第42話 シンフォギア

弾 ライフ:3 リザーブ:2 トラッシュ:7 手札:3


 


フィールド


 


【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン:赤+紫・スピリット


コスト7(軽減:赤3):「系統:神星・星竜」


コア1:Lv1:BP6000+4000→10000


シンボル:赤】



【騎士王蛇ペンドラゴン】


 


 


 


奏 ライフ:4 リザーブ:0 トラッシュ:2 手札:6


 


フィールド


 


【リューマン・クロウ:赤・スピリット


コスト0:「系統:竜人」:【スピリットソウル:赤】


コア2:Lv2:BP2000


シンボル:赤】


 


【カグツチドラグーン:赤・スピリット


コスト4(軽減:赤2):「系統:古竜」:【激突】


コア3:Lv2:BP6000


シンボル:赤】


 


 


ネクサス


 


【千識の渓谷:赤・ネクサス


コスト4(軽減:赤2)


コア2:Lv2


シンボル:赤】


 


 


イセカイ界で行われる弾と奏のバトル。現在、十ターン目が終了し、十一ターン目に入ろうとしていた。弾のフィールドに騎士王蛇ペンドラゴンと合体した太陽神龍ライジング・アポロドラゴンが疲労状態で存在しており、対する奏のフィールドには疲労状態のリューマン・クロウとカグツチドラグーンが存在し、ネクサスは千識の渓谷がLv2で配置されている。そして次のターンのプレイヤーは弾だ。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ブレイヴドローを使用。デッキから2枚ドロー、その後デッキを上から3枚オープン」


 


輝竜シャイン・ブレイザー、光龍騎神サジット・アポロドラゴン、イグア・バギー。弾のデッキの上からオープンされた三枚のカードの内、ブレイヴであるシャイン・ブレイザーのカードが一際強く光り輝く。


 


「その中のブレイヴカード1枚を手札に加え、残りは好きな順番でデッキの上に戻す。輝竜シャイン・ブレイザーを手札に加え、光龍騎神サジット・アポロドラゴン、イグア・バギーの順番で残りをデッキに戻す」


 


切り札であるサジット・アポロドラゴンをデッキの上から二番目に置いたのは、トリガーへの対策だろうか。それとも別の狙いがあるのか。奏がそこについても考え始める中、弾はこのドローで引いたと思われるスピリットを呼び出す。


 


「ニジノコを召喚」


 


【ニジノコ:黄(赤)・スピリット


コスト1:「系統:戯狩」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:黄(赤)】


 


続けてブレイヴドローの効果によってドローされたニジノコが召喚される。ライジングを出撃させることによって薄くなる守りをカバーする為に呼ばれた意味合いがこの状況では強いだろう。


 


「合体スピリットをLv3にアップ」


 


【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン


コア1→5:Lv1→3:BP6000→11000+4000→15000】


 


「アタックステップ、斬り裂け、合体スピリット!騎士王蛇ペンドラゴン、合体時効果により、カグツチドラグーンのコア1個をリザーブへ!」


 


【カグツチドラグーン


コア3→2:Lv2→1:BP6000→3000】


 


「続けてライジング・アポロドラゴンの効果!カグツチドラグーンへ指定アタック!」


 


ライジング・アポロドラゴンの両手の剣から放たれた斬撃がカグツチドラグーンのコアをリザーブへと移動させ、Lv1へと下げさせる。そしてBPを下げられたカグツチドラグーンへライジング・アポロドラゴンは咆哮を響かせて激突していく。


 


「フラッシュタイミング!双光気弾!コストはカグツチドラグーンから使う!」


 


【カグツチドラグーン


コア2→0】


 


カグツチドラグーンが消え、ライジング・アポロドラゴンの刃が空を切る。しかし、カグツチドラグーンが消えたと同時にカグツチドラグーンがいた所から二つの巨大な炎が発生していく。


 


「双光気弾の効果により、相手合体スピリットのブレイヴを破壊する!騎士王蛇ペンドラゴンを破壊!」


 


その二つの炎はライジング・アポロドラゴンへと襲い掛かる。それをペンドラゴンを交差させて防ぐ素振りを見せるが、その剣を炎は容赦なく燃やし尽くしていく。


 


「セットしなかった……ということは、カグツチドラグーンの効果で引いていたのか?」


「さぁ、そいつは私にも分からないね?もしかしたら、最初から手札にあったかもしれないぞ?」


「ふっ……ターンエンドだ」


(うーん、クールで食えない男だね……でも、もしこういう男といたらもっと過激な刺激を得ることができていたのかも)


 


