第47話 月光の獅子、咆哮

弾 ライフ:3 リザーブ:0 トラッシュ:7 手札:3 バースト:あり


 


フィールド


 


【魔導双神ジェミナイズ:黄・スピリット


コスト7(軽減:黄4):「系統:光導・導魔」


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:黄】


 


【戦神乙女ヴィエルジェ:黄・スピリット


コスト6(軽減:黄3):「系統:光導・天霊」


コア2:Lv2:BP6000


シンボル:黄】


 


【宝瓶神機アクア・エリシオン:白・スピリット


コスト7(軽減:白4):「系統:光導・武装」


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:白】


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤・スピリット


コスト7(軽減:赤4):「系統:光導・古竜」:【激突】


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:赤】


 


 


ネクサス


 


【光り輝く大銀河:赤・ネクサス


コスト4(軽減:赤2)


コア0:Lv1


シンボル:赤】


 


 


フィーネ ライフ:4 リザーブ:41 トラッシュ:9 手札:8


 


 


ネクサス


 


【彷徨う天空寺院:赤・ネクサス


コスト5(軽減:赤3)


コア0:Lv1


シンボル:赤赤】


 


【永遠なる神都:赤・ネクサス


コスト4(軽減:赤2)


コア2:Lv2


シンボル:赤】


 


【賢者の樹の実:緑・ネクサス


コスト4(軽減:緑2)


コア0:Lv1


シンボル:緑】


 


 


十二ターン目のメインステップ。現在のターンプレイヤーはフィーネとなっており、彼女のフィールドには疲労状態のネクサス、彷徨う天空寺院、そして回復状態のネクサス、賢者の樹の実と永遠なる神都が存在している。対する弾のフィールドには回復状態の魔導双神ジェミナイズ、戦神乙女ヴィエルジェ、宝瓶神機アクア・エリシオン、金牛龍神ドラゴニック・タウラスが存在しており、ネクサスには光り輝く大銀河が配置されている。


 


「再臨せよ、紅蓮の覇王!!龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード、Lv2で召喚!」


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤3):「系統:覇皇・古竜」


コア3:Lv2:BP10000


シンボル:赤】


 


フィーネの背後から立ち昇る炎。まるで、永遠なる神都から出現したその炎はフィーネのフィールドへと降り注いでいき、その中から紅蓮の翼を広げる一体の巨龍の姿を作り出す。傍らに愛剣を突き刺した覇王、ジーク・ヤマト・フリードは登場と共にその翼を広げ、炎を振り払う。


 


「龍の覇王に続け!滅びの象徴!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス、召喚!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス:赤・スピリット


コスト9(軽減:赤6):「系統:滅龍」


コア1:Lv1:BP9000


シンボル:赤赤】


 


さらにフィーネのフィールドに降り注ぐ紫の雷鳴。紫の雷鳴が一瞬の閃光を生んで視界を遮る中、空から金色の角を持つ漆黒の龍、ジエンド・ドラゴニスが招来する。


 


「さらにいでよ!大気震わせる皇よ!激神皇カタストロフドラゴン、召喚!!」


 


【激神皇カタストロフドラゴン:赤・スピリット


コスト10(軽減:赤6):「系統:虚神・古竜」


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:赤】


 


天に広がる六枚の漆黒の翼。それを宿した巨大なドラゴン、カタストロフドラゴンが空より現れる。羽ばたきだけで大気を揺らすかと思わせるその巨大なドラゴンは、出現と共に咆哮を張り上げ、フィーネのフィールドのカタストロフドラゴンとジーク・ヤマト・フリードのカードを赤く光らせる。


 


「カタストロフドラゴン、召喚時効果!系統:「古竜」を持つ自分のスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする!私のフィールドに存在する古竜はジーク・ヤマト・フリードとカタストロフドラゴンの2体!よって、2枚のカードをドロー!」


 


デッキから二枚のカードをドローし、手札を増やす。予めジエンド・ドラゴニスを一体呼んでおいたのは軽減シンボルを揃える為だろう。そして、ドローしたカードを見て、僅かに口元を緩める。


