第8話 暴れ狂う颶風

「……」


 


弾と翼のバトルから一週間が経過した。翼の実力をねじ伏せる馬神弾。それでいて、本来ならば前のターンで決着を付けられた筈なのに敢えてそれを行わず、アルティメットを倒して完全に勝利するという、どこまでもバトルに貪欲なスタイル。それだけでなく、いつもの彼が見せる冷めた素っ気無い態度、寡黙で冷静沈着な近寄りがたい姿には、弦十朗の目からすると彼が深い闇を経験していたという風にも見えた。


 


「一体、どんな過去を経験したというんだ……」


 


馬神弾は強い。それは人間としても、カードバトラーとしても。一見すれば世界に絶望したかのようにも見えるが、優しさや正義感に満ち溢れ、心の底からバトルスピリッツが好きな青年なのだろう。だからこそ、弦十朗は心の奥底で知りたいとも思っていた。馬神弾という人間の事を。そして純粋に、


 


「是非とも、一度手合わせしてみたいものだ……」


 


カードバトラーとして、戦ってみたいと。そう強く願っていた。


 


 



 


 


「どう、ですか……?」


 


二課の一室。恐る恐る響から渡されたデッキを見ていた弾は、その中身を確認していた。


 


「赤だけで組まれたシンプルな激突デッキか。真っ直ぐで良いデッキだと思うよ」


「本当ですか!いやー、ちょっと最近、自分のデッキってこのままでいいのかなーって思っていたんですよ」


 


弾のような実力のあるカードバトラーにデッキを診断してもらい、改善する所を見つけてもらおうと響が弾を頼ったのだ。あれから二週間、ノイズ達の戦闘もあったが、翼と響の間にあった不協和音も大分改善されたと言っていいだろう。が、やはり翼本人もあれだけ言った事への後ろめたさはやはり取れないのか、どうも弾を挟んでの仲というのが現状だが。


 


「……アンキラーザウルスにサーべカウラス、そしてジークヴルムとメテオヴルム……か」


「弾さん?」


「いや、俺も以前は激突デッキを使っていてね。懐かしいなって思ったんだ」


「そうだったんですか?でも、何でデッキ変えちゃったんですか?」


「……うーん……」


 


響の純粋な疑問。しかし、弾は答えるのに戸惑う。言葉でうまく説明できないのだ。あの二年間で自分に起こった変化は。なら、バトルで語り合うのが自分だろう。


 


「俺自身が変わったから、かな?」


「弾さんが?」


「ああ。でも上手く説明できないな……やっぱりこういうのは、バトルフィールドで語る方が俺に合ってる」


「ほ、本当にバトルが好きなんですね」


「ああ、大好きさ。それこそ、俺自身の生きがいって言ってもいいかな」


 


だとしても弾の好きというレベルは響からすれば常軌を逸しているようにも見えるが。まぁ、自分の好きなものにここまで打ち込めるというのもきっと才能なのだろうが。


 


「生きがいですか……何か、憧れますね。そういうの」


「俺と同じ生き方をすると苦しいぞ?」


「でも、弾さんは乗り越えてきたんですよね?」


「……そうだな」


 


こうして話の種に出来るぐらいには過去を受け入れて前に進んでこれたのだろう。響にデッキを返そうとした時、突然弾の持っていた通信機に通信が入ってくる。


 


「?」


「あれ、弾さんだけですか?」


「……」


 


デッキを響に渡し、通信機を手に取る。その通信の相手は、弦十朗だった。


 


「馬神君、君に少し用があるんだが」


「ああ、俺は別に構わないけど……何の用だ?」


「そうか。君とバトルがしたい……と言ったら、どうだ?」


「俺とバトルを?」


 


少々意外な申し出だった。しかし、弦十朗が放つ実力者の風格は弾もまた感じ取っていた。彼とバトルする機会があったら一度やってみたい、そうも思っていた。しかし、自分から挑む前に相手から挑んでくるとは。


 


「ああ、君の強さを、実際にこの身で確かめたい……どうだ?」


「……いいぜ。俺はバトルからは逃げない。挑まれたバトルは受けるだけだ」


 


不敵な笑みを浮かべる。そして、二人は移動して面として向かい合い、ゲートを開くのだった。


 


「「ゲートオープン、界放!!」」


 


 



 


 


金色のアーマーを纏った弾と、白銀の鎧のようなアーマーを纏った弦十朗がエクストリームゾーンで向かい合う。始まったバトルを、二課の面々は興味深そうにモニター越しに見ていた。


 