もしあの場所で死なないで生きた状態でこの男と会っていたら、もっと楽しい事ができていたんじゃないのだろうか。このバトルを続けていると、そう思わずにはいられない。しかし、現実はそうはいかない。自分は既に死んでいる亡霊であり、次の戦いのために弾と戦っているのだ。本来なら有り得ない、死者がこの世に未練も何も残していないのに現存し、戦っているという奇跡。もしその奇跡のために自分がこの場所にいるのだとしたら。


 


精一杯楽しまなければ損だろう。


 


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!」


 


奏のフィールドにはネクサス、千識の渓谷が存在する。そのLv2効果により、奏は自分のドローステップ時にドローする枚数を+1枚することとなる。それにより、もう一枚のカードをドローし、二枚手札を増やしていく。そしてドローしたカードの中の一枚を見て、奏はふっと口元に笑みを浮かべていく。


 


(……流れが変わった。来る……!)


「リフレッシュステップ!メインステップ!リューマン・クロウをLv1にダウン!」


 


【リューマン・クロウ


コア3→1:Lv2→1:BP2000→1000】


 


「そして、スピリットソウル発揮!リューマン・クロウに赤のシンボルを1つ追加!」


「!」


 


【リューマン・クロウ


シンボル:赤+赤】


 


スピリットソウル。それは、自分がアルティメットを召喚するときにこの効果を持つスピリットが自分のフィールドに存在すれば、そのスピリットが指定するスピリットソウルの色に対応したシンボルが追加される効果。リューマン・クロウが持つのはスピリットソウル:赤。よって、奏がアルティメットを召喚する場合、リューマン・クロウに赤のシンボルが追加され、赤のダブルシンボル分の軽減をこなすカードとして扱う事ができるようになるのだ。


 


「……」


 


そして一枚のカードを翳す奏。その瞳が閉じられ、彼女の口から一筋の歌が奏でられる。聴く者達を魅了する歌声がイセカイ界へと響き渡り、彼女の中で増幅されたそのフォニックゲインは、一体の赤きアルティメットを作り出すこととなる。


 


「願いが、歌が繋ぐ力!ゲートを開き、金色の龍よ、来たれ!アルティメット・ジークフリード、Lv5で召喚!!」


 


【アルティメット・ジークフリード:赤・アルティメット


コスト6(軽減:赤3):「系統:新生・古竜」:【真・覚醒】


コア5:Lv5:BP20000


シンボル:極】


 


中央の台座が開かれ、そこから巨大な炎が天高く吹き上げていく。巨大な炎の波となったその荒波の中を縦横無尽に駆け回る金色の龍が、その翼の一振りで炎の荒波を全て吹き飛ばすと奏のフィールドに降り立ち、全身に纏う金色のオーラを解き放ち、その下にある紅蓮の装甲を見せる。緑色の目を輝かせ、奏のフィールドに降り立ったアルティメット・ジークフリードは咆哮を上げて弾を威嚇する。


 


「来たか!アルティメット!」


「どうやら、このデッキを作ってるのは私の魂みたいだから使えて安心したよ」


 


少しだけ安堵したように声を漏らす奏。シンフォギアと己のシンボルによって作り出されるアルティメット。しかし、今の奏にシンフォギアはない。ならばアルティメットを手にする事は出来る筈はないのだが、どうやらシンフォギアと言う鎧は使用していく内に彼女の魂にもその力を影響させていたようだ。現に彼女の魂は、その内に秘められたシンフォギアの持つマザーコアの僅かなエネルギーを宿しているおかげでこうしてアルティメット・ジークフリードを使う事ができるようになっている。


 


「アルティメット、遂に出てきたか!」


「ターンエンド」


「どうした?一気に攻めてこないのか?」


「気分じゃないんだ」


 


そう返すが、彼女としてはここでトリガーを放ったところで弾のデッキの切り札であると思われるサジット・アポロドラゴンを落とせないという事実があったからこそ、アタックを踏み止まったのだ。無論、確実にトリガーがヒットするという状況ではあるのだが、ここは目の前の利益よりも後に得られるかもしれない大物を待ち構える為に敢えて泳がしておくために、敢えてアタックを仕掛けなかったのだろう。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ……こちらはもっと展開させてもらうぞ!」


「まだ何か出てくるのかい?」


「新たな十二宮Xレアをここに!双子座より来たれ!創造と破壊、二つの顔を持つ天空の魔術師!魔導双神ジェミナイズ、召喚!不足コストは、ライジング・アポロドラゴンより確保!」


 


【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン


コア5→4:Lv3→2:BP11000→9000】


 


【魔導双神ジェミナイズ:黄・スピリット


コスト7(軽減:黄4):「系統:光導・導魔」


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:黄】


 


双子座の黄色い光が台座の上に出現する。そこから激しい閃光が放たれ、周囲の全てを白く染める中、無機質にすら思える細い腕を持つ奇妙な姿をした白と黒、それぞれカラーリングの違う奇術師二人が背中合わせに繋がったような容姿を持つスピリットが光を払って出現し、ライジング・アポロドラゴン達の隣にふわりと浮かび上がる。


