第44話 防人の歌、隻眼の刃
新たなシンフォギア。新たな力、ソウルコア。新たな力、戦国六武将。その力を得たのは響だけではない。翼もまた、その力を得て、エクストリームゾーンへと飛び込んでいった。
「……」
両脚の装甲から生えた、青い光の翼。さながら、シンフォギアに装着されたウィングブーツというべきだろう。飛行は現在順調。戦う上で問題はない。
「スタートステップ!ドローステップ!メインステップ!門番アルパーカーを召喚!」
【門番アルパーカー:青(緑)・スピリット
コスト1:「系統:獣頭・創手」
コアS:Lv1:BP1000
シンボル:青(緑)】
黄色い麦わら帽子をかぶる白い毛並みのアルパカが出現する。登場と共に獣の鳴き声を上げ、アルパーカーが翼のフィールドに出現して下地を整える。
「続けてマジック、ストロングドローを使用!」
デッキから三枚のカードをドローし、その後、手札二枚を破棄する。翼の手札から破棄された二枚は、海帝国の秘宝と青玉の巨大迷宮。二枚の青のネクサスをトラッシュへ送り、後の為の伏線を整えていく。
「ターンエンド!」
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ。マッハジーを召喚』
【マッハジー:緑・スピリット
コスト1:「系統:怪虫」:【神速】
コア1:Lv1:BP2000
シンボル:緑】
ノイズのフィールドに出現した、黄色と黒の殻に覆われたカブトムシ型スピリット、マッハジー。通常は神速を持っているその特性を活かして手札に握っておくのが普通だが、敢えてフィールドに出したその狙いは。
『ネクサス、賢者の樹の実を配置』
【賢者の樹の実:緑・ネクサス
コスト4(軽減:緑2)
コア0:Lv1
シンボル:緑】
ノイズの背後に生えた無数の金色の幹が一つの巨大な樹木を作り出す。青々とした綺麗な枝を見せるそれは、金色の樹の実を生やしているのが確認できる。
「賢者の樹の実……」
フィーネも使用していたカード。コアブーストとスピリットの回復をこなす強力なカードだ。どうやら、これをスピリットと共にフィールドに出す為に神速を使わずにマッハジーを呼び出したようだ。
『ターンエンド』
「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!碧海の剣聖マーマリアンをLv2で召喚!」
【碧海の剣聖マーマリアン:青・スピリット
コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣使・異合・創手」
コア2:Lv2:BP5000
シンボル:青】
続く第三ターン。翼が呼び出した青のシンボルの中から、トライデントのように刃が三つに分かれた剣を握る、青い鎧を纏った人魚が出現する。緑色の髪を揺らしながら現れたそれは、ルパーカーと共に翼のフィールドで守りを厚くしていく。
「アタックステップ!マーマリアンでアタック!」
マーマリアンが剣を振るい、それによって生じた風がノイズと賢者の樹の実を揺らす。大気を揺らし、マーマリアンの振り上げた剣がノイズへと叩きつけられようとする。
『ライフで受ける』
マーマリアンの剣から放たれた三つの斬撃がノイズへ叩きつけられる。その一撃によってライフ一つが砕かれる音が響き、先制攻撃を決めることに成功する。しかし、そのアタックによって賢者の樹の実が緑の光を放つ。
『賢者の樹の実、Lv1・2効果。相手のスピリットによって自分のライフが減らされたとき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く』
賢者の樹の実に実った金色の実がリザーブへと落ちる。その実は青いコアへと変わり、リザーブに新たなコアが追加され、次のターンの攻撃のための礎となる。
「ターンエンド!」
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。アメンボーグを召喚』
【アメンボーグ:緑・スピリット
コスト2(軽減:緑1):「系統:怪虫」:【神速】
コア1:Lv1:BP2000
シンボル:緑】
緑色の細身の節々を持つ、アメンボ型のスピリットが召喚される。地上を水面のように駆ける緑の昆虫スピリット、アメンボーグ。またしても神速スピリットをメインステップで召喚、が、この召喚にも当然意味ある。