「あらあら、これは珍しいカードね」


「まさか二人がバトルをするなんて……」


「でも、司令が弾君と……」


「そう言えば、司令って強いんですか?」


「……強い、というか何というか」


 


これ以上は彼女にとっては驚きの事実になるからというのもあってか、響に対してどうも伝えにくくなる。しかし、隠していた所で仕方のない事だ。翼は特におかしい事はないというかのようにその事実を告げる。


 


「強いわ。私よりもね」


「え、翼さんよりも!?それって……弾さんって勝てるんですか?」


「……そうね、ちょっと前までの彼なら少し厳しい面もあったかもしれないけど……今はどうかしら」


「「?」」


 


了子は始まった2人のバトルを呑気に見物している。だが、彼女だけは他の者たちとは視線が違うようにも見える。そしてエクストリームゾーンでは、バトルが始まろうとしていた。


 


「先行は貰う。スタートステップ、ドローステップ、メインステップ。ニジノコをLv3で召喚」


 


【ニジノコ:黄(白)・スピリット


コスト1:「系統:戯狩」


コア3:Lv3:BP3000


シンボル:黄(白)】


 


黄色のシンボルが出現し、その中から虹色の皮膚を持つツチノコが現れる。出現した小さなツチノコは口から小さな炎を吐いて自身の存在をアピールする。


 


「おお!今日の弾さんは黄色ですか?」


「どうかしら。ニジノコは色々便利だから……単純に黄色とも言い切れないのよね」


 


ニジノコは、自身が持つ黄色のシンボルと色の他に、各Lv毎に自身の色とシンボルを変化させる特殊な効果を持っている。Lv1ならば赤、Lv2ならば紫、そしてLv3であれば白。弾の今のデッキであればこの複数の色に変化する特性は有意義に働くと言っても過言ではない。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、メインステップ。ネコジャラン


2体をLv1で召喚!」


 


【ネコジャラン:緑(青)・スピリット


コスト2(軽減:緑1・赤1・青1):「系統:遊精」


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:緑(青)】


 


【ネコジャラン


コア1:Lv1:BP2000


シンボル:緑(青)】


 


対する弦十朗のターン。弦十朗は自分フィールドに抹茶色の毛並みを持つ目が宝石のように輝く猫の姿をしたスピリットを2体呼び出す。


 


「ネコジャラン……」


「このカードもまた、ニジノコには及ばないが合計三色のシンボルに変われるスピリットだ。馬神君、君のデッキにもどうだい?」


「そうだな……良いカードだ、もしかしたら使うかもしれないな」


「そうか……いくぞ、アタックステップ!」


「え?」


 


アタックステップ。いやルール的には入らなければならないという事は響も理解している。しかし弦十朗はネコジャランのカードに手を置くその素振りを見て、驚いたように目を見開く。


 


「ネコジャラン二体でアタック!」


「ええ!?」


「これは……」


 


ニジノコのBPは3000。対してネコジャランのBPは2000。二体で押せばライフを確実に一つは奪えるだろう。だが、それでも一体は破壊される可能性が高い分の悪い賭けに、敢えて出る意味があるとは思えない。だが、弦十朗からすればこのアタックはただライフを奪うか自分のスピリットを破壊されるかというものは副産物でしかない。それ以上に知りたい事を知る為にアタックをしたのだ。


 


「いいだろう、どっちもライフで受ける!」


 


そして弾は二体のネコジャランのアタックに対し、自分のライフで受けた。弾を護るように緑色の半透明な球体のバリアが出現し、ネコジャランの二連続の体当たりがそれを砕き、同時に弾のアーマーから二つの光を砕く。そしてライフを砕かれた弾は、その痛みを感じ取りながら、口元に笑みを浮かべる。


 


「迷いがないな」


「ああ、コアは打たせて貯めるタイプでね」


「……痛みを感じないのか?」


「まさか。俺にとっては心地いい痛みさ。バトルフィールドに立っている……自分が戦っている、そう充実した実感がある」


「……ターンエンドだ」


 


不敵な笑み。そして、弾のバトルに賭けるこの想い。それは、自分の予想を超えているのかもしれない、弦十朗はそう自分の認識を改める。


 


「弾さん……バトルが自分の生きがいって言っていたけど……」


「……」


 


翼の脳裏にふと蘇る、以前のバトルで弾が自分に向かって言った言葉。自分自身を殺して、悲しみや怒りから逃れようとしている言い訳、生きる力を失って、それをバトルで取り戻し、外に出ろという言葉。弾の口からあのような言葉が出てきたのは、もしかしたら弾が、


 


「彼、過去に強い怒りや悲しみを持つ事があったのかしら」


「……あった、でしょうね。じゃなきゃ、ここまで貪欲にバトルに打ち込めるバトルジャンキーになんてなれないわ」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ……リフレッシュステップ」