 


「さっきのシュタイン・ボルグみたいな……」


「イグア・バギーを召喚!不足コストはライジングより確保する!」


 


【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン


コア4→3】


 


【イグア・バギー:白(赤)・スピリット


コスト1(軽減:白1・赤1):「系統:機獣・星魂」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:白(赤)】


 


ジェミナイズの効果を使用するためにイグア・バギーを召喚する弾。空中を走るように出現した緑色の車体を持つ四輪バギーの姿をしたスピリット、イグア・バギーがエンジン音を鳴らしているのと同時に、その出現に影響されたかのようにジェミナイズの全身から黄色い光の波動が放たれていく。同時に、弾のフィールドのジェミナイズのカードからも黄色い光の波動が周囲へと広がっていくのが確認出来る。


 


「この効果は……」


「魔導双神ジェミナイズの効果により、系統:「神星」/「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリットが手札から召喚されたとき、自分のデッキを上から1枚オープンする。そのカードがスピリットかブレイヴならば、ノーコストで召喚できる」


「ってことは、今デッキの上にあるのは……!!」


 


光龍騎神サジット・アポロドラゴン。先程のターンに用心をしてアタックをしなかったことが裏目に出た事に奏は内心悔しそうに拳を握る。弾のデッキの上からゆっくりとオープンされていくサジット・アポロドラゴンのカード。それが、弾の手で赤い太陽を作り出す。


 


「さらに十二宮Xレア!射手座より来たれ、光龍騎神サジット・アポロドラゴン、Lv2で召喚!不足コストはライジングとイグア・バギーより確保!」


 


【イグア・バギー


コア1→0】


 


【太陽神龍ライジング・アポロドラゴン


コア3→1:Lv2→1:BP9000→6000】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤4):「系統:光導・神星」


コア3:Lv2:BP10000


シンボル:赤】


 


中央の台座は動かない。代わりに、遥か高い天の果てに熱く、赤く燃え上がる太陽が出現する。その太陽の中で、暴れ狂う太陽の荒波の中を慣れたように疾走する馬の足を持つ、龍の上半身を持つ龍が太陽を蹴り、炎を纏ってフィールドへと現れる。一本の巨大な弓を持つその龍は、出現と共に自身を中心として巨大な紅蓮の射手座の光を輝かせ、咆哮を響かせる。


 


「こ、こいつは洒落にならなそうだ……!」


「アタックステップ!サジット・アポロドラゴンでリューマン・クロウを指定アタック!」


 


サジット・アポロドラゴンが弓を構え、そこから一本の矢をリューマン・クロウへと放つ。光に匹敵するかという速度で放たれたその矢を、リューマン・クロウは視認することも出来ずに気付いたときにはその身体を貫かれ、燃えるように消えていた。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!ここは一気に畳みかけてやる!こい、焔竜魔皇マ・グー、召喚!不足コストはアルティメット・ジークフリードと千識の渓谷から確保しLv2で召喚する!」


 


【アルティメット・ジークフリード


コア5→3:Lv5→4:BP20000→14000】


 


【焔竜魔皇マ・グー:赤・スピリット


コスト7(軽減:赤3+赤1):「系統:竜人・古竜」


コア3:Lv2:BP8000


シンボル:赤】


 


台座が開かれ、そこから新たな竜がその姿を見せる。両端に刃が取り付けられたダブルブレードと巨大な鎌を握る、赤い刻印を身体に刻んだ漆黒の竜がアルティメット・ジークフリードの隣でその翼を広げていく。


 


「……!」


「焔竜魔皇マ・グーは、Lv2・3のとき、系統:「古竜」を持つ自分のスピリットすべてに赤のシンボル1つを追加する!」


 


【焔竜魔皇マ・グー


シンボル:赤+赤】


 


マ・グーの前に赤のシンボルが出現し、それがマ・グーの中に吸い込まれていく。ダブルシンボルとなったことでマ・グーの力は更なる展開の補助のために使用することが可能となる。


 


「カグツチドラグーンを召喚!不足コストはマ・グーから確保!」


 


【焔竜魔皇マ・グー


コア3→1:Lv2→1:BP8000→5000】


 


【カグツチドラグーン:赤・スピリット


コスト4(軽減:赤2+赤1):「系統:古竜」


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:赤】


 


三体目のカグツチドラグーンが召喚される。彼女の場に存在するネクサス、千識の渓谷の効果によって、彼女の手札の系統:「覇皇」/「古竜」を持つスピリットは赤の軽減シンボルが一つ増えている。それにより、赤の軽減シンボルを三つに増やしたカグツチドラグーンを可能な限り低コストで呼び出す事に成功したのだ。


