメント・ドラゴニスの体勢を崩し、そこに向かって飛び出したストライクヴルム・レオは白い光を纏わせた金色の爪をその身体に叩き込み、ジャッジメント・ドラゴニスを破壊する。
「何……だと……!?」
【裁きの神剣リ・ジェネシス:赤・ブレイヴ
コスト6(軽減:赤3):「系統:剣刃」
コア1:Lv1:BP6000
シンボル:赤赤】
ジャッジメント・ドラゴニスと合体した裁きの神剣が宙を舞い、地面に突き刺さる。ジャッジメント・ドラゴニスが返り討ちに遭うとは思わなかった。しかし、ジャッジメント・ドラゴニスのアタック時効果は既に適用されているのだ、少なくとも最大限の役割は果たしたといるだろう。
「激神皇カタストロフドラゴンでアタック!」
カタストロフドラゴンが咆哮と共に飛び出す。そのアタック時効果の激突は今度もアクア・エリシオンによって阻まれることで弾はブロックをするかしないかを自由に選択することは可能だ。しかし、そのライフを守るにはブロックするしかない。そして弾が選択した答えは。
「フラッシュタイミング!マジック、デルタバリア!不足コストは、ネクサスより確保!」
【光り輝く大銀河
コア2→0:Lv2→1】
弾の目の前で描かれる逆三角形のバリア。各頂点が光り輝く球体となったその光のバリアは、迫るカタストロフドラゴンを受け止め、逆に弾き返して吹き飛ばす。
「このターンの間、相手のスピリット/マジックの効果と、コスト4以上の相手のスピリットのアタックでは、自分のライフは0にならない!このアタックはライフで受ける!」
「く……!エンドステップ!賢者の樹の実、Lv2効果により、疲労した自分のスピリットすべてを回復させる!」
この状況ではプロフェット・ドラゴンしかライフを狙えない。しかし、アタックしたところでBP8000のジェミナイズらに防がれるのは目に見えている。わざわざ目に見えた結果を踏みに行く必要はない。そしてターンが終了し、さらにフィーネのターンが訪れる。
「だが、ジャッジメント・ドラゴニス、Lv3アタック時効果は既に適用されている!自分のターン終了後、再び自分のターンを行う!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ」
フィーネのリフレッシュステップ時、回復する筈の彷徨う天空寺院は回復しない。アクア・エリシオンが存在する限り、ネクサスはリフレッシュステップで回復しないのだ。
「メインステップ。Lv1とLv2の十剣聖スターブレード・ドラゴン、Lv2の滅龍帝ジエンド・ドラゴニスをLv3とLv4に、龍の覇王ジーク・ヤマト・フリードをLv4に、激神皇カタストロフドラゴンをLv3にアップ!」
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
コア1→4:Lv1→3:BP7000→15000】
【十剣聖スターブレード・ドラゴン
コア3→4:Lv2→3:BP10000→15000】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア3→8:Lv2→4:BP12000→20000】
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア3→5:Lv2→3:BP12000→16000】
【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード
コア5→8:Lv3→4:BP13000→20000】
【激神皇カタストロフドラゴン
コア5→10:Lv2→3:BP10000→20000】
今の自分にこれ以上の展開は不要だと言いたいのだろう。フィーネは使えるコアをばら撒いて自分のスピリット達のLvを上昇させ、それを用いて弾を倒しにかかる。
「最後に永遠なる神都をLv2にアップ!」
【永遠なる神都
コア0→2:Lv1→2】
アタックステップ、自分のコスト8以上のスピリットすべてに激突を与える効果を得たネクサス、永遠なる神都。装甲:赤のある今、その効果は無意味ではあるが、アクア・エリシオンが消えればその効果は有効となるため、残しておいたのだろう。
「アタックステップ!Lv4の滅龍帝ジエンド・ドラゴニスでアタック!」
「宝瓶神機アクア・エリシオンでブロック!」
遂にアクア・エリシオンを動かしブロックを宣言する。これでアクア・エリシオンが消えればフィーネは装甲:赤の消えた十二宮Xレアを狙い撃ちにできる。だが、
「フラッシュタイミング!マジック、サイレントロックを使用!合体していないスピリットのバトルが終了したとき、アタックステップを終了する!」
「三枚目のサイレントロックだと!?」
ジエンド・ドラゴニスの角から放たれた雷鳴がアクア・エリシオンを貫き、吹き飛ばす。しかし、アクア・エリシオンの破壊と同時にサイレントロックの効果が起動し、フィーネのアタックステップが終了することとなる。
「く……!?」
「し、凌いだ!!」
「よし……エクストラターンを防げたのは大きい!」
「エンドステップ!賢者の樹の実の効果でジエンド・ドラゴニスを回復させる!ターンエンドだ!」