 


「プロフェット・ドラゴンを召喚!」


 


【プロフェット・ドラゴン:赤・スピリット


コスト2(軽減:赤1):「系統:戦竜」


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:赤】


 


続けてフィーネが呼び出したのは、杖を握る黄色い鱗にその身を包んだ小型のドラゴン、プロフェット・ドラゴン。他のドラゴン達と比べるとサイズは一回りも二回りも小さく、そのBPも頼りない。だが、フィーネのデッキにおいてこのスピリットは強力なドローソースとして機能している。


 


「プロフェット・ドラゴン、召喚時効果により手札のコスト8以上のスピリットカードを好きなだけオープンし、手元に置くことでその枚数だけカードをドローする!」


 


フィーネがプロフェット・ドラゴンの効果で公開するカードは、永遠なる神都で手札に戻し、まだ手札に残っている五体のスピリット。滅龍帝ジエンド・ドラゴニス二体、十剣聖スターブレード・ドラゴン三体。よって、フィーネがドローするカードは五枚となる。


 


「手札を増やしたか……」


「星の剣振るいし聖なる竜よ、来たれ!十剣聖スターブレード・ドラゴン、3体連続召喚!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤6):「系統:剣使・星竜」


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:赤】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:赤】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:赤】


 


再び永遠なる神都から炎が降り注ぐ。降り注いだ炎は三つ。その中から白銀の鎧と二本の紅蓮の剣を纏った紅蓮の皮膚を持つドラゴン達が三体同時に出現し、赤い二本の角を光らせる。


 


「さらに駄目押しだ!手元の二体の滅龍帝ジエンド・ドラゴニスも連続召喚!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1:Lv1:BP9000


シンボル:赤赤】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1:Lv1:BP9000


シンボル:赤赤】


 


続けて降り注ぐ二発の雷鳴。雷鳴の中から出現する二体の滅龍帝。再びフィーネのフィールドを彩っていく九体のドラゴン達の咆哮を耳にしながら、フィーネはさらにコアをフィールドにつぎ込んでいく。


 


「響!」


「未来!」


 


その頃。エクストリームゾーンの外に響、翼、クリスが出てきたのは同時だった。外に出た三人の纏うギアが光と共に消えていき、流石に疲労を隠せないといった様子で呼吸を落ちつけるようにして外に出てきた未来達と再会する。弦十朗達は地下から持ち運んできたモニターなどをセッティングし直し、弾とフィーネの戦いを巨大なモニターに表示させていく。


 


「よかった……響。皆、心配していたんだよ?」


「うん……その、黙ってて、ごめんね」


「気にしないでよ、ビッキー。私達も、理由を知ったら納得出来たからさ」


「そうそう!それに、アニメみたいでカッコよかったよ!」


「ふふ、らしいといえばらしかったんですけどね」


 


弓美、創世、詩織の三人も、今回の一件で響のことを知ったようだ。だが、そのことを受け入れて納得してくれた三人の様子を見て、響も安堵する。


 


「よし、出たぞ!」


 


弦十朗の声に響達が振り向く。空中に出現した巨大なモニター。薄く明るくなり、もうすぐ日が出てこようとしている薄暗い空に表示されたモニターには弾とフィーネのバトルが表示されていた。


 


「弾さん!」


「この状況は……!」


「かなり厳しいみたいね……」


 


九体のドラゴン達が攻めかかるであろうアタックステップ。それを控えたフィーネは最後に保険としてネクサスのカードを見ながら宣言する。


 


「賢者の樹の実をLv2にアップ!」


 


【賢者の樹の実


コア0→3:Lv1→2】


 


フィーネの背後の金色の樹が光を放つ。メインステップで行える最後の行動を行い、フィーネは遂にアタックステップを宣言する。


 


「アタックステップ!」


 


フィーネがアタックステップを宣言した瞬間、プロフェット・ドラゴンが空中に出現した光輪にその身体を縛られて身動きができなくなる。


 