 


「アタックステップ!マ・グーの効果!アタックステップ開始時、自分のトラッシュのコアを好きなだけこのスピリットに置く!Lv3にアップ!」


 


【焔竜魔皇マ・グー


コア1→8:Lv1→3:BP5000→10000】


 


マ・グーにトラッシュにあるコアの全てが移されていく。それによってBPは10000という五桁の領域へと差し掛かり、さらにLvが上昇したことにより、マ・グーの力によって奏のフィールドの二体の古竜がその恩恵を受ける事となる。


 


「マ・グーの効果で、自分のアタックステップの間、系統:「竜人」/「古竜」を持つ自分のスピリットすべてをBP+3000!」


 


【焔竜魔皇マ・グー


BP10000+3000→13000】


 


【カグツチドラグーン


BP3000+3000→6000】


 


「さらに、Lv2・3効果で赤のシンボルを1つ追加!」


 


【焔竜魔皇マ・グー


シンボル:赤+赤】


 


【カグツチドラグーン


シンボル:赤+赤】


 


「ダブルシンボルを増やしてきたか……!」


「アルティメット・ジークフリードでアタック!アタック時効果!Uトリガー、ロックオン!」


 


奏の両腕の篭手の部分が分離し、それが一つとなって槍へと変形する。その槍を回転させながらエネルギーを先端へとチャージすると、それを弾へ向けて一筋の光線として放ち、弾のデッキをトラッシュへと落としていく。


 


「牙皇ケルベロード、コストは5だ」


「ヒット!相手はスピリットでブロックすることが可能なら、必ずブロックしなければならない!」


「ニジノコでブロック」


 


ニジノコでブロックを宣言する弾。次の瞬間、アルティメット・ジークフリードが吠えるのと同時に弾のライフが一つ砕け散る。


 


「!」


「アルティメット・ジークフリードのトリガーがヒットしたアタックを相手がスピリットでブロックしたとき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く!」


 


相手にブロックを強いる激突の効果に加え、実質的なライフ貫通効果。アルティメット・ジークフリードが咆哮と共にライフを打ち砕き、自分の前に立ち塞がったニジノコをいとも簡単に踏みつけて押し潰す。


 


「カグツチドラグーンでアタック!」


 


カグツチドラグーンが走り出す。このアタックを受ければダブルシンボルのアタックで全てのライフが砕ける。となれば、弾が取れる選択肢はブロックしかない。が、


 


「フラッシュタイミング!マジック、バーニングサンを使用!手札のブレイヴ、輝竜シャイン・ブレイザーをノーコストで召喚、サジット・アポロドラゴンに直接合体!さらに回復!」


 


【輝竜シャイン・ブレイザー:赤・ブレイヴ


コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:星竜・機竜」


シンボル:赤】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


コスト8+5→13


BP10000+5000→15000


シンボル:赤+赤】


 


弾の繰り出したマジックから放たれた光が弾のフィールドへと放たれる。その光の中で白く輝く機械の翼を広げる機械竜、シャイン・ブレイザーが飛行音と共にその両翼のみを分離させ、頭などのパーツを消滅させる。同時にサジット・アポロドラゴンの背中からも翼が消え、入れ替わりになるようにシャイン・ブレイザーの両翼がその背中に装着されていき、全身から赤い光を解き放つ。


 


「阻め、合体スピリット!」


 


サジット・アポロドラゴンが空を飛ぶカグツチドラグーンに狙いを定め、炎を纏った矢を放つ。その矢は一筋の光の軌跡を描きながらカグツチドラグーンの喉を突き破り、一瞬にしてその身体を消滅させていく。


 


「そんなマジックがあったのか……」


「さぁ、次はどうする?」


「ここまで来て、引き下がれるとでも?焔竜魔皇マ・グーでアタック!」


「太陽神龍ライジング・アポロドラゴンでブロック!」


 


ライジング・アポロドラゴンが吠え、ダブルブレードを振り上げて攻撃してきたマ・グーを迎え撃つ。相手の懐に潜り込み、拳を次々と叩きこんでいくが、一瞬の隙を付いてライジング・アポロドラゴンを蹴り飛ばして距離を取ると、その手に持つ鎌を投げつけることでその身体を貫き、ライジング・アポロドラゴンを仕留める。


 


「ターンエンド」


「いいね……戦略も駆け引きも大事だけど、とことん相手にぶつかっていく。激突の赤デッキの醍醐味だ」


「へぇ……まぁ同感だけど、ここからどうする?」


「こっちもとことんぶつかっていくだけさ。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。合体スピリットとジェミナイズを共にLv3にアップ!」


 


【魔導双神ジェミナイズ


コア1→3:Lv1→3:BP5000→8000】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


コア3→5:Lv2→3:BP10000→13000】


 