「……」


 


僅かにだが、弾の纏う気配が変化する。巧妙に隠された中で起こったその僅かな変化を感じ取った弦十朗は、それが彼の下に強力なカードが訪れたのだという事を理解する。


 


「メインステップ。ニジノコをLv2にダウン」


 


【ニジノコ:黄(紫)


コア3→2:Lv3→2:BP3000→2000


シンボル:黄(紫)】


 


ニジノコのLvが下がり、紫のシンボルと色を得る。弾が呼び出そうとしているのは、赤でも黄でも白でもない。紫だ。そう確信した瞬間、弾の手にしたカードから光が溢れる。


 


「来るか!」


「紫の十二宮Xレアをここに!魚座より来たれ、双魚賊神ピスケガレオン、召喚!不足コストは、ニジノコより確保!」


 


【ニジノコ


コア2→0】


 


【双魚賊神ピスケガレオン:紫・スピリット


コスト7(軽減:紫4):「系統:光導・無魔」


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:紫】


 


星が描かれた紫色の陣の中に魚座を作り出す。そしてそこから二つの巨大な魚の口を持つ船が出現し、不足コスト確保の為、ニジノコは軽減シンボルを1つ満たして消滅する。


 


「紫の十二宮Xレア……!」


「ピスケガレオン、召喚時効果!このスピリット以外のスピリットすべてのコア1個ずつを持ち主のリザーブに置く!この効果でコアが0個になったスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする!」


 


今、フィールドにはコアが1個ずつしか乗せられていないネコジャランが2体。よって、ピスケガレオンの効果によって2体のコアがリザーブに戻される事でそのコアの数は0個となり、弾はデッキからカードを合計2枚ドローする。そしてネコジャラン2体は消滅する。


 


「紫のコア除去能力で一掃するとは……!翼とのバトルで見せた赤と青の混合デッキとは随分と趣向が変わっているじゃないか」


「今の俺は何色でもないんでね。赤だけじゃなく、全ての色を使うのさ。いくぞ、アタックステップ!双魚賊神ピスケガレオンでアタック!」


 


ピスケガレオンの二体の魚の口が開き、エネルギーが集っていく。そして、放たれた光線が弦十朗へと襲い掛かる。


 


「ライフで受ける!」


 


ピスケガレオンのアタックが砕くライフ。通常のスピリット達が砕く一撃よりもずっと重く感じられ、弦十朗はしっかりとその場に踏み止まるように衝撃を受け止める。


 


「これが十二宮Xレアの一撃か……」


「ああ。良い痛みだろ?」


「……君は、過去にどれだけバトルをしてきたんだ?コアを砕かれ、痛い筈なのにそれを心地よく感じるレベルになるまで……」


「……二年間、こっちに来れない時期があってね。その時の影響でずっと、この空間でのバトルを望むようになった。そして、二年ぶりに戻って、俺は興奮したよ……じわじわ来る痛み……胸に響くスピリットの声……フィールドを吹く乾いた風……砕け散るコアの輝き……そして体中が沸騰する、あの感覚!!俺は……戻って来たって!」


 


ぐっと熱く拳を握る弾。しかし、その二年間が彼を変えたのだというのは誰の目から見ても明らかだ。しかし、本当の彼が自分の姿を隠し、変わらざるを得なかったのは何故なのか。そして、どうしてここまでバトルに執着するのか。


 


「その二年間で、何があったんだ?」


「負けた。多分俺の今後を含めた人生の中でも一番重い敗北だった……何もかも奪われて、ただ無力な自分への怒りを抑えるしかなかった」


「……そうか。スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ネクサス、颶風高原を配置!」


 


【颶風高原:緑・ネクサス


コスト3(軽減:緑1)


コア0:Lv1


シンボル:緑】


 


弦十朗のフィールドに緑の風が吹き荒れる。暴風スピリットをサポートする強力なネクサスの出現に弾は表情を引き締める。


 


「暴風か」


「ああ。俺のデッキのキー能力だ。クロタネホークを召喚!」


 


【クロタネホーク:緑・スピリット


コスト4(軽減:緑3):「系統:爪鳥」:【暴風:2】


コア1:Lv1:BP3000


シンボル:緑】


 


青い花びら、クロタネソウの翼をもつ鷹が弦十朗のフィールドに出現する。暴風を持つスピリットが呼び出された事で、ネクサス、颶風高原が風を吹かせる。


 


「颶風高原、Lv1・2効果により、暴風を持つクロタネホークにコアを2つ置かせてもらう」


 