「!」


「戦神乙女ヴィエルジェの効果!コスト2/3/5/7/11の相手スピリットはアタックできない!」


「ふん、その程度!十剣聖スターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果により、相手フィールドの最もBPの高いスピリットを破壊する!戦神乙女ヴィエルジェを破壊!」


 


スターブレード・ドラゴンの剣に紅蓮の炎が纏われていく。その炎は赤い斬撃となってヴィエルジェへと放たれ、その炎に呑まれたヴィエルジェの身体が光と共に消えていく。


 


「戦神乙女ヴィエルジェ、Lv2・3効果!系統:「光導」/「天霊」を持つ自分のスピリットは、相手によって破壊されたとき手札に戻る!」


 


ヴィエルジェが破壊されると共に手札に戻っていく。しかし、手札に戻ったからと言ってこのターンでは何もできないだろう。ネクサスの力でさらに弾のフィールドを蹂躙しにかかる。


 


「永遠なる神都、Lv2効果!コスト8以上の自分のスピリットすべてに激突を与える!スターブレード・ドラゴンよ、激突!」


 


激突を得たスターブレード・ドラゴンが弾にブロックを迫る。マジックの使用と展開の補助をするジェミナイズ。装甲:赤を付与し、スターブレード・ドラゴンを始めとしたフィーネのスピリット達の効果を防ぐアクア・エリシオン。そして高い攻撃力を発揮できるドラゴニック・タウラス。どれかが犠牲になる、弾が犠牲として選んだスピリットは、


 


「ドラゴニック・タウラスでブロック!」


 


ドラゴニック・タウラス。そのブロックを見て、フィーネも予想通りと言わんばかりに口元に笑みを浮かべる。紅蓮の剣がドラゴニック・タウラスの角とぶつかり合い、甲高い金属音を響かせる。一旦距離を取り、空中へと飛翔したドラゴニック・タウラスは二本の角から電撃を放ってスターブレード・ドラゴンを攻撃するが、それを剣で切り裂くと、逆に炎を纏った剣でドラゴニック・タウラスを斬り付け、大地へと撃墜させる。そしてトドメの一撃と放とうと剣を振り上げる。


 


「フラッシュタイミング!マジック、サイレントロックを使用!不足コストはドラゴニック・タウラスより確保!」


「やはり積んでいたか……!」


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


コア1→0】


 


ドラゴニック・タウラスが消え、スターブレード・ドラゴンの剣が空を切り裂く。マジックのコストが確保され、弾は再びサイレントロックの効果を使用する。


 


「合体していないスピリットのバトルが終了したとき、アタックステップを終了する!」


「エンドステップ!賢者の樹の実、Lv2効果により我がフィールドのスピリット達は全て回復する!ターンエンド!」


 


スターブレード・ドラゴンが疲労状態から回復状態へと戻る。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ネクサス、光り輝く大銀河の効果により、手札の系統:「光導」を持つスピリットのコストを5にする!再び降臨せよ、乙女座の十二宮Xレア!戦神乙女ヴィエルジェ、Lv2で召喚!」


 


【戦神乙女ヴィエルジェ:黄・スピリット


コスト6(軽減:黄3):「系統:光導・天霊」


コア2:Lv2:BP6000


シンボル:黄】


 


再び天に広げられる白い六枚の翼。花で飾られた白いドレスのような装束に実を包んだ金髪の美女がその翼を広げ、再び弾のフィールドに降臨する。


 


「ヴィエルジェの召喚時効果!自分のライフが5以下のとき、ボイドからコア1個を自分のライフに置く!」


 


ヴィエルジェがその降臨と共に、弾のライフを増やす。また、ヴィエルジェの再召喚によってジェミナイズが再び光の波動を放ち、弾のデッキにその影響を及ぼしていく。


 


「魔導双神ジェミナイズの効果!系統:「神星」/「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットが手札から召喚されたとき、自分のデッキを上から1枚オープン、それがスピリットかブレイヴならばノーコストで召喚する」