「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。マジック、リバイヴドローを使用。トラッシュのスピリットカード、戦神乙女ヴィエルジェを手札に加える」
弾の手札へと戻っていくヴィエルジェ。そして、マジックが使用された事により、弾のフィールドのジェミナイズがその輝きを放つ。
「魔導双神ジェミナイズ、Lv2・3効果!自分がコストを支払ってマジックを使用したことで、手札からノーコストでマジックを使用する!ブレイヴドローを使用!デッキから2枚ドローし、デッキを上から3枚オープン!」
武槍鳥スピニード・ハヤト、太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、トレス・ベルーガ。三枚のカードがオープンされ、ブレイヴカードであるトレス・ベルーガが弾の手札へと加わる。そして、残った二枚は武槍鳥スピニード・ハヤト、ライジング・アポロドラゴンの順番でデッキの上へと戻していく。
「光り輝く大銀河の効果により、手札の系統:「光導」を持つスピリットのコストを5にする!三度降臨せよ、乙女座の神よ!戦神乙女ヴィエルジェ、Lv2で召喚!」
【戦神乙女ヴィエルジェ:黄・スピリット
コスト6(軽減:黄3):「系統:光導・天霊」
コア2:Lv2:BP6000
シンボル:黄】
天に再度出現する乙女座から現れる、靡く綺麗な金髪が印象的な六枚の翼を羽ばたかせる乙女。花の装飾を取り付けた杖を握る可憐な女性は、召喚と共に弾のライフに再び光を与えていく。
「召喚時効果により、自分のライフが5以下であるとき、ボイドからコア1個を自分のライフに置く。さらに、ジェミナイズの効果!系統:「神星」/「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットが手札から召喚されたことでデッキを1枚オープン、それがスピリットかブレイヴならばノーコストで召喚する!」
「今、弾さんのデッキの上は!」
弾のデッキの上から、ブレイヴドローによって並び変えられたライジング・アポロドラゴンのカードがオープンされる。そのカードを手に、弾はライジングを呼び出す。
「駆け上がれ!神の名を持つ赤き龍!太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、Lv2で召喚!不足コストは、ジェミナイズより確保!」
【魔導双神ジェミナイズ
コア3→2:Lv3→2:BP8000→6000】
【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン:赤・スピリット
コスト7(軽減:赤3):「系統:神星・星竜」
コア3:Lv2:BP9000
シンボル:赤】
弾の目の前。フィールドの上空で真っ赤に燃える太陽が出現し、大地を熱していく。その熱は地中の中に眠るその龍を呼び起こし、激しい風圧が吹き荒れると共に地面が砕け散る。砕けた地面から出現する、太陽のように赤く燃える紅蓮の身体。膝、両肩、胸、頭に埋め込まれた光り輝く翠色の宝石。金色の装甲が全身を包み、空へと金色の翼を広げ、太陽神龍は太陽の炎を払い、降臨する。
「さらに、イグア・バギーを召喚!不足コストは、合体スピリットより確保し、Lv2!」
【獅機龍神ストライクヴルム・レオ
コア4→2:Lv3→2:BP12000→9000+3000→15000】
【イグア・バギー:白(赤)・スピリット
コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」
コア2:Lv2:BP3000
シンボル:白(赤)】
緑色の車体を持つ四輪バギーが出現する。このスピリットの召喚により、再びジェミナイズの効果が起動、弾のデッキトップに存在するブレイヴ、武槍鳥スピニード・ハヤトがオープンされる。
「ジェミナイズの効果によりブレイヴ、武槍鳥スピニード・ハヤトを召喚!不足コストはイグア・バギーより確保する!」
【イグア・バギー
コア2→0】
【武槍鳥スピニード・ハヤト:緑・ブレイヴ
コスト5(軽減:緑2・赤2):「系統:爪鳥」
コア2:Lv1:BP5000
シンボル:緑】
ジェミナイズに呼ばれ、出現する茶色い翼を広げる巨大な鷲。その翼には翠色の装飾に包まれた爪が確認でき爪はそれぞれが刃となっている。その顔や頭は翠色の兜で覆われ、尾は剣、槍、刀、刺す叉などの武器となって枝分かれしている。
「太陽神龍ライジング・アポロドラゴンに武槍鳥スピニード・ハヤトを合体!」
【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン:赤+緑
コスト7+5→12
コア3→5:Lv2→3:BP9000→11000+5000→16000
シンボル:赤+緑】
スピニード・ハヤトが空へ舞い上がる。その下から翼を広げ、飛翔した太陽神龍がスピニード・ハヤトと並列になるように飛び、太陽神龍の背中とスピニード・ハヤトの身体が重なった瞬間、フィールド全域を染め上げる激しい緑の閃光が溢れる。太陽神龍の金色の装甲にはさらに緑の装甲が追加され、胸、両肩、両腕を新たに緑の装甲が覆っていく。その身体は茶色に近い赤色へと染まり、身体の緑の宝石は全てが明るい緑色に光り輝く。その翼はスピニード・ハヤトの翼がドラゴンの翼のサイズにまで巨大化したものとなり、無数の武器となった尾羽が空へと向けられる。