【クロタネホーク


コア1→3:Lv1→2:BP3000→5000】


 


颶風高原、Lv1・2効果。自分のメインステップに暴風を持つ自分のスピリットが召喚されたとき、そのスピリットが暴風で指定する数だけボイドからコアをそのスピリットに置く。クロタネホークは暴風:2を持つ、よって置かれるコアの数も2個だ。


 


「一気にコアを2つ増やした!」


「ターンエンドだ」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。双魚賊神ピスケガレオンをLv2にアップ!」


 


【双魚賊神ピスケガレオン:紫・スピリット


コア1→3:Lv1→2:BP5000→8000】


 


「ニジノコをLv3、ソウルホースをLv1で召喚」


 


【ニジノコ


コスト1


コア3:Lv3:BP3000


シンボル:黄(白)】


 


【ソウルホース:紫(赤)・スピリット


コスト1(軽減:紫1・赤1):「系統:魔影」


コア1:Lv1:BP1000


シンボル:紫(赤)】


 


再び出現するニジノコ。そして、四本の足が刃となって燃えている紫の馬が出現する。新たに壁となるスピリットを呼び出し、このまま攻撃へ移るかと思いきや弾が取った選択肢は、このままターンを終えるという選択肢だった。


 


「ターンエンド」


「?攻めてこないのか?」


「さぁ、どうかな?相手の出方を窺っているだけかもしれないぞ?」


「……ふっ、本当に楽しそうにバトルをするんだな」


「楽しいからな」


 


楽しいのは弾だけではない。弦十朗もまた同じだった。だが、彼はこの戦いでまだ馬神弾の抱える闇を聞いていない。大人として、戦いに送りださなくてはいけない者たちの助けになりたい。その思いが、彼をこの地へと誘ったのだ。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ……負けたと言ったな。その時に何があった?」


「世界の闇に押し潰された。裏に生きる者達の手で世論を操作され、社会的に抹殺された。それでも俺達は世界の真実を訴えようとした……だが、そんな矢先だった。俺達の大切な仲間が奴等の手にかかったのは」


「……それは」


 


世界を裏から操る闇の権力者達。異界王と結託していた者たちの存在を公表しようとしていた弾達の行動を封じる為に講じられたその一手。弾が予想以上の闇に足を踏み入れていたという事実は、あまりに重いものだった。


 


「友達にも親にも掌を返されて孤立させられて……でも、俺は自分を押し殺すしかなかった。全てから否定され、世界に怒りを抱き、その果てに破滅を迎えた、世界の事を一番考えていた男のようにならないようにする為に。仲間たちとの連絡も絶ち、俺に最後に残ったのは、バトルスピリッツだった」


「だからこそこれまでにバトルを……」


「伝説のカードバトラー、激突王だなんて名誉な称号なんて腐るほどもらった。不名誉な称号と一緒に。でも、そんなものはいらない……そこでは叶わなかった、もっと強い奴との戦いがしたかった……そんな時だった。俺が再びこの地に立つ事ができたのは……!!」


「弾さん……あれ?でもちょっとおかしくないですか?」


「ええ……」


 


伝説のカードバトラー、激突王。それだけの存在だったら、響や翼だって知らない訳が無いだろう。それに、弾の言い方からすると、弾の生きていた時代ではバトルフィールドが存在していないようにも聞こえる。だが、弾の年齢から考えるに、そのずっと前からバトルフィールドシステムは存在していた筈なのだ。この矛盾はいったい何なのか。


 


(……激突王が死を迎えた後、異界魔族の手によって再びバトルフィールドが出現するまでには時間がある。だけど彼は戻ってきたとも言っていた。つまり、彼は未来にいた……?おかしい、それだと歴史と噛み合わない)


「……君は、どこから来たんだ?」


「未来なのか、過去なのか。或いは別の世界なのかは分からない。だが俺はそこから来た。異界魔族という人間が異世界で進化した種族と人間が蠢き合う変わり果てた滅びへ向かう時代、全ての滅び、地球リセットを回避する為に俺は神々の砲台を放ち、この世界へ現れた」


(!!そういうことね……!!)