 


弾のデッキが上からめくられていく。その戦いに目を向ける者全員が弾のデッキトップのカードに意識を向ける中、現れたのは白のスピリットカード、獅機龍神ストライクヴルム・レオ。それを見て、弾は口元に不敵な笑みを浮かべていく。


 


「この状況で新たな十二宮Xレアを!?」


「力を借りるぞ、バローネ!獅子座より来たれ!月の光受けし神よ!獅機龍神ストライクヴルム・レオ、召喚!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ:白・スピリット


コスト8(軽減:白4):「系統:光導・神星」:【重装甲:紫/緑/白/黄】


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:白】


 


弾の背後で月が輝く。夜空へと変わった星に無数の光が立ち昇り、それらは獅子座の星座を描き出す。獅子座より生み出された、白銀の光を纏った獅子は、空をゆっくりと踏みしめるように地へと降りて行き、ゆっくりと着地すると鋭い剣の縦髪を広げ、背中に装着されたブースターの取り付けられた翼を起動させてその光を一筋の竜巻と共に振り払う。緑色の眼と金色の爪を輝かせる機体を持つ獅子が、咆哮を上げる。


 


「獅子座の十二宮Xレア!」


「五体目の十二宮Xレアまで……!」


「さらに、イグア・バギーを召喚!」


 


【イグア・バギー:白(赤)・スピリット


コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:白(赤)】


 


続けて弾のフィールドに緑の車体を持つ四輪バギーが出現する。星魂スピリット、イグア・バギー。その召喚により、再びジェミナイズの効果が起動する。


 


「これにより、再びジェミナイズの効果を使用!」


 


弾のデッキトップのカードが再びオープンされる。そこにあったのは、ホーク・ブレイカー。白のブレイヴカードだ。


 


「ホーク・ブレイカーをノーコストで召喚!」


「またしても……!」


 


【ホーク・ブレイカー:白・ブレイヴ


コスト5(軽減:白2・緑2):「系統:機獣」:【重装甲:赤】


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:なし】


 


フィールドに出現した白のシンボルの中から白い機械の鷹が現れる。青い無機質な羽と緑のカラーリングを持つこのブレイヴは、スピリット状態の時、全ての自分のスピリットに重装甲:赤を与える強力な効果を持っている。だが、装甲:赤を与えられるアクア・エリシオンがいる今、そのスピリット状態での効果はあまり意味を成さない。


 


「ホーク・ブレイカーを獅機龍神ストライクヴルム・レオに合体!!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


コスト8+5→13


コア1→2:Lv1→2:BP6000→9000+3000→12000】


 


ホーク・ブレイカーが翼だけとなり、ストライクヴルム・レオもまた、背中のブースターが装備された翼が消滅する。空いたその空間にホーク・ブレイカーが新たな翼となって合体し、ストライクヴルム・レオが咆哮を上げる。


 


「白のブレイヴ!!」


「遂に出してきたか!」


 


ブレイヴ使い、その名に違わぬ姿。弾のアーマーの赤いラインが白く輝き、合体スピリットの誕生の事実を告げていく。


 


「宝瓶神機アクア・エリシオンをLv2にアップ!」


 


【宝瓶神機アクア・エリシオン


【装甲:赤/紫/青】


コア1→3:Lv1→2:BP6000→8000】


 


【魔導双神ジェミナイズ


【装甲:赤/紫/青】】


 


【戦神乙女ヴィエルジェ


【装甲:赤/紫/青】】


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


【装甲:赤/紫/青】】


 


【イグア・バギー


【装甲:赤/紫/青】】


 


アクア・エリシオンのLvが上がり、Lv2・3効果によって系統:「神星」/「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットすべてに装甲:赤/紫/青が与えられる。これにより、フィーネのスピリット達の猛攻を耐えるための防御を構築していく。


 


「ターンエンド」


「動かない……」


「いえ、動けないんでしょう……この状況で不用意に攻めたところで、不利になるだけなのは目に見えています」


 