「バーストをセットし、アタックステップ!武槍鳥スピニード・ハヤト、合体時効果により赤を指定!翔けろ、ライジング!裁きの神剣リ・ジェネシスに指定アタック!」
ライジング・アポロドラゴンが翼を広げて飛翔する。そしてその口に巨大な炎を作り出すと、その炎を裁きの神剣へと叩き付け、一瞬の内に燃やし尽くしてみせる。
「く……我がフィールドで破壊されたスピリットのコアはすべて滅龍帝のものとなる!」
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア5→6】
「太陽神龍ライジング・アポロドラゴン、Lv3合体時効果!BPを比べ、相手のスピリットだけを破壊したとき、相手のスピリット/ブレイヴ/ネクサス、どれか1つを破壊する!Lv4の滅龍帝ジエンド・ドラゴニスを破壊!」
ライジング・アポロドラゴンと合体したスピニード・ハヤトの尻尾から作り出される槍が射出され、ジエンド・ドラゴニスを貫く。その身体を貫かれ、破壊されたジエンド・ドラゴニスのコアが別のジエンド・ドラゴニスへと移動する。
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア5→13:Lv3→4:BP16000→20000】
「さらに、武槍鳥スピニード・ハヤト、合体時効果!アタックステップ開始時に指定した色のスピリットにブロックされたとき、このスピリットを回復させる!俺が指定した色は赤、よって合体スピリットは回復する!再び翔けろ!プロフェット・ドラゴンに指定アタック!」
赤のスピリットにブロックされたことで再度、ライジング・アポロドラゴンが回復する。そして槍を手にしたライジングはその槍を投げ付けてプロフェット・ドラゴンを貫いて破壊すると、再びアタック時効果を起動させる。
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア6→7】
「ライジングの効果により、再びLv4のジエンド・ドラゴニスを破壊する!」
「く……最後の滅龍帝にコアを移動させ、Lv4に!」
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア7→20:Lv3→4:BP16000→20000】
「続けて、十剣聖スターブレード・ドラゴンに指定アタック!」
回復し、スターブレード・ドラゴンへと槍を構えて殴りかかるライジング・アポロドラゴン。スターブレード・ドラゴンの剣とライジング・アポロドラゴンの槍がぶつかり合い、甲高い金属音が鳴り響く中、剣を突き破った槍がそのまま身体を貫き、スターブレード・ドラゴンの身体を破壊する。
【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス
コア20→24】
「ライジングの効果により、最後の滅龍帝を破壊!」
さらに槍が放たれ、滅龍帝を貫く。フィーネのフィールドに突き立てられた槍達が、彼女のフィールドにいた存在の証となり、さらにその証を増やさんと弾はさらなるアタックを指示する。
「二体目のスターブレード・ドラゴンに指定アタック!」
さらに放たれる槍。スターブレード・ドラゴンが最早反応できないほどの速度で放たれた槍がスターブレード・ドラゴンを破壊し、更にフィーネのフィールドを焼きにかかる。
「効果により、ジーク・ヤマト・フリードを破壊!」
ライジングの口から放たれた炎が槍に纏われ、炎の槍となった得物を放つ。その槍はジーク・ヤマト・フリードの心臓を一瞬で貫き、その一撃にジーク・ヤマト・フリードが倒れる。
「最後のスターブレード・ドラゴンに指定アタック」
続けざま、最後のスターブレード・ドラゴンも仕留めていく。最後のスターブレード・ドラゴンを貫いた槍が地面に突き刺さり、それが皮切りとなってフィーネのフィールドに突き立てられたライジング・アポロドラゴンの投げた槍が全て赤い光へと変換され、巨大な炎となってカタストロフドラゴンを呑み込んでいく。
「ライジングの効果により、カタストロフドラゴンを破壊する!」
「っ、またしても……全滅だと……!?」
ネクサスこそ破壊できなかったが、それでもスピリット達を全滅させた事はあまりにも大きすぎることだ。一気に戦力を失う事となったフィーネも流石にこれは驚きを隠せないのか、戸惑いの表情を浮かべる。
「や、やった!!これでがら空き!」
「合体アタック!」
さらにライジング・アポロドラゴンが翼を広げ、スピニード・ハヤトから得た緑のシンボルと共にフィーネへとアタックを仕掛ける。このダブルシンボルのアタックと、フィールドに残っている十二宮Xレア達の連続アタックで、一気にライフを削り取れる。響達も勝利を確信したような表情が現れる。そして、
「ライフで受ける!!賢者の樹の実の効果により、相手スピリットのアタックでライフが減少したことで、ボイドからコア1個をリザーブに置く!」
ライジング・アポロドラゴンの振り上げた一撃がフィーネへと叩きつけられ、そのダブルシンボルのアタックがフィーネのライフを奪い取る。その一撃にフィーネの表情も流石に歪むが、フィーネは必至の形相で叫びを上げる。