「……え?じゃ、じゃあ弾さんって……」


「本来、この世界に存在しなかった人間……?」


 


だが、それならば納得がいく。弾がバーストなどのカードを知らなかった事も、自分たちの知らない未知のカード、十二宮Xレアを持っている事も。


 


「そうだったのか……君も、大変な人生を送ってきたんだな……だが、ならば何故君は戦ってくれるんだ?」


「そう頼まれたからな。ノイズを倒して人々を救ってくれ。生憎、こういうのはほっとけない性質でね……幾ら蔑まれようと、疎まれようと、怒りを貰おうと構わない。立ちはだかる敵は全て倒す、勝つのが俺の仕事だ。もう迷わない……前しか見ない!それが俺の覚悟だ!!」


「!!」


 


どこまでも真っ直ぐで、熱い目。それこそが、馬神弾を馬神弾たらしめている最大の要因なのだろう。だが、それを知る事が出来てよかった。バトルスピリッツと言う対話で、弦十朗は弾を知った。そして、弾もまた弦十朗を知った。


 


「そうか……君の覚悟は、堅いんだな」


「ああ。心配してくれてありがとう。あんたも、俺の事を知りたいと思ったからここに立ったんだろ?」


「ふっ……ああ」


「俺もこのバトルを通じてあんたを知った。他人の事をこんなに想える人だって事を。だが……バトルで一切の容赦はしない!」


「当たり前だ。いくぞ、メインステップ!!これが俺のデッキの切り札!!鳥獣烈神ガルード、召喚!!」


 


【鳥獣烈神ガルード:青・スピリット


コスト7(軽減:青2・緑2):「系統:獣頭・爪鳥」:【暴風:5】


コア1:Lv1:BP7000


シンボル:青】


 


青い鳥の身体を持つ、巨大な鳥が降臨する。黄金の仮面をかぶり、緑を基調とした防具を纏い、降臨した青の強大なXレア。その出現が、颶風高原に新たな風を巻き起こしていく。


 


「暴風を持つ青のXレア!」


「颶風高原により、ガルードにコアが5個置かれる!」


 


【鳥獣烈神ガルード


コア1→6:Lv1→2:BP7000→12000】


 


「ちょっ、いきなりコアが5個も増えるんですか!?」


「ええ。これが弦十朗君の得意とするコンボ……颶風ガルード!」


 


緑の力でコアを増やし、相手のライフを積極的に狙っていき、隙あらばガルードの力でデッキ破壊を狙っていく。二つの戦術を取れるデッキのようだ。


 


「弾もこれは……」


「まだ終わらないぞ。続けていでよ、新たなXレア!蜂王フォン・ニード 、召喚!不足コストは、ガルードより確保!」


 


【鳥獣烈神ガルード


コア6→1:Lv2→1:BP13000→7000】


 


【蜂王フォン・ニード:緑・スピリット


コスト7(軽減:緑4):「系統:殻人・怪虫」


コア1:Lv1:BP6000


シンボル:緑】


 


続けざまに呼び出される、金色の体を持つ巨大な蜂の王。その手に握られた鋭い槍が、自身の強力な存在を証明している。


 


「Xレアの連続召喚か!」


「フォン・ニード召喚時効果により、ボイドからコアを3個このスピリットに置く!」


 


【蜂王フォン・ニード


コア1→4:Lv1→2:BP6000→10000】


 


「アタックステップ!フォン・ニードでアタック!アタック時効果により、ソウルホースとニジノコを疲労させる!」


 


フォン・ニードが羽をはばたかせる。それによって生じた風がソウルホースとニジノコの身動きを封じ、そのまま疲労させることでブロッカーはピスケガレオンだけとなる。蜂王フォン・ニード、Lv1・2アタック時効果により、BP合計10000まで相手スピリットを疲労させられてしまい、防御力を削がれた弾のフィールドにフォン・ニードが飛び立つ。


 


「ピスケガレオンでブロック!!」


 


対する弾は自分の残るライフとフォン・ニードの効果を考えた場合、攻撃をブロックするしかない。フォン・ニード、Lv2アタック時効果により、相手のライフを減らしたとき、このスピリットのコア3個を自分のトラッシュに置く事でフォン・ニードは回復するのだ。つまり、もしこの攻撃をライフで受ければ、再びフォン・ニードは回復し次のアタックでピスケガレオンは疲労し、ブロッカーが全て消えていたのだ。


 


「やはり防いでくるか!だが、BPは此方の方が上だ!」


 


ピスケガレオンの二つの魚の口が開かれ、無数の弾幕がばらまかれる。その合間を縫うように飛翔して接近するフォン・ニード。ピスケガレオンの目の前に現れ、それを撃ち落とすべく二つの口から放たれた砲撃を華麗に避けて背後に回り込むと、手にした槍でピスケガレオンを貫き、一撃で切り捨てて見せる。


 


「ピスケガレオンの破壊時効果でお互いに手札を1枚破棄する」


 