『賢者の樹の実をLv2にアップ』
【賢者の樹の実
コア0→3:Lv1→2】
賢者の樹の実がLv2になったことでネクサスがさらに強く光り輝く。これでノイズはエンドステップ時に自分フィールドのスピリットをすべて回復させることが可能となる。
『マジック、スピードスターを使用』
「コアブーストのための緑マジック……!」
『アタックステップ』
マッハジーとアメンボーグに緑の光が宿る。これにより、このアタックを防げば、コアは増えないこととなる。しかし、このアタックをブロックすれば、確実にアルパーカーは破壊されることとなる。そうなれば、翼は緑の連鎖を発揮するためのシンボルを失う事となる。
『マッハジーでアタック』
「ライフで受ける!」
となれば、このアタックはブロックできない。ライフで受ける宣言をした翼にマッハジーが突っ込んでいき、翼を守るように出現した緑の半透明のバリアが、マッハジーの鋭い角での体当たりを受け止める。翼のライフが砕ける音と共にその身体が宙を舞い、シンフォギアを上手く操作して体勢を立て直す。
『スピードスター、メイン効果。このターンの間、自分のスピリットのアタックによって相手のライフを減らしたとき、ボイドからコア2個を自分のリザーブに置く』
ノイズのリザーブにコアが新たに二つ増える。だが、これだけでは止まらない。さらにコアブーストを仕掛けていく。
『アメンボーグでアタック』
「ライフで受ける!」
アメンボーグが大地の上を滑り出す。そして翼の目の前で勢いよく地面を蹴って空中へと飛び出すと、全体重を掛けた強烈な体当たりをその身体に叩き付ける。
『スピードスター、メイン効果。このターンの間、自分のスピリットのアタックによって相手のライフを減らしたとき、ボイドからコア2個を自分のリザーブに置く』
そして増えるノイズのコア。一気に四個のコアをブーストさせ、フルアタックを終えたノイズはエンドステップへと突入する。
『エンドステップ。賢者の樹の実、Lv2自分のエンドステップ時効果。自分のスピリットすべてを回復させる』
アメンボーグとマッハジーの身体が光に包まれ、疲労状態から回復させられる。フルアタックをしてもブロッカーを用意することで、攻防一体の構えを作り出す。
「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!フォビッド・バルチャーを召喚!」
【フォビッド・バルチャー:青・ブレイヴ
コスト5(軽減:青2):「系統:戦獣・爪鳥」
コア1:Lv1:BP4000
シンボル:なし】
鎖によって身体中を繋がれた黒い翼をもつ巨大な鳥が出現する。このブレイヴの登場により、翼が最初のターンにストロングドローによって破棄したカード達が遂に機能することとなる。
「フォビッド・バルチャー、召喚時効果発揮!」
自分のトラッシュにある紫/緑/青のネクサスカードすべてを、コストを支払わずに自分のフィールドに配置するブレイヴ、フォビッド・バルチャー。その効果により、翼のトラッシュに存在する二枚のネクサスが出現し、フィールドへと移動していく。
「海帝国の秘宝、青玉の巨大迷宮をトラッシュより配置!!」
【海帝国の秘宝:青・ネクサス
コスト4(軽減:青2)
コア0:Lv1
シンボル:青青】
三体の龍の姿をした青い彫刻が絡み合い、一つの内部で赤い星々の光が巡る水晶を飾る巨大なネクサス、そしてサファイアの色をした巨大な迷宮が翼の背後に出現していく。
「フォビッド・バルチャーを碧海の剣聖マーマリアンに合体!」
【碧海の剣聖マーマリアン
コスト3+5→8:【連鎖:
コア2→3:BP5000+4000→9000】
フォビッド・バルチャーが飛翔し、空中でその胴体部分を消滅させる。そして残った黒い翼がマーマリアンの背中に装着され、二体のカードが一つとなり、青い光がその身体から溢れ出る。
「門番アルパーカーと海帝国の秘宝をLv2にアップ!」
【門番アルパーカー
コアS→S+1:Lv1→2:BP1000→2000】
【海帝国の秘宝
コア0→1:Lv1→2】
「アタックステップ!合体スピリットでアタック!碧海の剣聖マーマリアン、合体時効果!このスピリットのアタック時、デッキから2枚ドローする!」