「アタックステップ!合体スピリットでアタック!サジット・アポロドラゴン、合体時効果により、このスピリットに合体しているブレイヴ1つにつき、BP10000以下の相手スピリットを破壊する!焔竜魔皇マ・グーを破壊!」


 


サジット・アポロドラゴンが炎の矢をマ・グーへと放つ。それを鎌で防ごうとするが、その鎌の刀身ごと貫き、炎の矢はマ・グーの心臓を深く抉っていく。必殺の一撃を喰らわされたマ・グーの全身が爆発と共に消し飛んでいき、同時にシャイン・ブレイザーの白い翼が光り輝く。


 


「輝竜シャイン・ブレイザー、合体時効果!このスピリットのアタック時、BP8000以上の相手スピリットを破壊したとき、破壊したスピリット1体につき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く!」


 


シャイン・ブレイザーが強く光を発すると共に奏のライフが1つ消し飛んでいく。そして迫るサジット・アポロドラゴンのアタック。それを前に手札から1枚のマジックを繰り出して対処する。


 


「フラッシュタイミング!マジック、アイスエイジシールドを使用!相手スピリット1体を指定し、このターンの間、指定された相手スピリットのアタック/効果で自分のライフは減らない!合体スピリットを指定!」


 


サジット・アポロドラゴンの前に立ち塞がる巨大な氷の盾。それをサジット・アポロドラゴンは一目で壊せないと悟ったのか、これ以上の追撃を止めて元のフィールドへと戻っていく。ジェミナイズのアタックならばライフを削れるが、ここでアタックしても敵に塩を送るだけでしかない。そう考え、ジェミナイズでのアタックはしないでおく。


 


「ターンエンド」


「はは、危ない危ない……けど、次はこっちの番だ!スタートステップ!コアステップ!ドローステップ!リフレッシュステップ!メインステップ!グランド・ドラグキャッスルをLv2で召喚!」


 


【グランド・ドラグキャッスル:赤・スピリット


コスト8(軽減:赤5):「系統:古竜」


コア4:Lv2:BP8000


シンボル:赤】


 


奏のフィールドに二体目のグランド・ドラグキャッスルが出現する。真下に影を作る巨大な要塞の姿をしたドラゴン。そのカードの上にはLv2になるという点で言えば不要なコアが乗っているが、それも計算の内なのだろう。


 


「アルティメットのLvを上げなくていいのか?返り討ちにされるかもしれないぞ?」


「残念、アルティメット・ジークフリードには真・覚醒があるんだ。こいつを使えば、他のスピリットからコア1個をアルティメット・ジークフリードに移す事でBP+3000できる。グランド・ドラグキャッスルにはコアが4つあるから、最大BP32000……あんたでも超えられないだろ?」


「BP32000……成程、それは凄い」


 


にやりと笑いながら弾は応える。その思わせぶりな反応は気になるが、弾にとってはBPの高さはこの状況はあまり関係ないのだろうと奏は捉える。現に、ジェミナイズがどう逆立ちをしたところでアルティメット・ジークフリードには勝てないのだから。


 


「アタックステップ!アルティメット・ジークフリードでアタック!Uトリガー、ロックオン!」


 


奏の手に再び槍が生み出され、そこから放たれた光が弾のデッキを破壊する。そしてトラッシュへと落ちていったカードは、武槍鳥スピニード・ハヤト。コスト5のカードだ。


 


「ヒット!さぁ、スピリットでブロックだ!」


「ああ、ブロックするさ……だが、ブロックするのはジェミナイズじゃない!フラッシュタイミング!」


「!?」


「マジック、バーニングサンを使用!」


「二枚目のバーニングサン!?」


 


弾の手札に眠るもう一枚のブレイヴが、強い青い光を放つ。そして弾の手札からはじき出されるように宙へ放たれた光を纏ったカードは、サジット・アポロドラゴンのカードに重なっていく。


 


「手札のブレイヴ、トレス・ベルーガをノーコストで召喚し、サジット・アポロドラゴンに合体!!そして回復!」


 


【トレス・ベルーガ:青・ブレイヴ


コスト5(軽減:青2・赤2):「系統:異合」


シンボル:青】


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン:赤+青


コスト8+5+5→18


BP13000+5000+6000→24000


シンボル:赤+赤+青】


 


三つの首を持つ青き獣が光を纏ってフィールドに現れる。獣はサジット・アポロドラゴンの後ろから衝突、瞬間、激しい閃光と共にその全身を金色の鎧へと変え、背中の翼を更に強く、大きく広げさせる。さらに弾の身体を激しい闘気が駆け巡ったかのように変化が起こり、そのアーマーが黒く染まっていく。


 