「だが、まだ終わりはしない!!あの御方の隣に昇り、世界を新たな形へ導く!!そのために!ライフ減少によりバースト発動!!絶甲氷盾!その効果によりボイドからコア1個を自分のライフに置く!さらにフラッシュ効果発揮!バトル終了時、アタックステップを終了する!!」
フィーネの目の前に巨大な氷の壁が出現し、強制的に弾のアタックステップを終了させる。漸く掴み取ったチャンスを潰され、弾の表情も僅かに強張ってしまう。
「後少しだというのに……!」
「何と言う執念だ……了子君……そこまでして君は……!」
「ターンエンド」
「諦めて、なるものか……!スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ」
弾のフィールドからアクア・エリシオンが消えたため、漸く彷徨う天空寺院が回復する。尤も、その効果に対応したスピリットは全て彼女のトラッシュに消えてしまい、既にその効果を活かす機会は存在していないが。
「メインステップ。マジック、三札之術を使用!デッキから2枚ドローし、デッキの上をオープン、それが赤のスピリットならば手札に加える!」
デッキからオープンされたカードは、アスケラ・ドラゴン。赤のスピリットであるため、フィーネの手札に加えられる。
「アスケラ・ドラゴン2体をLv3で召喚!」
【アスケラ・ドラゴン:赤(白)・スピリット
コスト3(軽減:赤1):「系統:星竜」
コア4:Lv3:BP5000
シンボル:赤(白)】
【アスケラ・ドラゴン
コア4:Lv3:BP5000
シンボル:赤(白)】
金色の瞳を輝かせる白い身体を持つ中型の四足歩行をするドラゴン、アスケラ・ドラゴン。それが二体呼び出され、フィーネはあのカードを呼ぶための召喚条件を満たしていく。
「赤き龍皇、白き要塞皇よ。究極の力で交わりて一つとならん!アルティメット・ジークフリーデン、Lv5で召喚!!」
【アルティメット・ジークフリーデン:赤白・アルティメット
コスト7(軽減:赤2・白2):「系統:新生・古竜・武装」
コア6:Lv5:BP30000
シンボル:極】
フィーネのフィールドで燃え上がる炎の柱。その中から現れた紅蓮の装甲を纏った二足歩行をするドラゴンが、白銀の翼を広げて咆哮を張り上げる。輝石の力が生み出したアルティメット、それを行使するフィーネに、弾は少しだけ警戒を強めたような表情を見せる。
「さらに、蛇星鞭サビクを召喚!」
【蛇星鞭サビク:紫・ブレイヴ
コスト3(軽減:紫1・極1):「系統:剣刃」
コア1:Lv1:BP2000
シンボル:なし】
蛇のような姿をした鞭のブレイヴが召喚される。蛇の顔の先端には紫色の宝石のようなものが咥えられているのが確認でき、アルティメットにも対応したその力が発揮されようとする。
「サビクの召喚時効果はコスト3以下のスピリット/アルティメットにしか及ばない。だが、こちらの効果は別!サビクを、アルティメット・ジークフリーデンへ合体!」
【アルティメット・ジークフリーデン:赤白+紫
コスト7+3→10
コア6→7:BP30000+2000→32000】
サビクがアルティメット・ジークフリーデンの手に握られ、その全身から紫色の光を放つ。そしてアルティメット・ジークフリーデンがその力を振るい出す。
「アタックステップ!アルティメット・ジークフリーデンでアタック!Uトリガー、ロックオン!!」
フィーネの手に出現した鞭の先端に巨大な光弾が出現する。その光弾はネフシュタンより放たれ、弾のデッキを破壊してトラッシュへと落としていく。そして落ちたカードは、
「光り輝く大銀河、コスト4!」
「ヒット!コスト1につき、BP10000以下の相手スピリット1体を破壊する!魔導双神ジェミナイズ、戦神乙女ヴィエルジェを破壊!」
アルティメット・ジークフリーデンの口から放たれた砲撃が、二体の十二宮Xレアを破壊する。しかし、それによってヴィエルジェの効果が起動し、二体の十二宮Xレアが弾の手札へと戻っていく。
「戦神乙女ヴィエルジェ、Lv2・3効果により、系統:「光導」/「天霊」を持つ自分のスピリットすべては、相手によって破壊されたとき手札に戻る!」
「蛇星鞭サビク、合体時効果により、疲労状態のライジングに指定アタック!」
アルティメット・ジークフリーデンの手から放たれた鞭がライジング・アポロドラゴンの身体を縛る。縛られたライジング・アポロドラゴンはそのまま何回も持ち上げられては叩きつけられてを繰り返され、最後に手元に引き寄せられ、空いた左手で顔を勢い良く殴り飛ばされることによって爆発し、破壊される。
【武槍鳥スピニード・ハヤト
コア1:Lv1:BP5000
シンボル:緑】
「スピリット破壊によりバースト発動!フレイムブラスト!デッキから2枚ドローする!フラッシュ効果は使わない!」
「ターンエンド」
アルティメット・ジークフリーデンを従え、ターンを終えるフィーネ。ここで残った二体のアスケラ・ドラゴンでアタックを仕掛けても弾のライフを全て奪う事は出来ないからだろう。それよりも、ここはストライクヴルム・レオに返り討ちに遭う事を危惧してこのような一手を取ったのだ。
「遂にアルティメットを……!」