マーマリアンの合体アタック時、自分はデッキから二枚ドローし、その後、手札一枚を破棄する。しかし、翼のフィールドに存在するネクサス、海帝国の秘宝、Lv2効果によって、自分のアタックステップ時、自分の青のスピリット/アルティメットの効果で破棄される自分の手札の枚数を一枚減らすことを可能とする。それにより、マーマリアンの効果によって破棄されるカードはマーマリアンの指定した枚数より一少ない枚数となる。よって、カードを一切破棄することなく手札を増やすことが可能となったのだ。
「さらに連鎖発揮!ボイドからコア1個をこのスピリットに置く!Lv3へ!」
【碧海の剣聖マーマリアン
コア3→4:Lv2→3:BP5000→6000+4000→10000】
門番アルパーカーは自身の色とシンボルを緑としても扱う。その効果によってマーマリアンの連鎖のための条件が満たされる。そして振り上げられたマーマリアンの剣。それを前にしたノイズが下した言葉は。
『ライフで受ける』
ライフで受けること。背中の翼によって天高く飛翔し、急降下して威力を高めた斬撃がノイズの二つ目のライフを破壊する。しかし、これによって再び賢者の樹の実は効果を適用させる。
『賢者の樹の実、Lv1・2効果。相手のスピリットによって自分のライフが減らされたとき、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く』
さらにリザーブに金色の樹の実が落下し、果実がコアへと変わる。相手が自由に使えるコアが次々と増えていく光景を見ながら、翼は冷静に次の選択を口にする。
「ターンエンド」
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。アメンボーグをLv2にアップ
【アメンボーグ
コア1→3:Lv1→2:BP2000→4000】
『アタックステップ。マッハジーでアタック』
アメンボーグのLvをアップさせ、攻撃を仕掛けるノイズ。アメンボーグが再び出撃し、翼のライフを奪い取ろうとする。この後でマッハジーが再びアタックした場合、翼の残りライフは一つだけとなる。いや、賢者の樹の実のことを考えれば向こうは確実にマッハジーでアタックをしようとするだろう。このアタックをブロックするか。一瞬だけ思考を展開すると、翼はこの状況で自分が下す選択肢を口にする。
「ライフで受ける!」
アメンボーグが翼を守るために出現した半透明な緑色のバリアを突き破る。そのダメージと威力によって宙を舞う翼は、再び復帰しながらフォビッド・バルチャーの力を発揮させる。
「フォビッド・バルチャー、合体時効果!コスト4以下のスピリットがアタックしているバトルが終了したとき、アタックステップを終了する!」
アメンボーグがアタックを終了した瞬間、マーマリアンの背中のフォビッド・バルチャーの翼が大きく広げられ、青い旋風がフィールド全域で吹き荒れる。その風に阻まれてアメンボーグはそれ以上動く事が出来ず、マッハジーも同様に動くことはできずに元のフィールドへ縛り付けられてしまう。
『エンドステップ。賢者の樹の実、Lv2自分のエンドステップ時効果。自分のスピリットすべてを回復させる』
そしてエンドステップ。賢者の樹の実の力によって疲労したアメンボーグが回復、そして次のターンが訪れる。
「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップはこのまま!アタックステップ!合体スピリットでアタック!アタック時効果で2枚ドロー、そしてボイドからコアを追加!」
【碧海の剣聖マーマリアン
コア4→5】
コアと手札を増やし、貪欲に相手のライフを狙いに行くマーマリアン。しかし、そのアタックを前にしたノイズの手札に握られた一枚のカードが強く光り輝く。
『フラッシュタイミング。蛮騎士ハーキュリーをLv2で神速召喚』
【蛮騎士ハーキュリー:緑・スピリット
コスト7(軽減:緑3):「系統:戦騎」:【神速】
コア4:Lv2:BP9000
シンボル:緑】