しかし、ピスケガレオン、Lv2破壊時効果により、系統::「光導」/「星魂」を持つ自分のスピリット1体につき1枚、お互いはそれぞれの手札を破棄する。弾のフィールドにいた対応するスピリットはピスケガレオンのみ。弦十朗は最後の手札、牙皇ケルベロードを破棄し、弾もまた手札のヤシウムを破棄する事となる。


 


「まだまだいくぞ、ガルードでアタック!」


「ライフで受ける!!」


 


ガルードが翼を広げて弾へとその爪を叩きつける。その激しい一撃が弾のライフを砕き、同時に吹き荒れた風が弾のデッキを破壊していく。


 


「ガルードのアタックによって相手のライフが減らされたとき、相手のデッキの上から12枚のカードを破棄する!」


 


武槍鳥スピニード・ハヤト、ヤシウム、蛇皇神帝アスクレピオーズ、バーニングサン、六分儀剣のルリ・オーサ、ネクサスコラプス、ブレイヴドロー、魔羯邪神シュタイン・ボルグ、ヤシウム、六分儀剣のルリ・オーサ、太陽龍ジーク・アポロドラゴン、戦神乙女ヴィエルジェ。合計十二枚のカードを落とされ、大きくデッキのカードを減らされる事となる。


 


「やるね……」


「これでターンエンドだ」


「ふふ、耐えきったわね。さて、ここからどうするのかしら?」


 


面白そうに2人のバトルを見る。弾もまた、この布陣をどう攻略していくのか、それを楽しみながら考えていく。そして、その為のカードを引き込もうとする。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ……」


 


ドローしたのは、1枚の赤のカード。激突王ではなくなり、ブレイヴ使いとなった今の自分が操る激突に相応しいスピリット。それを見て、弾は僅かに口元に笑みを浮かべる。


 


「……!」


「よし、カードは来た……後は、自分が応えるだけだ!リフレッシュステップ、メインステップ!ニジノコをLv1にダウン!」


 


【ニジノコ:黄(赤)


コア3→1:Lv3→1:BP3000→1000


シンボル:黄(赤)】


 


「これが、今の俺の激突だ!新たな十二宮Xレアをここに!牡牛座より来たれ、金色の神よ!!金牛龍神ドラゴニック・タウラス!Lv2で召喚!!」


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤・スピリット


コスト7(軽減:赤4):「系統:光導・古竜」:【激突】


コア3:Lv2:BP8000


シンボル:赤】


 


弾がカードを掲げると共に金色の稲妻が奔る。そして、そして巨大な光がカードから放たれ、空へと無数の光が立ち昇って天空に出現した暗雲に牡牛座を描く。そしてそこから降り注いだ光が地面を砕き、そこから二枚の翼を空に広げ、二本の巨大な金色の角を見せる赤き巨大な牛が降臨する。


 


「牡牛座の十二宮Xレア……!」


「アタックステップ!いけ、ドラゴニック・タウラス!クロタネホークに激突!!」


 


ドラゴニックが大地を砕きながら突進する。空に逃れたクロタネホークだったが、ドラゴニック・タウラスもまた空へと翔け上がり、その金色の角から放った稲妻がクロタネホークを破壊する。


 


「ニジノコとソウルホースでアタック!」


「どっちもライフで受ける!」


 


続けてニジノコとソウルホースが弦十朗へと襲い掛かる。ニジノコの口から放たれた火炎と、ソウルホースの体当たりが交互に命中し、弦十朗のライフを1つずつ、合計2つを奪う。


 


「ターンエンド」


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。このターンで決めさせてもらうぞ、馬神君!」


「やれるものならやってみるといいさ」


 


実質のラストターン宣言をする弦十朗。そして、これ以上の駆け引きは必要ない。真正面から弾を倒す。それが、このバトルで自分がやるべき最後の行動だ。


 


「鳥獣烈神ガルードをLv2にアップ、さらに3コアだけ残し、全てのコアをフォン・ニードへ乗せる!」


 


【鳥獣烈神ガルード


コア1→5:Lv1→2:BP7000→13000】


 


【蜂王フォン・ニード


コア4→13】


 


「そして、手札より千刀鳥カクレインを召喚!」


 


【千刀鳥カクレイン:緑・ブレイヴ


コスト5(軽減:緑2・白2):「系統:爪鳥・星魂」


シンボル:緑】


 


フォン・ニードに対する保険か、一撃で仕留める為か。シンボルを持つ鶴のような姿をした、無数の刀の刃の翼を持つ鳥が出現する。ブレイヴの出現に弾は気を引き締める。


 


「千刀鳥カクレインを、蜂王フォン・ニードに合体!!」


 


【蜂王フォン・ニード


コスト6+5→11:【暴風:2】


BP10000+5000→15000


シンボル:緑+緑】


 