「だ、ダブルブレイヴ!?け、けどまだBPはこっちの方が大きくなれ……!」


「さらに、魔導双神ジェミナイズ、Lv2・3効果!自分がコストを支払ってマジックを使用したとき、その効果発揮後に新たにマジックをコストを支払わずに使用できる!」


「ま、マジックのコストを踏み倒す!?」


「マジック、バインディングスケイル!!ダブル合体スピリットにBP+10000!迎え撃て!ダブル合体スピリット!!」


 


【光龍騎神サジット・アポロドラゴン


BP13000+5000+6000+10000→34000】


 


サジット・アポロドラゴンの全身から激しい光が溢れ出し、そのBPは30000の大台を容易く突破して見せる。そして自身へ向かい、突進してきたアルティメット・ジークフリードの攻撃を、右手の弓を剣へと変形させることで受け止める。その衝撃が、弾のライフを一つ砕いていく。


 


「く……アルティメット・ジークフリードの効果!相手スピリットがこのアタックをブロックしたとき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く!」


 


弾のライフが砕かれる。が、そんなことは最早意味を成さない。この激突には。アルティメット・ジークフリードがグランド・ドラグキャッスルからコアを受け取っても最大BP32000。対するサジット・アポロドラゴンはBP34000。アルティメット・ジークフリードの身体を勢いよく吹き飛ばすと、全身から金色の斬撃となったミサイルを次々とアルティメット・ジークフリードへ打ち込んでいく。その全弾が節々に命中し、動きを鈍らせた所にサジット・アポロドラゴンの口から劫火が放たれ、アルティメット・ジークフリードを呑み込む。その炎を振り払うように横に転がるように逃げたアルティメット・ジークフリードの目の前にサジット・アポロドラゴンは現れ、その剣を振り下ろして両断、身体を切り裂かれ、トドメを刺されたアルティメット・ジークフリードの身体が大爆発によって消えてなくなる。


 


「っ……しまっ……!」


「さぁどうする?グランド・ドラグキャッスルでアタックすれば、ジェミナイズは倒せるぞ?」


「……いいや、ターンエンドさ。まさか、アルティメットが負けるなんて思わなかったよ。でも……これなら。あんたなら、了子先生を打ち破れるかもな」


「俺は負けることなんて考えない。相手が誰だろうと、敵として立ち塞がるなら全力で叩き潰す。いつだって、そうしてきた。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップは何もなし。アタックステップ、射抜け、ダブル合体スピリット!アタック時効果により、グランド・ドラグキャッスルを破壊!シャイン・ブレイザーの効果でライフを貰う!」


 


サジット・アポロドラゴンの弓から放たれた一筋の光の矢。それが、グランド・ドラグキャッスルの身体を深く貫き、その身体を爆発で包み込む。同時に、奏のライフを一つ穿ち、残ったライフは二つ。そして、サジット・アポロドラゴンはトリプルシンボル。ここまでか。そう笑いながら呟くと、奏は顔を上げる。


 


「楽しいバトルだったよ、奏。俺は、この先へ行かせてもらう」


「ああ……頼んだぜ。この最後のアタック、ライフで受ける!」


 


奏の二つのライフが砕ける。そして、弾のフィールドのカードが消えていき、イセカイ界のバトルフィールドが消えて白い空間だけとなっていく。


 


「フィールドが……」


「割と、時間喰っちまったかな。バトルが終わるまで……って言ったけど、あくまで時間の流れが少し違うだけだしな。後、一時間ぐらいかな?」


「そうか……この後、どうやって外に出るんだ?」


 


自分の身体がある現実の空間へ繋ぐゲートを開こうとする奏に質問する弾。ふと、奏はここである事を思い出したかのように両手を合わせ、弾に向き直る。


 


「あ、そうだ」


「?」


「デッキ、今のままでいいのか?大詰めを迎えようとしているんだ、ちゃんとしたデッキぐらい作っていけよ」


 


そう言いながら、弾の目の前にモニターを出現させていく奏。この空間は現実とは異なる常識で成り立っている。故に、こんなことも可能なのだろう。


 


「大丈夫なのか?」


「分かんないさ。でも……こっちで魂の私達が作ったデッキは、きっと現実でも応えてくれるんじゃないかな?そういう奇跡があっても、私は良いと思うけどね」


「……そうだな」


 


ふっと笑いながらモニターを操作していき、最後の戦いに向けたデッキを組んでいく弾。彼の目の前に虚空から現れたカード達が次々とデッキを構築していき、彼の持つカードケースの中から十二宮Xレアのカードが出てそのデッキの中へと入っていく。既にデッキレシピ自体は頭の中に入っていたのだろう、迷うことなくデッキをすぐに作り変えた弾はそれを手に、奏を見る。


 