ノイズの背後から風が吹き荒れる。疾風を纏って現れたのは、金色のランスを装着した、赤いたてがみを持つ馬。その足は昆虫のような鋭い殻に覆われており、その足は八本存在している。その騎馬の背中に連結している、クワガタのような二本の巨大な顎を持つ、手が巨大な剣となっている騎士。ハーキュリー、そう呼ばれる緑のXレアが、翼のアタックを迎撃する為に呼び出される。
「!」
『蛮騎士ハーキュリーでブロック。フラッシュタイミング、マジック、ブリーズライドを使用。不足コストは賢者の樹の実から確保』
【賢者の樹の実
コア3→2:Lv2→1】
『このターンの間、スピリット1体をBP+3000する。蛮騎士ハーキュリーを指定』
【蛮騎士ハーキュリー
BP9000+3000→12000】
ハーキュリーへと降り注ぐオレンジ色の風。その風がハーキュリーの中に吸い込まれていき、剣へとその風が纏われる。そして、ハーキュリーはこちらへ向けて飛行してくるマーマリアンを真正面から迎え撃ち、突き上げられた剣を自身の剣でいとも簡単に弾き飛ばす。さらに返しの刃でその身体を切り裂いてマーマリアンを迎撃してみせる。
「っ……フォビッド・バルチャー、分離!」
【フォビッド・バルチャー
コア1:Lv1:BP4000
シンボル:なし】
マーマリアンの身体が光と共に消え、背中の翼だけが残る。残った翼にはフォビッド・バルチャーの胴体が復活し、その身体を再びスピリットとして生成する。
「ターンエンド……!」
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。マッハジー、賢者の樹の実をLv2にアップ』
【マッハジー
コア1→3:Lv1→2:BP2000→3000】
【賢者の樹の実
コア2→3:Lv1→2】
『アタックステップ。蛮騎士ハーキュリーでアタック』
ハーキュリーが剣を振り上げ、馬の前足を上げる。それと共に馬が大きく鳴き、大地を踏みしめながら翼へと迫ってくる。そのアタックを前に、翼は手札から一枚のマジックを繰り出す事で防御しようとする。
「フラッシュタイミング!マジック、コールオブディープ!」
ブロックされない効果を持つ相手スピリット1体を破壊するマジック、コールオブディープ。しかし、その効果の対象となるスピリットは相手のフィールドには存在しない。だが、このマジックの本質はそこにはない。
「続けて連鎖発揮!コスト4以下の相手のスピリット2体、マッハジーとアメンボーグを疲労させる!」
アルパーカーが持つ緑のシンボルが輝き、翼の連鎖を成立させる。マッハジーとアメンボーグの身体が青い霧のようなもので覆われていき、その力を削ぎ落されたように地に崩れ落ちる。しかし、二体のアタックを防いでも、残ったハーキュリーのアタックまではそうはいかない。
「このアタックはアルパーカーでブロック!」
ハーキュリーの振り上げた剣がアルパーカーの胴体を突き破る。そのままアルパーカーを壁に投げ飛ばして勢いよくめり込ませると、剣に風を纏わせ、その一撃をアルパーカーへと叩きつけて一瞬で消し飛ばす。
『エンドステップ。賢者の樹の実、Lv2効果』
疲労した三体のスピリットが全て回復する。だが、このエンドステップで行われる行動はまだこれだけではない。
『自分のトラッシュにあるブリーズライド1枚は、自分のエンドステップに手札に戻る。この効果はターンに1回しか使えない』
ノイズのトラッシュから手札へと戻っていくブリーズライド。その効果を使えば、再びハーキュリーをBP12000へと強化し、翼を迎撃できる。迂闊なアタックはできないということだろう。ならば、次なる攻撃の手段を用意するだけだ。そう決断しながらデッキに手を伸ばす。
「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!鼬の暗殺者ウィゼーブをLv2、二体目の門番アルパーカーをLv1で召喚!」
【鼬の暗殺者ウィゼーブ:青・スピリット
コスト0:「系統:獣頭」
コア2:Lv2:BP2000
シンボル:青】
【門番アルパーカー
コア1:Lv1:BP1000
シンボル:青(緑)】
空いたフィールドを埋めるように出現する二体のスピリット。暗殺者の着るような黒装束にその実を包み、素肌を見せない鼬の顔をした人型スピリット、ウィゼーブ。両手に鋭い刃の生えた武器を握るそのスピリットの隣で二体目のアルパーカーが鳴き始める。これで、条件は整った。
「……」
