Track2 じゃあそういうわけで、ミルクを作って飲ませて欲しいバブ


//リスナー社長室に入る。

//SE ノックする音

//SE ドアが開く音

//2人の距離離れている


「はあ、7分42秒の遅刻よ。まったく……。パパとしての自覚が無いのかしら? あなたがそんなのじゃ赤ちゃんが安心できないでしょう。恥を知りなさい」


「何? 急な来客があって対応してた……?」


「あなた、曲がりなりにも社会人でしょ? 仕事の優先順位ぐらい考えなさい。私がオギャれなくて爆発した末アレになって、水着で踊りくるいながら渋谷あたりで道行く人全員にビンタして回ったら、貴方達社員は全員路頭に迷うことになるのよ?」


//2人の距離近づく。横に並んでいる

「まあ、いいわ。時間は有限よ。こっちに来て頂戴。そう。社長室の、隣の部屋」



//SE 二人が歩き、ドアが開く音


「倉庫だった部屋を改装させたの。ええ。貴方が来るって決まったから。四帖くらいかしら……。少し手狭だけど、二人だし大丈夫でしょう」


「もちろん、私が存分にオギャる為の部屋よ。ビジネス的に言うと社長室付属オギャり部屋ね。赤ちゃん……つまり私がリラックスできるよう、青系色で統一しつつ、視覚的な刺激を得られるように内装もこだわってなるべくカラフルにしてあるのよ」


//SE シュコシュコとハンドソープを出し、手を洗う音

//手を洗いながら喋る

「水回りも一通り揃えてあるから……。この部屋だけで完結してオギャりはせる事ができるわ。細かい備品や設備は後で確認しといて頂戴ね」


「ほら。ここで貴方も手を洗って。当たり前でしょう。これから赤ちゃんのお世話をするんだから。雑菌まみれの手でお世話して赤ちゃんが体調を崩してしまったら大変じゃない」


「赤ちゃんの身体はデリケートなのよ。もし赤ちゃんに何かあったら、あなた責任取れるの? ほら、手を出して。ハンドソープ、出してあげる。赤ちゃんも使える、弱酸性で低刺激の物よ。……んっ……」


//SE エリカがリスナーの手を取って、シュコシュコとハンドソープを出す


//SE リスナーも手を洗う音

//洗い音にかぶせて、台詞始まる

「何? その顔。もちろん、赤ちゃんというのは私の事だけど。何か文句があるのかしら? どうでもいいけど、急に気が変わって貴方を明日から北端シベリア支店勤務にすることが出来る権限が私にあるの、忘れないで頂戴ね……寒いわよ。シベリアは」



「さて、こっちへ来て頂戴。最初だから、私がやってみせるわ。あと、見れば分かるかも知れないけど。一応備品の場所とかも説明しておくわね」


「普段は貴方に準備して貰わなきゃいけないんだから……」


「良い? パパなんだから。ちゃんと覚えておいてね。赤ちゃんに聞き直す様なことがあると、気持ちが冷めてしまうわ」


「メモは? 取らなくて良いのかしら?」


//SE 棚を開ける音


「使う水はこの棚に……ここにまとめて揃えてあるわ。ここに準備してある物はそうしてるけど、必ず軟水を使って頂戴ね」


「それはナゼって顔かしら。ミネラルが豊富に入っている硬水は赤ちゃんのお腹に負担がかかるのよ。そうしたら、私がお腹を壊しちゃうでしょ? 可哀相よね?」


「そこに電気ケトルがあるでしょ。そう。これでこの水を温めるの」


//SE ペットボトルを取り、フタを開けて、トクトクと電気ケトルに注ぐ


「沸騰するまでミルクの準備ね。そこに電子スケールを用意したわ。使って頂戴」


//SE ケトル、コトコト言い始める

//SE エリカ、棚からミルク缶を取って置く。


「粉ミルクは水の隣よ。ええ。私が普段飲んでる、私のお気に入りの粉ミルクが入っているわ」


//SE エリカ、ミルク缶を開ける。


「ああ、わざわざドイツから取り寄せたものよ。必ずこれを使ってちょうだい。20カ国から取り寄せて一番良い物をチョイスしたの。普段と違う味だと赤ちゃんが不安になってしまうかもしれないから、気をつけること」


//『』内も淡々と無感情に読んで下さい

「哺乳瓶はここの棚ね。気分に合わせて変えられる様、デザインが違う物を20個程用意してあるわ。私が都度、『それが良いバブ』って指示するから、従って使ってちょうだい」