「準備はできた。外に出してくれ」


「は、早くない?」


「そうかな?もう中身を決めてるならこんなものだと思うけどね」


「……ま、あんたがそう言うなら私も信じるさ。じゃあ、始めようか!私達の、最高のどんでん返しを!」


「ああ!」


 


奏がゲートを開き、二人が外に出る。そして弾は現実の空間の自分の身体に魂が戻っていることを知り、続けて自分の手にデッキがあることに気付く。そしてその中身を見てみると、先程イセカイ界から出る前に作り上げたデッキになっていることに気付く。


 


「さぁ、砲台が発射されるぞ……!」


「どうやって止める気だ?」


「発射の権限自体は了子先生のものだから止められない。だから、あんたの代わりに私が引き金になるんだ。そして、弾丸の軌道を逸らす」


「……どうなるか分からないぞ」


「構わないさ。まぁどうせ成仏し損ねた魂だ。これが終わったらゆっくり逝くべき場所に逝くとするさ。さぁ、私の犠牲を無駄にするなよ?いくぞ!」


 


瞬間、神々の砲台の内部で激しい光が溢れ出る。そして弾の身体もその光に包まれていった瞬間、その身体が赤い光によって外側へ弾き出され、大地を転がっていく。同時に、足元に通信機が転がってくる。それには、メールを打った後のようなものがあり、あの一瞬で奏が何かしらの伝言を誰かに送ったのだろう。しかし、流石にそこまでは気付けず、コアブリットに背中を打ち付けることでその勢いを止めた弾は、自分の身代わりとなった奏を見る。本来の神々の砲台ではこのようなことは不可能ではあるが、フィーネが作り出したものであるからこそ、可能なのだろう。


 


「後は頼んだぜ!馬神弾!!」


 


そして奏は月へ向かって射出される。しかし、その弾丸は奏の意志によって軌道を逸らされ、月を砕かずに月の一部を砕くだけに留まる。それを確認し、弾はコアブリットに乗り込む。これによって失ったエネルギー、それを再度補充する手段を欲しているフィーネからすれば、これは正に願っても無い最後のチャンスとなる。が、それはこちらも同じ。フィーネと付ける最後のチャンス、それを互いに逃す手はない。コアブリットに乗り込んだ瞬間、弾の金色のアーマーがコアブリットに連結するように現れ、弾の身体に装着される。そして、弾は強く叫ぶ。


 


「ゲートオープン!界放!!」


 


瞬間、砲台の上にバトルフィールドが出現する。そして、そこへ向けてコアブリットを発進させる。そして弾がバトルフィールドへと突入し、コアブリットが変形。そのまま穴の空いた台に連結され、弾の周囲を虹色の光が包みこんでいく。その光の中で弾のアーマーに五つの光が灯り、弾は少し遅れてバトルフィールドに現れたフィーネを見る。


 


「貴様、どうやって……!!」


「あんたの輝石はどうやら、奏の魂を呑み込んでいたらしくてな。あんたが発射した引き金は俺じゃない。奏だった」


「何……だと……!?くそ、そういうことか……!」


 


漸く理解したように吐き捨てるフィーネ。そんなからくりだったとは。しかし、言われてみれば決してありえないという話ではない。何せ、過去の所持者のキースピリットが、輝石に宿ったその所持者の魂と共に新たな時代の魂に影響されてアルティメットになるほどだ。輝石には持ち主の魂を宿らせたり取り込んだりする力があるのは明白だろう。さらに、輝石の中にいた奏はその力を取り込んで常人よりも遥かに強力な魂となっていた筈だ。それほどの魂であれば十分引き金の代用品になることもできる。


 


「このバトルに全てを賭ける。そういうことさ」


「……ふざけるな!私は、決して負けるわけにはいかない!貴様を倒して悲願を達成させる……が、その前に敗北した者達を消す!」


「!何をする気だ!」


 


フィーネはソロモンの杖を取り出し、バトルフィールドの外へと光を放っていく。一方、バトルフィールドの外にいた響達は、バトルフィールドから放たれた光が次々とノイズになって空を覆っていく光景を目の当たりにする。


 


「!?ノイズが……!?」


「ま、まさかあいつ、弾のせいで私達が勢いづくと思って消しに来たのか!?」


「く……早くギアを……!」


 


何とかギアを出す為に歌おうとする。しかし、そんなことは無意味だと、ノイズ達が降下してくる。絶体絶命、そんな瞬間が迫った、その時だった。三人の耳に、歌が聞こえてきた。


 


「……何だ、これ?」


「リディアンの、校歌……?」


 


響き渡る、少女たちの歌。誰かを想い、紡ぎ出されていく歌声。一体、誰がこの歌を歌っているのか。それは、響は一番よく分かっていた。


 


「未来達が……?」


 