フォニックゲインを高める。最高に高めたフォニックゲインで最強の力を手に入れる。とは言わないが、今のシンフォギアを纏う自分ならば、以前よりも高密度のエネルギーを生じさせることが可能だ。その証を、歌として呼び起こす。
「我が刃よ、防人の歌と共にその剣を顕現せよ!アルティメット・オライオン、召喚!!」
【アルティメット・オライオン:青・アルティメット
コスト8(軽減:青3・極1):「系統:新生・闘神」
コアS:Lv3:BP15000
シンボル:極】
翼の歌と共に大地がひび割れていき、そこから巨大な土煙が大地が崩壊する音と共に出現していく。煙の中からゆっくりと現れる、金色の装甲を両腕や腰、胸などに纏った、金髪の巨人。その赤い目と青い皮膚に秘められた戦士としての覚悟と、その巨大な剣に刻まれた力を翳し、アルティメット・オライオンは降臨する。
「アルティメット・オライオン、召喚時効果!Uトリガー、ロックオン!!」
翼の手に握られた刃が振るわれる。瞬間、それは蒼の斬撃へと変わって放たれ、ノイズのデッキの一番上のカードをトラッシュへと落とす。そこにあったのは、キグナ・スワン。コスト1のカードだ。
「クリティカルヒット!コスト合計12まで相手のスピリットを好きなだけ破壊する!」
マッハジー、コスト1。アメンボーグ、コスト2。そして蛮騎士ハーキュリー、コスト7。その合計は10、よって、全てのカードがアルティメット・オライオンの効果の射程圏内に入る。
「蹴散らせ!アルティメット・オライオン!!」
アルティメット・オライオンの剣が光を纏う。蒼の一閃となって剣から放たれた巨大な斬撃は、一切の抵抗を許さずに三体のスピリットを呑み込み、一撃で粉砕してみせる。
「さらに、相手のデッキを12枚破棄!」
ヒットしたカードのコストが5以下であった場合、クリティカルヒット効果として相手のデッキを12枚破棄する。天帝ホウオウガ、マッハジー、キグナ・スワン、カルガモード、アメンボーグ、天帝ホウオウガ、賢者の樹の実、ウィンドウォール、シュライクン、光速三段突、バックアタック、蛮騎士ハーキュリー。一気に大量のカードを破棄し、フィールドを一掃した翼は、さらに戦力を増強する為に、自分が得た新たな刃を取り出す。
「斬り裂け、天羽々斬!出現せよ、アームドギア!!星銃剣アンタレス、召喚!」
【星銃剣アンタレス:青・ブレイヴ
コスト3(軽減:青1・緑1):「系統:剣刃」
シンボル:なし】
翼のフィールドに出現する青い一振りの剣。その剣には、銃のスコープやトリガー、そして剣の先に銃口が装着されており、剣と銃が一体となった武器であることを見た者に知らしめている。
「星銃剣アンタレスを、アルティメット・オライオンへ直接合体!!」
【アルティメット・オライオン
コスト8+3→11:【連鎖:
BP15000+2000→17000
シンボル:なし】
アンタレスがアルティメット・オライオンの左手に握られ、その身体から青い光が解き放たれる。アームドギアのブレイヴ化。新たな力は、今、翼のアルティメットを更なる高みへと上り詰める。
「アタックステップ!合体アルティメットでアタック!星銃剣アンタレス、合体時効果!アタック時、BP+3000!」
【アルティメット・オライオン
BP15000+2000+3000→20000】
「さらに、連鎖発揮!緑のシンボル1つ追加!」
【アルティメット・オライオン
シンボル:青+緑】
緑のシンボルが存在することでアタック時、さらにシンボルを追加するアンタレスの効果。それによって一撃のダメージを増やされ、アルティメット・オライオンの前に現れた緑のシンボルが二本の剣に吸い込まれていき、その柄同士をアルティメット・オライオンが連結させると、二本の剣が一つに合わさり、ダブルブレードへと変形する。それに炎を纏わせながら駆け出したアルティメット・オライオンはダブルブレードを回転させながらノイズへ迫る。
『フラッシュタイミング。マジック、ウィンドウォールを使用。ライフで受ける』
アルティメット・オライオンの振り上げた炎の回転する刃が、ノイズへと叩きつけられる。ダブルシンボルの一撃が、ノイズのライフを一気に二つ消し飛ばすが、そのアタック終了後。ノイズのフィールドに荒れ狂う風が展開される。