//SE ケトルの沸騰する音、カチッとケトルの電源が落ちる


「沸いたようね。ここに温度計があるから、これでペットボトルの残った水と混ぜて温度を調節して頂戴。使うお湯はお湯は70℃よ。あまり熱すぎると、ミルクの成分が固まってしまうから。気をつけてちょうだい」


//SE カチャカチャとお湯を撹拌する音


「いい? こうして……ミルクがダマにならないよう、横着せず少しずつお湯を入れて溶かすこと。ダマになって、私がむせてしまったら……可哀相よね?」


「大体、必要量の3分の2まで出来たら哺乳瓶を振ってミルクを溶かすわ」


//SE シャコシャコと哺乳瓶を振ってミルクを溶かす。


「残りのお湯を入れて、完成ね。あとはまだ熱かったら人肌ぐらい……適温になるまで冷ましてちょうだい」



「ああ……そうそう。ケトルの残ったお湯で……哺乳瓶の口を温めるのを忘れないで。こういう所で温もりを感じられないと、赤ちゃんはリラックス出来ないのよ」


//『』内も淡々と無感情に読んで下さい

「あなたも、赤ちゃんには幸せな気持ちになって欲しいでしょう? こういう所で、『あれ、もしかして私って大事にされてないバブなのかな……』って不安にさせないこと」


「そっちにソファがあるでしょ。そこで続きよ。はい。ミルク、持ちなさい。赤ちゃんはミルクを運べないわよ……?」


//SE 二人の足音


「そこ。ソファの端に座って。もっと詰めなさい。そう」


//SE ソファがギシっと音を立て、リスナーが座る。


「そうしたら……。んっ……手、ジャマよ。どかしなさい」


「そうよ。膝枕。ひざの上に私の頭を乗せて。そう。ミルクを飲ませてちょうだい」


「ほら、もっと膝の上のスペースを開けて。赤ちゃんがミルクを飲める体勢を考えて。そう。それじゃ、失礼するわね」


//SE ソファがギシっ、ギシッ、と音を立てる

//SE 布のすれる音

//演技 エリカがリスナーの膝に頭を乗せる。


「ん……んしょ……ちょっと待ちなさい」


//SE 布のすれる音


「赤ちゃんとして、貴方の膝に私の頭がベストにフィットする位置を探してかるから」


//SE 布のすれる音


「私、こういうの妥協ってできないのよ。ん……ん~……」


//SE 布のすれる音


「ん……、ん~……? ん、ん。よし……ここね」


「あなたの膝、中々良いわね。硬さも感触も……。中々に良いわ……78点ってところかしら」


「親の緊張って、筋肉の硬さや感触で赤ちゃんに伝わるものよ。貴方が緊張していたら、赤ちゃんも緊張してしまうって事。素質は悪くないのだから。精進なさい」


//気持ちよさそうに深呼吸する

「す~~、は~~、なんだか、匂いも……落ち着くわ……んっ……」


「ほら、何してるの? ミルクでしょ。赤ちゃんがお腹を空かせているわよ」


//SE 置いてあった哺乳瓶を取る


//エリカ、哺乳瓶を咥える。嬉しすぎて笑みがこぼれる感じで

「ん……ふふっ。うぇへっ、んっ……あむっ」


//SE 布のすれる音


//ここから台詞に、哺乳瓶の先端をはむリップ音が加わる。又、時折哺乳瓶を咥えながら喋る

「んっ……ん……んふふっ……」


「うん……。いいわね。温度も、濃さも完璧よ」


「はむ……んっ……ん」


「ん……ん……ん……んふふ……んっ……」


「……何してるのかしら。赤ちゃんが頑張ってミルク飲んでるんだから褒めてあげないとダメでしょ」


「頭、撫でて。よしよしって。やさしくね……」


「ん……ん……、えへへ……」


//SE 布のすれる音


//哺乳瓶の先を唇に付けたまま、不鮮明に話す

「んぁ、ん……。ほんとぉ……? えりか、偉い……?」


「ん……えへへ……」


「ん……。んっ……。エリカね、もっと上手くミルク飲めるよ」


「ん……ん……えへへ……」


「ぱぱのナデナデ……えりかね、好き……」


「ん……ん……ん……」


「んぁむ……んっ……ん……んふふっ……」



//SE ピピピとアラーム音


//今回はノーマルエリカにパッと切り替わります

//ため息をついて、身体を伸ばします

「あら。もう時間なのね。……ふう……んんっ」


「それじゃ、悪いけど片づけておいて貰えるかしら」


「ん、お願いね。それじゃ、また明日もこの時間に」


//SE エリカせわしなく部屋を出て行く。

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