「ライジングが破壊されちゃった……!」
アルティメット・ジークフリーデンの攻撃によってライジング・アポロドラゴンが破壊されてしまった。その事実は、弾のあのカードを知らない四人にとっては、切り札を破壊されたに等しい光景だろう。だが、響達は違う。弾にはまだ、あのカードが残っている。そう信じているからこそ、響は四人を安心させるように口を開く。
「大丈夫。きっと……それに、来そうな気がする」
「ああ、私もだ。彼なら……ここできっと、呼び出す筈だ」
「へぇ、二人もそう思ってんのか?」
そして、響と同じ予感を感じ取っていたのは、翼とクリスも同様のようだ。弾の戦いを見て、弾という人を知った彼女達だからこそ、こう予感することができる。そして、弾はこの期待に応えてくれる筈。そう信じて、続く弾の、運命のターンを見る。
「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ブレイドラをLv2で召喚」
【ブレイドラ:赤・スピリット
コスト0:「系統:翼竜」
コア2:Lv2:BP2000
シンボル:赤】
ここで弾が呼び出したのは、低コストスピリット、ブレイドラ。このスピリット1体ではどうしようもないほどに弱い存在だが、このスピリットを予め呼び出しておいたのも、手札のこのスピリットを可能な限り軽減させるためだという目的の上だ。
「光り輝く大銀河の効果により、手札の系統:「光導」を持つ自分のスピリットのコストを5にする!」
弾の手札の赤のスピリットカードのコストが8から5へと、炎と共に書き換えられる。この僅かな変化、それだけで、この戦いを見る誰もが、確信する。弾が、切り札を呼び出そうとしていることを。そして、その瞬間だった。
「っ!」
バトルフィールドの外にいた響達の目が一瞬眩む。彼女達の目を眩ませたのは、太陽。夜明けを告げる太陽は、まるで、その時を待っていたかのように、一体の龍を呼び出そうとしているようにすら思えた。
「龍神の弓、天馬の矢、戦いの嵐を鎮めよ!光龍騎神サジット・アポロドラゴン、Lv3で召喚!」
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット
コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」
コア5:Lv3:BP13000
シンボル:赤】
瞬間、弾の背後に夜明けを告げる巨大な太陽が出現する。プロミネンスの中を駆ける四本の足を持つ白き馬の下半身。赤、金、緑の三色によって彩られた鎧を纏って巨大なドラゴンの上半身を持つ存在。巨大な弓がその右手に握られ、背中には龍の翼が生えている。それが、太陽を強く蹴り、同時に炎を纏って弾の背後からフィールドへと現れ、紅く燃えるように輝く射手座の星座の光をその全身から放ちながら咆哮を上げ、炎を振り払う。
「光龍騎神サジット・アポロドラゴン……!」
「……これが、弾さんの切り札……?」
「凄い……」
太陽の光と共に現れたそのドラゴンの姿は、いつも見る姿よりもより雄々しく、猛々しく、そして美しい。正に、この争いを鎮める引き金となる。そう、確信させる強さがそこにはあった。
「遂に来たか……!サジット・アポロドラゴン……!」
切り札の登場に、フィーネも今まで以上に緊張した表情を見せる。いかにアルティメットと言えど、弾はそれを真正面から打ち砕いてきた。それは、避けられはしない事実だ。だからこそ、アルティメット・ジークフリーデンが存在するから、などと甘い考えをすることなど、出来る訳がない。
「その翼、奇跡の光を纏う!輝竜シャイン・ブレイザー、召喚!光龍騎神サジット・アポロドラゴンに合体!」
【輝竜シャイン・ブレイザー:赤・ブレイヴ
コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・機竜」
コア1:Lv1:BP5000
シンボル:赤】
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
コスト8+5→13
コア5→6:BP13000+5000→18000
シンボル:赤+赤】
白く輝く翼をもつ機械竜、シャイン・ブレイザーが出現し、その身体が消滅していく。翼だけとなったシャイン・ブレイザーに応えるようにサジット・アポロドラゴンの翼も消滅し、新たな翼となるように合体し、全身から紅蓮の光を放ち、弾のアーマーの白いラインが赤いラインへと塗り替えられていく。
「光り輝く大銀河をLv2にアップ!」
【光り輝く大銀河
コア0→2:Lv1→2】
「アタックステップ!光龍騎神サジット・アポロドラゴンの効果により、系統:「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットすべては相手スピリットに指定アタックできる!いけ、ストライクヴルム・レオ!アスケラ・ドラゴンに指定アタック!」
ストライクヴルム・レオが咆哮し、アスケラ・ドラゴンへとアタックする。その巨大な爪が振り上げられ、アスケラ・ドラゴンを破壊されようとした、その瞬間。
「これ以上はやらせん!フラッシュタイミング、最後の絶甲氷盾を使用!!アタックステップは終了だ!!」
