Track5 おままごとには経営学に通じる物があるバブよ
//リスナー、エリカのマンションに呼ばれる。
//SE ピンポン
//SE 鍵が開き、ドアが開く
「ああ。いらっしゃい。深夜遅くにごめんなさいね。迷わなかった? でも建物さえ分かれば一番上だから、分かりやすいでしょう」
「ええ。利便性を考えて本社の近くの部屋を借りてるから。ホテルみたい? タワマンなんて、みんなどこもこんな感じよ」
「はい、スリッパ。こっちよ。来て」
//SE スリッパを履く音、二人がカーペットをスリッパで歩く音
「ちょっと見て欲しい物があって。1時回ってるのに、急に呼び出してすまなかったわ。もしかして寝てたかしら」
「そう……? それなら良かったけど」
「ええ。とても重要な話よ」
「ほら。それ、見て。そこのテーブルの上」
「何だと思う?それ」
「そうよ。シルベスター・ファミリーシリーズ、森の愉快なお店屋さんセットよ」
「ええ。おままごとがしたくなったの」
//声若干高く
「わたしウサギさん! 森のパン屋さんだよっ」
//急に一瞬普通のエリカに戻る
「何してるのかしら。早くクマさんをやりなさい」
//おままごとパートはオノマトペASMRです
「クマさん、クマさん、ば~ん。ここにパン焼きのカマドがあるよ。一緒にパン屋さんしよ」
「んふふっ……、そう。はい、コックさんの帽子かぶってくださ~い……」
「ぱさっ……。エプロンもしま~す。ぎゅ、ぎゅ。ぎゅっ。ふふっ……えへへっ……」
「ウサギさんは綿棒で生地を練りま~す……。ぎゅ~、ぎゅ~」
「ふふっ、ぎゅ~、ぎゅ~~、こねこね、こねこね、ぎゅ~ぎゅ~、こねこね」
「ふふっ、は~い、とことこ。とことこ。くまさん、これを焼いて下さ~い。カマドはクマさんの担当です、えへへっ」
「がっちゃん、ちりちり、ちりちり。ご~~~、ご~~~~~」
「ふふっ、えへへっ……ふふっ……」
「ち~~~ん、あっ、くまさん、できあがったよ! カマド、開いてみて!」
「ほかほか、ほかほか。すご~い。良い匂いがするね~!」
「くまさん、くまさん、どんなパンができたんですか~? ウサギさんに見せてくださ~い」
//難しい単語を喋るときは、幼女えりかのまま微妙に早口になる。幼女口調から、徐々にノーマルエリカに戻っていく。
「パンダさんのパン……? う~ん……。あのね、クマさん。それって手間に報酬が見合うの? 費用対効果考えた?」
「クマさん、ちゃんとパン屋さんのレストランを見て。席が二席しかないでしょう? だからね、回転率と客単価を意識して、焼くパンを選んで」
「え? 森の木のみで、フルーツパン? あのね、パン屋さんは慈善事業じゃないんだよ」
「材料は安定して大量に供給できるもので。……4ヶ月を目標に材料の8割を自社製にすげ替えられる事を意識して」
「隣のカエルのアイスクリーム屋は似たような製品で攻勢をかけてとっとと潰して更地にして、駐車場にしましょう。両生類の分際で通貨を扱うなんて3億6000万年早いのよ」
「畜産分野に手を広げたら、あとはその関連で販路を……。広げて……」
//数秒沈黙
「なんか……。ウサギさん疲れちゃった……」
「クマさんとパン屋さん出来てれば楽しかったのにな……このウサギさん、何してるんだろ……バカだなぁ……ほんと……」
「なんか。もうやだ。ねえ、クマさん、ウサギさん、クマさんの……およめさんになりたい……」
「ね……? はいっ……。はいっ」
「おわり。めでたし、めでたし……」
//数秒沈黙
「ねえ……。パパ……」
「今日は帰っちゃやだな……。なんかね……えりか、寂しくなっちゃった」
「こっち来て……いっしょにねんね、して……?」
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