ジェミナイズの効果を使い、スピリットとブレイヴを同時に調達してみせた弾。しかし、そんな彼でもこの状況は攻めきれないのだろう。故に、次の守りを優先することにした。しかし、フィーネはそんなことで防げるかと言わんばかりに声を上げる。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ」


 


リフレッシュステップになってもネクサス、彷徨う天空寺院は回復しない。アクア・エリシオンの効果により、リフレッシュステップ時にネクサスは回復できなくなっているのだ。


 


「メインステップ。ジーク・ヤマト・フリード、ジエンド・ドラゴニス3体をLv4にアップ!」


 


【ジーク・ヤマト・フリード


コア3→8:Lv2→4:BP10000→20000】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1→8:Lv1→4:BP9000→20000】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1→8:Lv1→4:BP9000→20000】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア1→8:Lv1→4:BP9000→20000】


 


「さらにカタストロフドラゴンをLv2、スターブレード・ドラゴン2体をLv2、1体をLv3にアップ!」


 


【激神皇カタストロフドラゴン


【激突】


コア1→5:Lv1→2:BP7000→10000】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1→3:Lv1→2:BP7000→10000】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1→3:Lv1→2:BP7000→10000】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1→4:Lv1→3:BP7000→15000】


 


「バーストをセットし、アタックステップ!」


 


全てのコアをばら撒き、大型スピリット達を強化してフィーネは弾へと襲い掛かる。これから始まるであろう連続アタックを前に、弾も表情を険しくする。


 


「滅龍帝ジエンド・ドラゴニスでアタック!」


 


ジエンド・ドラゴニスのアタックと共に、永遠なる神都の効果によって付与された激突の効果が発揮する。しかし、その効果はアクア・エリシオンが与えた装甲:赤によって弾のフィールドのすべてのスピリットが弾き返す。


 


「合体スピリットでブロック!」


 


ストライクヴルム・レオが咆哮し、突進するジエンド・ドラゴニスに真正面から激突して吹き飛ばす。


 


「ホーク・ブレイカー、合体時効果!ブロック時、バトルしている相手スピリットのシンボル1つにつき、BP+5000!ジエンド・ドラゴニスはダブルシンボル、よってBP+10000!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


BP9000+3000+5000×2→22000】


 


「BP22000!?」


 


ストライクヴルム・レオが今度はジエンド・ドラゴニスに圧し掛かると、その金色の爪を振り下ろし、その身体を引き裂いて破壊する。


 


「く……だが、私のフィールドで破壊されたスピリットのコアは全て、滅龍帝の上に移動する!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア8→16】


 


「たかが一体……果たして、これからどれだけ防げるかな?」


「フィーネの奴、まさか物量で押し切るつもりか!?」


「く……呆れるほどに効果的な戦術だ……!」


「二体目の滅龍帝でアタック!」


「イグア・バギーでブロック!ストライクヴルム・レオの効果!このスピリット以外の系統:「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットが疲労したとき、このスピリットを回復させる!」


 


イグア・バギーが滅龍帝の放った稲妻を喰らい、爆発する。しかし、イグア・バギーの疲労によってストライクヴルム・レオの身体が白い光に包まれ、回復を果たす。


 


「スピリット破壊によりバースト発動!双光気弾!デッキから2枚ドローする!フラッシュ効果は使用しない!」


「三体目の滅龍帝でアタック!」


「合体スピリットでブロック!ホーク・ブレイカーの効果によりBP+10000!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


BP9000+3000+5000×2→22000】


 


滅龍帝の放った紫の稲妻がストライクヴルム・レオを襲う。稲妻が身体に命中し、爆発に包まれるが、煙の中でストライクヴルム・レオの緑色の目が光ったと思うと風を切り裂いて飛翔し、急降下してその爪を滅龍帝へと叩きつけて破壊する。


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア8→24】


 


「ジーク・ヤマト・フリードでアタック!」


「ライフで受ける!」


 