『このバトルが終了したとき、アタックステップを終了する。連鎖発揮』
賢者の樹の実の緑のシンボルが強く輝き、ウィンドウォールによって出現した風の中から緑の風が翼のフィールドへとその手を伸ばしていく。その風は、ウィゼーブを絡み取ると回復状態から疲労状態へと変えてしまう。
『相手のスピリット1体を疲労させる』
「……ターンエンド」
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。凍獣マン・モールをLv3で召喚』
【凍獣マン・モール:白・スピリット
コスト8(軽減:白4):「系統:巨獣」:【装甲:赤/紫/緑/黄/青】
コア8:Lv3:BP10000
シンボル:白】
瞬間、大地がひび割れ、凍り付いていく。大地を揺らす振動と共にひびは崩れていき、そこから現れた巨大なマンモス。鼻の先は巨大な鉄球となっており、全身には白く輝くコアの光が存在しており、獣の雄叫びと共にマン・モールはノイズのフィールドに出現する。
「!」
『アタックステップ。凍獣マン・モールでアタック』
「フォビッド・バルチャーでブロック!」
フォビッド・バルチャーが翼を広げ、突進してくるマン・モールへ足を叩き付ける。しかし、マン・モールの巨体にはその攻撃は何の意味も成さない。その身体を鼻を巻き付けて拘束すると、勢いよく地面に叩きつけて破壊し、勝利の雄叫びを上げる。
『エンドステップ』
そして賢者の樹の実の力によってマン・モールは再び回復する。相変わらず厄介な効果だと翼は内心で呟く。それだけではない。ノイズのデッキにはアタックステップを終了させるマジックもあることは先程のターンに明らかとなっている。この状況を打開するには、それを考慮した攻撃を行わなければならなくなるだろう。
「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!」
ドローステップ。翼がカードを引いた瞬間、そのカードの鼓動を感じ取る。まるで、シンフォギアの意志、いや、これはシンフォギアと自分が作り出した、歌。歌には血が流れている。そう例えるべきもの。これこそが、戦士としての自分の一部であり、自分自身が力なのだ。
「リフレッシュステップ!」
この力、その切れ味、使い心地。それを試す良い機会だ。この強大な力があれば、おそらく、ノイズの明らかとなっていない手札に秘められたカードが何であったとしても道を切り開けるだろう。そう信じ、翼はそのカードに手を伸ばす。
「メインステップ!」
やるべきことは変わらない。瞳を閉じ、カードに意識を集中させ、そのカードの力を最大限に引き出すための歌を紡ぐ。彼女の人々の心を震わせるその歌声は、彼女の手に秘められた隻眼の龍のカードに金色の刃を宿す。
「顕現せよ!激流の隻眼の龍!!その剣を、掲げよ!!戦国六武将タイダル・ブルー、召喚!Lv4!!」
【戦国六武将タイダル・ブルー:青・アルティメット
コスト8(軽減:青4):「軽減:次代・獣頭」:【ソウルドライブ】
コア4:Lv4:BP26000
シンボル:極】
翼がアルティメットを呼び出す。彼女の目の前で天高く伸びる巨大な水柱が出現し、その中で五つの瞳が鋭く光る。と、次の瞬間、無数の水が斬り払われ、宙を霧散していく。その中から現れたのは、三つの首を持つ、青い鎧を纏った巨大なドラゴン。メインとなる中央の龍の頭には兜の角のような二本の金色の角が生えており、右目には眼帯が付けられて隻眼となっている。その右手に握られた刃から垂れる水滴をさらに一振りで振り払うと、タイダルブルーは咆哮を張り上げる。
「これが戦国六武将……!タイダル・ブルーのコアと合体アルティメットのソウルコアを交換!」
【アルティメット・オライオン
コアS→1】
【戦国六武将タイダル・ブルー
コア4→S+3】
続けて、タイダル・ブルーのコアとアルティメット・オライオンのソウルコアを交換する。これは、コアを外して移動させるわけではないため、アルティメット・オライオンのコアは0個になった扱いにはならず、消滅することはない。
「アタックステップ!戦国六武将タイダル・ブルーでアタック!!」
タイダル・ブルーの剣に蒼の光が宿る。そして振り上げられた刃が、ソウルコアの力を吸収していく。
「発動せよ!ソウルドライブ!!」