アスケラ・ドラゴンは破壊される。だが、それと引き換えにフィーネは弾のアタックステップを終了させ、ストライクヴルム・レオの回復効果を使わせないことに成功する。
「く……弾君のこのターンも凌がれたか……!」
「彼のフィールドには、アルティメット・ジークフリーデンの射程圏内のスピリットが既に二体……手札にバーニングサンとトレス・ベルーガがいても、これは……!」
状況を見ながら、弦十朗と慎次が声を漏らす。どちらも一歩も譲らない激しいバトル。だが、アルティメット・ジークフリーデンによってBPの低いブロッカー達はすぐに破壊される点で言えば、弾の方が不利と言っていいだろう。しかし、フィーネも防御札である絶甲氷盾を使い切った。つまり、次のターンの攻防が、お互いの勝負を分ける最大の山場となる。
「……スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。双翼乱舞を使用!デッキから2枚ドロー!」
今一度、意を決してドローする。そして、彼女の手札に現れた一枚のカード。それは、今の自分を象徴する存在と言えるであろうアルティメットカード。それを見て、フィーネはにやりと笑う。
「見るがいい、ブレイヴ使い!今、金色の輝きより奴が来る!」
「!」
「漆黒の時より降臨せよ、星を統べる究極幻羅星龍よ!!アルティメット・ガイ・アスラ、召喚!!Lv6!!」
【アルティメット・ガイ・アスラ:赤・アルティメット
コスト8(軽減:赤4):「系統:新生・神星・星竜」
コア10:Lv6:BP50000
シンボル:極】
大地に巨大な亀裂が入っていき、そこから金色の身体が出現していく。ジャッジメント・ドラゴニスの全長に匹敵するかという程の長い胴体を持ち、その胴体はガイ・アスラのように複数の脚で支えられており、その上部には巨大な赤い鎧を纏った人型の形の上半身が存在し、その六つの手には特徴的な姿をした剣が握られている。そして最後に金色の膜が胴体からも消えていき、黒い皮膚が露わとなる。
「遂に来たか……!」
さらにフィーネにも次なる変化が現れる。その全身をガイ・アスラのものと思われる黒い霧が覆っていき、その装甲はオレンジを基調とした巨大なものとなり、下半身もまたそれを呑み込む巨大な龍の下半身の装甲に包まれる。そしてその装甲から出現した翼からはオーロラのように色彩を次々と変えていく光の翼が展開されていく。その変わり果てた姿は、まさに破滅を導く黙示録の獣の化身。
「蛇星鞭サビクを、ガイ・アスラへとチェンジ!」
【アルティメット・ジークフリーデン:赤白
BP30000】
【アルティメット・ガイ・アスラ:赤+紫
コスト8+3→11
BP50000+2000→52000】
アルティメット・ジークフリーデンの手から投げられたサビクがアルティメット・ガイ・アスラの中に吸い込まれていき、紫のブレイヴの力を得る。
「アタックステップ!合体アルティメットでアタック!Uトリガー、ロックオン!」
「太陽龍ジーク・アポロドラゴン、コスト6!」
「クリティカルヒット!自分のスピリットのコアすべてをこのスピリットに移動!」
【アスケラ・ドラゴン
コア4→0】
【アルティメット・ガイ・アスラ
コア10→14】
「そしてこの効果でコアが1個以上置かれた事で、相手のライフ1つをリザーブに置く!クリティカルヒットの効果により、トラッシュからジャッジメント・ドラゴニスを手札に戻す!」
コアを吸収したアルティメット・ガイ・アスラはその手に巨大な紅蓮の光を生成し、弾へと叩き付ける。想像を絶する多大な痛みが弾の全身を襲っている事だろう。だが、その中で弾は倒れる事はせず、ただ、強い目で静かにその力に耐え抜く。
「ふん、耐え抜いたか。だが、まだアタックは終わっていない!サビクの効果により、ストライクヴルム・レオへ指定アタック!フラッシュタイミング、アルティメットゲインを使用!合体アルティメットを回復させる!」
ストライクヴルム・レオの身体が尻尾に絡み取られ、壁に叩きつけられる。そのアタックは、ブレイヴごとストライクヴルム・レオを破壊し、その上のコアを全て消し去る。
「!」
「アルティメット・ガイ・アスラのアタック時、破壊された相手スピリットのコアはボイドへ置かれる!そして、二度目のアタック!」
アルティメットゲインの効果で回復したアルティメットはトリガーを使えない。それでも、BP52000はあまりにも巨大なBPだ。だが、ここで逃げるわけにはいかない。逃げて勝つ。いや、そんなことはもうしない。真正面から挑み、ぶつかり、勝つ。そのために弾は、己の魂を、闘志を込めて、声を上げる。
「合体スピリットでブロック!!」
「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」
BPで圧倒的に劣るサジット・アポロドラゴンでブロックした。その言葉に、響達は勿論、フィーネでさえも驚きの表情を見せるしかない。一体、何を考えている。フィーネがその言葉を口にしようとした瞬間に弾は手札から一枚のマジックを取り出す。
「フラッシュタイミング!マジック、バーニングサンを使用!手札のブレイヴ、トレス・ベルーガをノーコストで召喚し、合体スピリットに直接合体!さらに回復させる!」