何て温かい歌なのだろう。三人は、思わずそう思っていた。未来達も、動いていた。あの時、弾の通信機を使い、輝石の力で手に一時的に実体をもたせ、メールを打った奏は、それで弦十朗達に、彼女達の助けになるであろう方法を教えたのだ。そして、弦十朗達の活躍によって落とされていた電力、回線が復帰し、スピーカーを通じて彼女達は歌を届けたのだ。


 


装者達の歌には届かない。フォニックゲインのエネルギー量だけで言えばそうだろう。しかし、その歌には、装者達の歌に匹敵する力が込められていた。想いという力が。自分達が守ろうとした人達が、応えてくれる。自分達の為に尽くそうとしてくれている。歌う事で戦えるなら。皆も戦っている。皆が自分達が立ち上がることを信じてくれている。その気持ちを、裏切るわけにはいかない。他の誰でもない、皆が信じている自分のために戦いたい。


 


「……」


 


気付けば、響は立っていた。彼女だけでは無い。翼も、クリスも。もう、身体に力など入る訳がないのに、力が溢れていた。その魂が、熱く燃え上がっていた。そして、彼女達の胸で燃え上がるその魂は、彼女達の歌によって新たな姿を見せる。


 


「!?」


 


その衝撃は、ノイズ達を吹き飛ばし、バトルフィールドにまで届く。弾とフィーネを揺らすその衝撃。その正体は何なのかと、フィーネが外へその目を向ける。そこにあったのは、今までとは異なる、シンフォギアの姿。三人の少女の手で輝くそのアームドギアは、カードへとその姿を変えていた。その胸元では、赤く燃えるコアが光り輝いていた。その身体に纏われたギアは、鎧とは最早言えなかった。例えるなら、ドレスだろうか。


 


「馬鹿な!?何だ、それは!?何なのだ、そのコアは!?」


 


その紅蓮のコアは、正五角形をしていた。今まで、見たことのない形状のコア。まさか、シンフォギアの限定解除。シンフォギアには、持ち主に負担を掛けないために、持ち主の実力に応じてそのリミッターが解放される仕組みとなっている。故に、彼女達のギアの変化も、それに当たるのだろう。そして、シンフォギアの変形についても、過去の記憶、知識、智慧の結晶の一つの形として作り出したものである以上、あり得なくはない。


 


そう、それは、シンフォギアは、歴史上で起こった力の枠組みの中でしか変形しない。つまり、こんな変形を起こすことはありえないのだ。


 


「……!?」


 


頭痛が響く。いや、これは、記憶の混入。フィーネは、現在にいたる過去に出現した自分の全てを束ねている。つまり、これは、過去が改変されている。過去の人物である弾がこの場に復活したことにより、現代に至るまでの時間軸が改変を受けているのだ。そう過去が、地球がリセットを回避しなかった過去から、光主達の手によって地球リセットが避けられた過去へと。そして、今まで定まっていた未来が、奇跡と言うべき要因によって変わっていく。それによって、彼女達の持つ力の正体を、フィーネは知る事となる。かつて、古の時代。変わった過去に現れた、事象。空から落ちてきた、神の子と人の女の間に生まれた巨人の暴走によって滅んだ時代。猛者達が切磋琢磨する、現代の戦国時代で人々が確立させた、バトルスピリッツの新たな進化の形。それこそが、響達の手に入れた、新たな力の正体。


 


『お願い、フィーネ。もし、弾を見つけたら、彼を助けてあげて』


『ああ。我が友よ、その約束。必ず果たそう。もし彼を見つけたら、必ず居るべき場所に―――』


「!!」


 


懐かしき友との約束。今までの自分には存在しない記憶だ。しかし、その友との記憶が、新たな記憶として蘇っていく。何が起こっている。そんな、そんなことがありえるのか。半狂乱になりながらも、フィーネは外へ目を向ける。少女たちへ目を向ける。


 


「なんだ、それは!?お前達が纏っているそれは、何だ!?」


 


純白と各々のメインカラーを基調とした、新たな、強固な武装。翼の腰や脚から巨大な青い翼が生え、クリスの両足からも赤い翼が生えている。その腰回りには巨大な赤い装甲が追加され、それが乗り物のようになる。そして響の背中には、新たに黄色い翼が出現し、三人は空へと飛び上がる。フィーネの魂の叫び。それを、三人は叫ぶ。自分達の力を証明するかのように。


 


「「「シンフォギアだああああああああああああああ!!!!」」」


 


彼女達の背後に、三つの影が現れる。巨大な黄色い弓を握る、黄色い衣を纏った化け猫。三つの首を持ち、巨大な刀を構えた隻眼の龍。そして、燃え上がるたてがみを宿した、巨大な獅子。三体の存在が、彼女達に呼応するかのように、咆哮を張り上げた。

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