【戦国六武将タイダル・ブルー
コアS+3→3:Lv4→3:BP26000→16000】
翼の目の前にソウルコアが放たれる。翼が瞳を閉じたその一瞬、翼はその一瞬でソウルコアを己の剣で叩き切る。両断されたソウルコアの内側に秘められていた膨大なエネルギーが溢れ出し、それが引き金となってタイダル・ブルーの全身から青い闘気が立ち昇っていく。が、次の瞬間にその闘気は全て刀に収束していき、タイダル・ブルーが振り下ろしたことによって放たれた巨大な蒼の一閃はノイズを切り裂く。が、それは相手にダメージを与えるものではない。現に、ソウルドライブの力を受けたノイズに損傷はなく、フィールドにも変化はない。
「そしてこれが、メインのアタック!!」
『凍獣マン・モールでブロック。凍獣マン・モール、Lv1・2・3効果。自分の白のスピリットすべてにこのスピリットのブロック時、このスピリットをBP+2000するという効果を与える』
『凍獣マン・モール
BP10000+2000→12000』
しかし、BPを増やしてもこれでは12000止まりだ。手札のブリーズライドを使われたとしてもそのBPは僅かに1000足りない。そのBP差を逆転するマジックが、果たしてノイズの手札に秘められているのか。
『フラッシュタイミング。マジック、ウィンドウォールを使用。不足コストは賢者の樹の実より確保』
【賢者の樹の実
コア3→0:Lv2→1】
二枚目のウィンドウォールが使用され、タイダル・ブルーへと果敢に攻め込むマン・モールの鼻が簡単に斬り落とされる。そのまま間髪いれずに返しの刃でマン・モールを下から上へと切り上げる様にして上空へ吹き飛ばすと、同時に自分も空へと飛び上がり、そのまま大地へを刃を振り下ろしてマン・モールを斬りながら大地へ叩き落とす。が、それと引き換えにバトル終了時、ウィンドウォールの効果によってアタックステップが終了させられる。さらに、賢者の樹の実が緑のシンボルを持つことで再び連鎖が発揮、
『鼬の暗殺者ウィゼーブを疲労』
「ターンエンド」
翼のブロッカーが一体潰される事となる。そして続くノイズのターン。限界まで追い込みつつも倒せなかった今、ドローカード1枚で逆転される可能性もある。
『スタートステップ、コアステップ、ドローステップ』
が、既に手は打っていた。ドローステップ。そこまで宣言し、手札を二枚にノイズが増やした次の瞬間、ノイズのトラッシュとフィールドに薄い水の膜が出現していく。さらに、ノイズの手札すべてにも刃が突き刺さり、まるで影でも縫われたかのようにその動きを止めてしまう。
「既にタイダル・ブルーのソウルドライブは発揮されている!お前は今、アタックステップにいる!」
翼が宣言した瞬間、ノイズのフィールドと手札に与えられていた影響が全て消滅していく。タイダル・ブルーが持つLv3・4アタック時効果に続けて発揮することのできるソウルドライブ。タイダル・ブルーが持つソウルドライブをゲームから除外することにより、相手は次のターンのリフレッシュステップとメインステップを行う事ができなくなり、ノイズはリフレッシュステップとメインステップを飛ばし、ドローステップの後にそのままアタックステップへと突入されたのだ。そして、アタックできるカードがない以上、フラッシュタイミングを作り出して神速スピリットを呼ぶことも不可能。ノイズにこのターン行う事のできる行動は存在しない。
『ターンエンド』
「この好機、逃しはしない!スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップはこのまま!アタックステップ!タイダル・ブルーでアタック!!」
タイダル・ブルーが再び刃を構え、ノイズへとその剣先を向ける。その刃が狙うのは、ノイズが持つ最後のライフだ。それを素振りで示すと、大地が砕くほどの衝撃を発生させながら地を蹴って飛び出し、ノイズの胸元へ向けて刀を突き出す。
『ライフで受ける』
そして、防ぐ策が残っていないノイズは、翼のアタックをその身で受け止めて消し飛んでいく。その姿を最後まで見届けた翼は、他の皆が待っているであろうエクストリームゾーンの外へと出ていくのだった。
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