【トレス・ベルーガ:青・ブレイヴ
コスト5(軽減:青2・赤2):「系統:異合」
シンボル:青】
弾が発動したマジックにより、弾の手札のブレイヴ、トレス・ベルーガが光と共に弾の手から離れ、三つの首を持つ青き獣がフィールドに現れる。獣はサジット・アポロドラゴンの後ろから光を纏って衝突し、瞬間、激しい閃光と共にその全身を金色の鎧へと変え、背中の翼を更に強く、大きく広げさせる。
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤+青
コスト8+5+5→18
BP13000+5000+6000→24000
シンボル:赤+赤+青】
加えて、弾の身体を激しい闘気が駆け巡ったかのように変化が起こり、そのアーマーが黒く染まっていく。
「BP24000……」
「だが、まだ52000には……!」
「……成程。ブレイヴを分離させ、一体でも多くブロッカーを残し、アルティメット・ジークフリーデンのトリガーを耐えに来たか!だが甘い!フラッシュタイミング!二枚目のアルティメットゲインを使用!合体アルティメットを回復させる!」
回復したアルティメット・ガイ・アスラとサジット・アポロドラゴンが真正面からぶつかり合う。アルティメット・ガイ・アスラの六本の手に持たれた剣から無数の斬撃が放たれ、サジット・アポロドラゴンはそれを剣へと変形させた弓で弾き、受け流し、また空を縦横無尽に駆け回りながらそれを避けていく。
「フラッシュタイミング!光り輝く大銀河、Lv2効果により手札の系統:「光導」を持つ魔導双神ジェミナイズを破棄!ダブル合体スピリットに赤のシンボルを追加し、BP+6000!」
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
BP13000+5000+6000+6000→30000
シンボル:赤+赤+青+赤】
光り輝く大銀河がさらに強く輝き、弾が掲げたジェミナイズのカードが炎で燃えていく。そして、サジット・アポロドラゴンがその輝きを受けてさらにBPを上げ、アルティメット・ガイ・アスラの放った無数の斬撃を力任せに振り抜いた剣圧で相殺し、一気に本体へ向けて駆けていく。
「BP30000!」
「で、でもまだですわ!」
「まだ20000足りない!」
「弾君……!」
「……大丈夫。弾さんは、勝ってくれる!きっと……!」
「フラッシュタイミング!!」
「!!」
「マジック、ユナイテッドパワー!不足コストは、ネクサス、ブレイドラ、ダブル合体スピリットより確保!」
【光り輝く大銀河
コア2→0:Lv2→1】
【ブレイドラ
コア2→0】
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
コア6→5】
「自分のスピリット1体を疲労させることで、このターンの間、スピリット1体に疲労させたスピリットのBPを加える!ダブル合体スピリットを疲労させ、ダブル合体スピリットにBP+30000!」
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
BP13000+5000+6000+6000+30000→60000】
「なっ……BP60000の、サジット・アポロドラゴンだとぉ!?」
「これが……」
「弾君の、起死回生の策……!!」
サジット・アポロドラゴンの全身が、より強く、金色に輝いていく。その光は、手に握る剣を巨大な刃へと変え、それを六本の剣を交差させて受け止めようとするアルティメット・ガイ・アスラへと叩き付け、力任せに壁へと吹き飛ばす。地面を抉りながら吹き飛んでいったアルティメット・ガイ・アスラへ向けて、金色の翼を広げて放った金色の炎の弾丸が、その手に握られた剣を次々と破壊していき、さらにその身体を次々と貫いていく。そして、アルティメット・ガイ・アスラの眼前に瞬間移動かと見間違う速度で移動したサジット・アポロドラゴンが振り下ろした刃は、その身体を両断し、アルティメット・ガイ・アスラを撃破、その巨大な大爆発によって生じた爆煙は大量の火の粉をフィールド全体に散らせながら、二人の周囲を覆っていく。
【蛇星鞭サビク
コア14:Lv1:BP2000】
「す、凄い……」
「倒しやがった……あの、化け物を……」
「ば、かな……アルティメット・ガイ・アスラが……」
フィーネも呆然と呟く。負けられない戦い、繰り出した切り札。その圧倒的な力は弾の残りのライフを1にまで追い込み、獅子座の十二宮Xレアを倒して見せた。この戦いに勝利し、弾を使って神々の砲台を放ち、弾をこの世界から―――
(……世界、から……そう、か。ああ、そうか……)
理由付けはしていた。下手なことをして十二宮Xレアからしっぺ返しを受けたくないからだ、馬神弾が生きていれば確実に自分の目的を止めようとしてくるだ、等と。だが、本当は知っていた。弾を使い、神々の砲台を使う事。その目的の先には、彼に対する、情が湧いていたという事を。そして、それは偶然にも、彼女と交わした約束を果たすための手段でもあったのだ。
「……ふっ、はははは」
「……」
「あははははははは!!」