ジーク・ヤマト・フリードの振り上げた剣が弾のライフを切り裂く。ライフを斬り裂かれ、僅かによろめく素振りを見せるが、その表情に変化はない。


 


「激神皇カタストロフドラゴンでアタック!」


「ライフで受ける!」


 


カタストロフドラゴンの激しい体当たりが弾を襲う。これで残りライフは二つ。さらにライフを奪い取るため、スターブレード・ドラゴンに指示を飛ばす。


 


「Lv3のスターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果!BP+5000!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


BP15000+5000→20000】


 


十剣聖スターブレード・ドラゴン、Lv2・3・4アタック時効果により、BPを+5000して襲い掛かるスターブレード・ドラゴン。そのアタックに対する弾の指示は。


 


「フラッシュタイミング!」


「!」


「救世神撃覇を使用!デッキから1枚ドローし、手札からバーストをセットする!」


「新たなバーストだと……」


 


弾のフィールドに出現するバースト。それが何だろうと、もうスターブレード・ドラゴンのアタックは止められない。


 


「ライフで受ける!ライフ減少によりバースト発動!妖華吸血爪!デッキから2枚ドローする!」


 


ライフで受けるという選択肢。弾に叩きつけられたスターブレード・ドラゴンの一撃がヴィエルジェの効果によって回復した分も含めて一気にライフを削り取っていく。しかし、そのアタックによって弾は再びバーストを起動させ、さらに手札を増やすことに成功する。


 


「一気に残りライフが1つに!?」


「不味いんじゃない……!?」


「で、でもきっと弾さんなら……!」


 


フィーネの猛攻に喰らい付く弾。しかし、そのライフは最早風前の灯火。その微かな炎を消し飛ばすために残ったスターブレード・ドラゴン達にアタックを支持していく。


 


「Lv2のスターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果、BP+5000!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


BP10000+5000→15000】


 


「魔導双神ジェミナイズでブロック!ストライクヴルム・レオの効果により、自身を回復!」


「ならばこちらも滅龍帝ジエンド・ドラゴニスの効果!滅龍帝ジエンド・ドラゴニス以外の自分のスピリットが相手のスピリットにブロックされたとき、このスピリットを回復させる!」


 


ストライクヴルム・レオとジエンド・ドラゴニスが同時に起き上がり、咆哮を上げる。そしてジェミナイズとスターブレード・ドラゴンのバトルは、スターブレード・ドラゴンの振り上げた炎の刃によってジェミナイズが両断されるという決着で終了することとなる。


 


「ヴィエルジェの効果により、ジェミナイズは手札に戻る!」


「三体目のスターブレード・ドラゴンでアタック!アタック時効果!」


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


BP10000+5000→15000】


 


「合体スピリットでブロック!ホーク・ブレイカーの効果によりBP+5000!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


BP9000+3000+5000×1→17000】


 


空を飛び上がるスターブレード・ドラゴンにストライクヴルム・レオも空を飛んで攻撃する。スターブレード・ドラゴンが防御のために突き出した剣に噛みついて力任せに砕くと、そのまま押し潰すように大地へと叩き付け、スターブレード・ドラゴンを破壊する。


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア24→27】


 


「ジエンド・ドラゴニスでアタック!」


「戦神乙女ヴィエルジェでブロック!ストライクヴルム・レオ、回復!」


 


ジエンド・ドラゴニスではストライクヴルム・レオは倒せない。だからこそ、スターブレード・ドラゴンでアタックすることでブロックを強制させたのだ。ジエンド・ドラゴニスの放った稲妻がヴィエルジェを呑み込み、消し飛ばす。


 


「ヴィエルジェは手札に戻る!」


「アタックステップを終了する」


 


ヴィエルジェを手札に戻した弾を見ながら、冷静にアタックステップの終了を宣言するフィーネ。プロフェット・ドラゴンでアタックしたところでアクア・エリシオンに無駄に倒されるだけだろう。ジエンド・ドラゴニスではストライクヴルム・レオは超えられない。ライフを一気に削り、寸前まで追い込んだが、このターンではこれが限界のようだ。


