第8話 病んている人達
教室に戻るとショートホームルームは終わっていた。
「龍馬様、担任の先生が退職するらしいぞ」
クラスメイトが声をかけてくる。
ああああ、不味いな、今日のショートホームルームは重要であったか。渋々、放課後に職員室に行く事にした。
担任の先生は『加藤』あだ名は『貞子』昔、流行った、ホラー映画の主人公だ。その髪は目が隠れて、長さは口元にまで伸びていた、そして何時も真っ白いワンピース姿なので『貞子』と呼ばれていた。しかし、貞子と言うより引きこもりと言える。
私と条絵は放課後になると職員室に行き加藤先生の元に行く。
「あら、龍馬様、恋人を連れてデート?」
「違う!退職すると聞いて挨拶に来たのだ」
「それは、ありがとう、実は突然、母親が若くして寝たきりになってね。私って、未婚でしょう。色々考え込んじゃって。これを機会に人生を見つめ直そうと思ってね」
「それで何時退職するのですか?」
「今週いっぱいで退職よ。大丈夫、引継ぎはしてあるし、何より有給が沢山あってね」
貞子の見た目は幽霊だが仕事はできるタイプの先生である。
さて、どうしたものか……。
貞子との間に微妙な空気が流れる。
「何かせんべつでも欲しいですか?」
「気持ちだけで十分よ。逆にこれをあげるわ」
それはフロッピーディスクであった。
「これはこの高校の過去題全てよ」
痛いなーパソコンが有る無しの問題ではない。
「いや、要らないし」
「そう?USBの方が良い?」
有るなら先に言えよ。しかし、私は勉強とか興味無いし。結局、過去問を貰うことになる。貞子が結婚できない理由が分かった気がする。
その夜の事である。私はパソコンに向かい。貞子に貰った過去問を見ていた。
げ、Sクラスの過去問もある。Sクラスこと特進クラスは有名国立大学に進学者を出すクラスであった。
私は頭がクラクラしてきて珈琲でも飲む事にした。台所に向かうと妹の『龍子』が何やら本を読んでいる。
それは『死体全集』なる極めてサイコな本であった。水死、焼死、交通事故、駅のホームへの飛び込み。その他、多くの死体の本であった。
よく見ると子供の死体もある。
「龍子、いい加減にしなさい」
「お姉ちゃんには解らないのよ、この死体美のよさが」
しかし、坂本龍馬として世界を救うより、妹を救うべきであろうが、身内の事となると別だ。
私は頭をカリカリしながら自室に戻る。
うん?
条絵が私のベッドの上に座っている。
「ご機嫌斜めね」
「あぁ、妹がサイコパスな趣味にハマっていてね」
「龍馬様も妹はどうしようもないですか?」
「そうだな、こればかりは難しい問題でね」
私が更に頭をカリカリしていると。
「龍馬様、今日は私を愛して」
条絵は頬を赤らめて服を脱ぎ始める。そう言えば、私が攻めなのは久しぶりだ。しかも、条絵の秘部を口で愛してあげた事はない。
今日はとことん攻めるか。それは甘い夜の始まりであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます