第7話 天国の居る黒猫

 翌日


 私が昇降口の下駄箱を開けると手紙が入っていた。


『校舎裏の駐車場で待つ』


 ここれは、告白か……?


 しかし、私には条絵なる恋人がいる。ここはきちんと断ろう。私は無防備に校舎裏に向かう。


 そこに居たのは柄の悪い男子生徒の二人組であった。


「お前、坂本龍馬らしいな、ふぬけなら、ここで歴史通り暗殺してやる」


 ひいいいいいい……。最近、更に目立っていたから。悪いやからに目を付けられたのか。逃げるか?イヤ根本的な解決にはならない。


 天国に居るクロ、力を貸して。私は祈った、クロが居た頃はなんでもできたからだ。


「おら、グズ餓鬼ども、暗殺が怖くて坂本龍馬をやってられるか!!!いっぺん、しばいたろか?」


 それはクロの力を得たハイパーな私であった。


 「うぐぐ、今日これくらいで勘弁してやる」


 男子生徒二人組は逃げるように去っていった。私は腰がぬけてしばらく座り込むのであった。


 その後、慌てた様子の条絵がやってくる。


「龍馬様、ご無事で?」

「あぁ、なんとか」


 私はアスファルトに座っていた姿勢から立ち上がる。ふう~死ぬかと思った。大久保利通も暗殺されているし。目立つ人間は苦労するな。


 あああ、まだ、腰がガクガクする。


「大人のキスで慰めてあげましょうか?」


 条絵が頬を赤らめて問うてくる。せっかく、クロの力を得て強く成れたのだ。条絵に甘えるのは止そう。


「大丈夫だ、教室に向かおう」


 あれ……足が動かない。そもそも、ダメ人間の私が、柄の悪い二人組を撃退したのだ。それなりの代償はあるか。


「やはり、キスをお願い」


 条絵は上機嫌になり、愛の言葉を言ってから、誰も居ない駐車場で甘い大人のキスをするのであった。

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