 


「エンドステップ、賢者の樹の実、Lv2効果により全てのスピリットを回復させる!ターンエンド!」


「ま、マジかよ……あの猛攻を、真っ向勝負で凌ぎやがった……」


 


フィーネの連続攻撃を十二宮Xレア2体と言う犠牲に留めて防ぐ弾。しかも、破壊された十二宮Xレアは全て弾の手札に戻っている。再利用も可能だ。


 


(……やはり伝わってくる。フィーネの必死な想いが。この時をどれだけ待ち侘びていたのかを)


 


フィーネは、統一言語を取り戻し、かつてのあるべき世界を取り戻すのが目的と言っていた。それは、人が神の裁きを受ける以前の世界、弾が住んでいた世界のように、人々が言葉の上では同じ言葉を使う世界を。だが、その世界で人々が理解し合い、争いの無い、そんな新たな世界を作るとすれば、それは指導者が必要となる。人々を導き、今の時代を壊す存在が。それは、正に異界王。そう、ある意味で異界王に最も近く、弾に最も酷似し、そしてその理想は、響の持つものとほぼ同一と言える。


 


(……)


 


確かに、フィーネの求める世界が実現すれば、それは理想の世界なのかもしれない。だが、それを弾は壊す。仮にフィーネがこの世界に希望を与える存在だというのなら、あの時のように、その希望を壊す。この世界を作り出すのは、過去の存在である自分達では無く、この時代を生きる人々。だからこそ、過去を断ち切り、新たな時代に少女達が進むために弾は勝つ。この戦いを。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。光り輝く大銀河の効果により、手札の十二宮Xレアのコストを5に!双子座より再臨せよ、魔導双神ジェミナイズ!Lv3で召喚!」


 


【魔導双神ジェミナイズ:黄・スピリット


コスト7(軽減:黄4):「系統:光導・導魔」


コア3:Lv3:BP8000


シンボル:黄】


 


天空に再度出現した双子座から白と黒、色を反転させたような色合いの奇術師二人が背中合わせにくっついたようなデザインをした十二宮Xレア、ジェミナイズが降臨する。


 


「合体スピリットをLv3に、光り輝く大銀河をLv2にアップ!」


 


【獅機龍神ストライクヴルム・レオ


コア2→4:Lv2→3:BP9000→12000+3000→15000】


 


【光り輝く大銀河


コア0→2:Lv1→2】


 


「ターンエンド」


「このターンも動かずか……」


 


ジェミナイズを並べ、次のターンに備える。このターンも目立った動きはみせず、カウンターで戦力を削いでいくのを狙うようだ。しかし、その選択肢など無意味。そう確信させるほどの戦力をフィーネは繰り出す為に、十六ターン目をスタートさせる。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ。二度永遠なる神都を配置!不足コストはジエンド・ドラゴニスより確保!」


 


【永遠なる神都:赤・ネクサス


コスト4(軽減:赤2)


コア0:Lv1


シンボル:赤】


 


二枚目の永遠なる神都。その効果により、前のターンに弾が撃破したコスト8以上の赤のスピリット達、滅龍帝ジエンド・ドラゴニス2体、十剣聖スターブレード・ドラゴン1体の合計3体が全て手札へと戻っていく。


 


「くそ、折角潰したのにまた戻っていきやがった!」


「コアは既に潤っている……!」


「また、再召喚を……」


「十剣聖スターブレード・ドラゴンを召喚!不足コストはジエンド・ドラゴニスのコアを使う!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア26→23】


 


【十剣聖スターブレード・ドラゴン


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:赤】


 


そして手札に戻ったスターブレード・ドラゴンが再び炎と共に出現する。スターブレード・ドラゴンの出現、それは更なるドラゴンを呼ぶための合図に過ぎない。


 


「続け、滅龍帝!!ジエンド・ドラゴニス二体をLv2で召喚!不足コストは当然、ジエンド・ドラゴニスより確保する!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア23→11】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア3:Lv2:BP12000


シンボル:赤赤】


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア3:Lv2:BP12000


シンボル:赤赤】


 


炎の次は雷鳴が轟き、回収されたジエンド・ドラゴニスが再び召喚されていく。フィーネのフィールドに集った九体のドラゴン。先程と同じだけの戦力を再び揃えたが、ここで終わりでは芸がない。ここからさらに発展させるかのように、フィーネは己の手札に眠るカードをさらにフィールドへと繰り出す。


 


「貴様に更なる連続攻撃を喰らわせてやろう!」


「!」


「耐えられるものなら耐えてみるがいい!ブレイヴ使い、馬神弾!!今、終わりを告げし時が訪れる。断罪の龍よ、神の力持ちて降臨せよ!断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス!召喚!不足コストはLv4のジエンド・ドラゴニス、ジーク・ヤマト・フリードより確保し、Lv2!」


 


【滅龍帝ジエンド・ドラゴニス


コア11→5:Lv4→3:BP20000→16000】


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード


コア8→7:Lv4→3:BP20000→13000】


 


【断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス:赤・スピリット


コスト10(軽減:赤6):「系統:滅龍」:【激突】


コア3:Lv2:BP13000


シンボル:赤】


 


フィーネがカードを掲げた次の瞬間、彼女の前に青い魔法陣が出現する。六つの青い円が見慣れないルーン文字のようなものを刻んだ陣によって連結したそれから放たれた青白い光がフィールドへと降り注いでいく。それは無数にばらけ、流星群のように大地へと降り注いでいき、地上を破壊していく。そして破壊されていく地上から巨大な赤い魔法陣と球体をした青い魔法陣が出現し、激しい雷鳴がフィールド全域で鳴り響く。魔法陣が一斉に砕け、巨大な音を響かせる中、遂に一体の龍が姿を見せる。既に彼女のフィールドに立つドラゴン達が小型に見えるほどの全身に拘束具を付けて力を封印された巨大な白き龍が降臨する。


 


「手札のスピリットカード、プロフェット・ドラゴンを破棄!これにより、現れろ!裁きの神剣リ・ジェネシス!不足コストはジーク・ヤマト・フリードとネクサスより確保!」


 


【龍の覇王ジーク・ヤマト・フリード


コア7→5】


 


【永遠なる神都


コア2→0:Lv2→1】


 


【裁きの神剣リ・ジェネシス:赤・ブレイヴ


コスト6(軽減:赤3):「系統:剣刃」


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:赤赤】


 


フィーネの手から放たれたカードが、空を金色に染める。そして、空に巨大な穴を開いてそこから裁きの神剣をフィールドへと降臨させる。


 


「来たか……裁きの神剣!」


「裁きの神剣リ・ジェネシスを、断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニスに合体!」


 


断罪の滅龍ジャッジメント・ドラゴニス


コスト10+6→16


コア3→4:Lv2→3:BP13000→16000+10000→26000


シンボル:赤+赤赤】


 


ジャッジメント・ドラゴニスが裁きの神剣を口に加える。すると、剣から放たれた光がジャッジメント・ドラゴニスの全身へと広がっていき、その拘束具を破壊する。そして人のような両腕を解き放ち、黒い肉体の上半身が明らかとなる。その背中で裁きの神剣が十一の赤い光の剣となってジャッジメント・ドラゴニスの身体から生えるかのように出現する。


 


「遂に出てきたな……」


「裁きの神剣、そのブレイヴの威力。お前に受け切れるか?」


「やってみせるさ」


「減らず口を……ならば、やってみるがいい!!」


 


フィーネの声に呼応するかのように十体のドラゴンが咆哮を上げる。その咆哮に対抗するかのような、静かに、だが内側で熱く滾る弾の闘志を象徴するかのように、弾のフィールドの十二宮Xレア達も、フィーネの猛攻に対して構えるのだった。

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