カクレインの鳥の頭と尾が消滅し、フォン・ニードからも蜂の羽が消えてそこにカクレインの翼が装着される。緑と緑の合体により、フォン・ニードは風を操る力を会得する。


 


「……!」


「アタックステップ!合体スピリットでアタック!!」


 


合体スピリットとなったフォン・ニードが飛翔し、背中から無数の刃を弾へと放つ。ダブルシンボルとなったこの攻撃を受ければ、弾の残りライフ2つは一撃で削り取られ、敗北を迎える。


 


「これは……!」


「弾さん!!」


「フラッシュタイミング!」


「!」


 


弾の手から掲げられた一枚のマジック。それで三角形を描くように弾が動かすと、彼を護るように三角形の形をしたバリアが出現する。


 


「マジック、デルタバリア!不足コストはソウルホース、ニジノコ、ドラゴニック・タウラスより確保!」


 


【ニジノコ


コア1→0】


 


【ソウルホース


コア:1→0】


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


コア3→1:Lv2→1:BP8000→5000】


 


ニジノコとソウルホースの身体が消滅し、ドラゴニック・タウラスの身体からも力が抜けていく。そして構築されたバリアに向かって無数の刃が降り注ぐ。


 


「このアタックはライフで受ける!」


 


降り注ぐ無数の刃。それはバリアを突き抜けて弾のライフを奪い取る。だが、ダブルシンボルのアタックでも削れたのは僅か一つ。それこそが、デルタバリアが持つ防御能力なのだ。


 


「デルタバリアの効果により、このターンの間、相手のスピリット/マジックの効果と、コスト4以上の相手のスピリットのアタックでは自分のライフは0にならない!」


「だが、ライフは減少した。よって、フォン・ニードのLv2アタック時効果が発揮される!このスピリットのコア3個をトラッシュに置くことでこのスピリットは回復する!」


 


【蜂王フォン・ニード


コア13→10】


 


フォン・ニードが再び回復する。だが、デルタバリアによって弾にトドメを刺す事は叶わなくなってしまった。その事実を少し悔しそうに感じながらも弦十朗は、楽しそうに笑みを浮かべる。


 


「まさか防がれるとはな」


「俺も冷や冷やしていたさ。あんたがドローしたカードがコスト3以下のスピリットかブレイヴなら俺の負けだったんだからな」


「そうだな。だが、俺もまだ負ける気はないぞ?ターンエンド」


「……なら、このターンで決めてやるさ」


 


口元に不敵な身を浮かべながら弾は静かに宣言する。迷いなどしない。ただ、勝ち続ける。それが修羅の道だろうと。それこそが自分なのだから。


 


「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ。ドラゴニック・タウラスをLv3にアップ!」


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


コア1→5:Lv1→3:BP5000→10000】


 


「続けてブレイヴ、牙皇ケルベロードを召喚!」


 


【牙皇ケルベロード:青・ブレイヴ


コスト5(軽減:赤2・青2):「系統:異合・皇獣」


シンボル:青】


 


赤い装飾を施された装甲を持つ異合の獣が現れる。鉄のヘルムの顔で目元を隠されたそのスピリットは、ドラゴニック・タウラスと共に咆哮を上げる。


 


「ブレイヴ……それが、今の馬神君、ブレイヴ使いの力か!」


「そうだ!牙皇ケルベロードを、ドラゴニック・タウラスに合体!!」


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:赤(青)


コスト7+5→12


BP10000+5000→15000


シンボル:赤+青】


 


ケルベロードの身体が消滅し、青い棘が生えた赤い翼が出現する。それは同じく翼を消滅させたドラゴニック・タウラスの背中に合体し、激しい青い光と共にその肩などに黒い装甲の装飾が出現していく。そして弾のアーマーの赤いラインは青く光り輝く。


 


「アタックステップ!いけ、合体スピリット!牙皇ケルベロード、合体アタック時効果によりデッキからカードを5枚破棄し、ターンに1回、合体スピリットを回復!!」


 


ニジノコ、双光気弾、トレス・ベルーガ、騎士王蛇ペンドラゴン、アルティメットウォールの5枚が弾のデッキから破棄され、合体スピリットが回復する。さらに、ドラゴニック・タウラスが持つ激突の効果により弦十朗は強制的にブロックを行わなければならない。


 


「ならばこちらも合体スピリットで迎え撃つ!ブロックだ!」


 