顔に手を当て、突然笑い始めるフィーネ。アルティメット・ガイ・アスラを破壊され、気がおかしくなったのか。いや、弾には彼女の笑いが、別の意味を持っている事に気付いた。まるで、そういうことだったのかと事実に気付いたような、そんな笑いだということに。
「……全く、私も人間か。いや、人間だからこそか……」
「……」
「くくく、まさか、アルティメット・ガイ・アスラを破壊されるとはな……だが、まだアタックステップは終了していない!アルティメット・ジークフリーデンでアタック!Uトリガー、ロックオン!」
鞭を作り出し、光弾を放って弾のデッキをトラッシュへと落としていく。その表情は、どこか楽しげで、悔しげで、そして、どこか清々しいものであった。自身の象徴でもあった、アルティメット・ガイ・アスラ。それを破壊されたことで、彼女は自分の隠していた、見ようとしていなかった感情に、心に気付いたのだ。冷たく、非情に包み込み、隠していても、自分の中には人としての心があるという事を。それがあるからこそ、ここまで来たのだということに。
「ふっ……白羊樹神セフィロ・アリエス、コスト6だ!」
「ヒット!武槍鳥スピニード・ハヤトを破壊!」
アルティメット・ジークフリーデンの口から放たれたブレスがスピニード・ハヤトを吹き飛ばす。そして、弾へと襲い掛かるジークフリーデン。フィーネに起こった変化、そして、ここまでのバトル、フィーネの繰り出してきたスピリット、アルティメット達。そのすべてに心を震わせ、大いに楽しみ尽くした。だからこそ、弾も全力で、フィーネに応える。正直に、最後まで、自分の全てを曝け出し、バトルスピリッツを通じた対話で。
「フラッシュタイミング!マジック、リブートコードを使用!不足コストはダブル合体スピリットより確保!」
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
コア5→3:Lv3→2:BP13000→10000+5000+6000+30000→51000】
「自分のスピリットすべてを回復させる!ダブル合体スピリットでブロック!」
だが、勝負には勝つ。カードバトラーとして、そして戦士として。起き上がったサジット・アポロドラゴンは、飛び掛かってきたアルティメット・ジークフリーデンを掴んで逆に投げ飛ばすと、剣に変形させた弓を横向きに振り抜き、一閃を放つ。さらに前方に突進し、その一閃に重ねる形で縦向きの一閃を放ち、交差した十字の斬撃をアルティメット・ジークフリーデンへと命中させ、その身体を切り裂く。
「……ふっ。全く、最後まで抜かりない男だ。ターンエンド」
「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ダブル合体スピリットをLv3にアップ」
【光龍騎神サジット・アポロドラゴン
コア3→5:Lv2→3:BP10000→13000+5000+6000→24000】
「……フィーネ。俺は、このバトルができて、とても嬉しかった」
「嬉しい?私と戦うのが?とんだ捻くれ者だ……この世界を滅ぼそうとしたも同然の存在と戦って、何が嬉しい?」
「だがあんたは、ただ壊すだけじゃない。その先を見ていた。戦いの先にあるものを。そして、このバトルを通じて、フィーネという人間がどういう人物なのか、知ることができたと思う」
「お前がそう思ってるだけかもしれないぞ?」
「かもしれない。でも、アルティメット・ガイ・アスラを破壊された後のあんたの顔は、間違いなく、バトスピを楽しんでいる顔だった。あんたも、一人のカードバトラーとして、使命も何もない、純粋にバトルを楽しんでいた時があった。それを知ることができて、俺は嬉しかった」
世界は、時代の流れは、人を変えてしまう。苦しい経験によって生きる力を奪われた者。バトスピを楽しめなくなった者。世界を壊そうとする者。様々な者がいる。だが、その原点は誰もが純粋無垢な存在であったのだ。それは、フィーネと言えど、例外ではない。神と同じ。その強さの深みに憧れを抱いたからこそ、それが彼女をここまで突き動かす動力源となった。彼女もまた、自分と同じ人間でしかない。だからこそ、このバトルを最後まで楽しもう。熱く、この魂を燃やそう。この闘志を叩きつけよう。弾は、最後のアタックを宣言する。
「アタックステップ!いけ、ダブル合体スピリット!サジット・アポロドラゴン、Lv3合体時効果!このスピリットのブレイヴ1つにつき、BP10000以下の相手スピリット1体を破壊する!蛇星鞭サビクを破壊!」
サビクがサジット・アポロドラゴンが放った矢によって燃え尽きる。そして、完全にがら空きとなったフィールドへ、サジット・アポロドラゴンは剣を振り上げ、迫る。残りライフ3のフィーネに、トリプルシンボルを叩きつける為に。
「……来るがいい!!ライフで受ける!!」
そして、振り下ろされる炎の刃。それは、フィーネのライフを打ち砕き、アルティメット・ガイ・アスラが作り出した新たな鎧を破壊し、デュランダルを消し飛ばす。そして、爆煙が立ち込め、膨大な熱が大気を彷徨っている中、フィーネはその身体を、宙へと投げ飛ばしたのだった。
どこか安らいだ、そんな表情を見せながら。
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