合体スピリットとなったフォン・ニードが空へと羽ばたく。それを追うようにドラゴニック・タウラスもまた飛翔し、その角から雷鳴を放つ。それをフォン・ニードは華麗に避けると、背中から無数の刀を放ち、ドラゴニック・タウラスへ突き刺していく。だが、こちらも負けはしない。その攻撃のダメージなど気にせずにフォン・ニードへ激突し、そのまま地面へと叩きつけるように押さえ付ける。


 


「ドラゴニック・タウラス、アタック時効果!このスピリットのアタックをブロックされたとき、相手スピリットよりもシンボルの数が多いとき、1つにつき1つ、相手のライフをリザーブに置く!」


「だが、どちらもダブルシンボルだ!」


「……いいや」


 


金牛龍神ドラゴニック・タウラス、Lv2・3アタック時効果。相手のスピリットがブロックしたとき、そのスピリットとシンボルの数を比べる。そのスピリットより多いシンボル1つにつき、相手のライフのコア1個を相手のリザーブに置く。さらに、Lv3アタック時でドラゴニック・タウラスが自身の効果でシンボルの数を比べるとき、系統:「神星」/「光導」を持つ自分のスピリットがいれば、その数だけ自身に赤のシンボルが追加されるのだ。現在、条件を満たすのはドラゴニック・タウラス自身のみ。よって、赤のシンボルが1つ追加される。


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス


シンボル:赤+青+赤】


 


ドラゴニック・タウラスから赤のシンボル二つと青のシンボル一つが出現し、フォン・ニードからも緑のシンボル二つが出現する。シンボル同士が相殺し合い、一つずつ消えていくが、残った最後の赤のシンボル一つが、弦十朗のアーマーへと命中してダメージを叩きこみ、残り2つのライフの内の1つを奪い取る。


 


「く……!?」


 


だが、バトルはまだ続いている。フォン・ニードは槍を使ってドラゴニック・タウラスの足を払うと拘束から脱出して再び体勢を復帰させ、突きの一撃で仕留めようとする。そして、ドラゴニック・タウラスはその一撃を自身の角で真正面から受け止める。


 


「予想外の方法でライフを削られたが……BPは互角、相討ちだな」


「……ふっ」


 


このままではそうだろう。だが、弾の表情は笑っていた。まだ上がある。そう言うかのように弾は、その手から赤のマジックを放つ。


 


「フラッシュタイミング、リバイヴドローを使用!合体スピリットにBP+2000!」


 


【金牛龍神ドラゴニック・タウラス:


BP10000+5000+2000→17000】


 


「弾さんの合体スピリットが越えた!!」


 


フォン・ニードの槍が金色の角によって砕かれる。得物を失ったフォン・ニードが生んだ一瞬の隙、それを狙うようにドラゴニック・タウラスの二本の金色の角の間に激しい雷光が出現し、それがフォン・ニードの身体をぶち抜き、背中の翼が再びスピリットとして疲労状態で場に残る。


 


【千刀鳥カクレイン


コア1:Lv1:BP5000


シンボル:緑】


 


「これが最後のアタックだ!いけ、合体スピリットでアタック!」


「鳥獣烈神ガルードでブロック!!」


 


弾の全力、此方もそれに全力で迎え撃つのがカードバトラーだ。ガルードがその白き翼を広げ、ドラゴニック・タウラスへとの爪を振り上げる。その攻撃を前にドラゴニック・タウラスもまた真正面から激突し、空中で二体は激しくぶつかり合う。だが、その力はドラゴニック・タウラスの方に分があり、ドラゴニック・タウラスがガルードを地面へと叩きつける。


 


「ドラゴニック・タウラス、アタック時効果!」


 


今回のシンボルの差は、ドラゴニック・タウラス3、ガルード1。よって2つのライフが弦十朗から奪われる事となる。ドラゴニック・タウラスの前足がガルードを踏みつぶすと共に、青のシンボル同士で相殺され、残った赤のシンボル2つが、弦十朗へと襲い掛かった。


 


「ライフで受ける!!」


 


 



 


 


「ありがとう、いいバトルだった」


「ああ、久しぶりに暴れて清々しかったよ」


 


バトルが終わり、弾と弦十朗は互いに握手を交わす。彼ならば、未来世界にいたとしても十分に戦っていけるほどだろう。


 


「だ、弾さん……あの」


「?どうしたんだ、響」


 


特に何事も無かったかのように聞く弾。しかし、響や翼からすればとんでもないカミングアウトである事には間違いない。


 


「バトルの中で言っていたあの話って……」


「ああ、あの話か……もう乗り越えたさ、あの頃の俺からね。今ここにいるのは今の俺だ。違うか?」


「……何ていうか」


「弾らしいわね……」


 


そんな弾の対応には、響も翼も苦笑を漏らすしかなかったのだった。

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