中編

 旅に出て何日か経ったあと、一平たちはある港町に到着したのだった。ここで情報を集めようと酒場に入ると、そこには船乗りの男たちが集まっており何やら盛り上がっている様子だった。

「おい、聞いたか?なんでも海の底に宝が沈んでいるらしいぜ!」

と1人が言うと他の者たちが口々に言った。「本当かよ!そりゃすごいじゃねえか!」と言う。そして彼らは一平たちの存在に気づくと、こちらに話しかけてきたのだった。

「おや、そこの兄ちゃんたちは旅の人かい?」

「ああ、そうだが……」

と一平が答えると、船乗りたちは口々に言った。

「実は俺たちもそうなんだ!一緒にどうだい?この海の底に眠るお宝を探す旅にでようぜ!」

と誘われた一平は、当然断るつもりだったのだが、カルデロが「それはいいですね!一緒に行きましょうよ!」と言うとドン・キホーテもそれに賛同したのだった。そして結局全員で海に出ることになったのである。

そこで彼らは船乗りたちと協力して宝を探し始めたのだが、なかなか見つけることができなかった。しかしある日、一平たちはついに宝を見つけたのである。

「あれがお宝に違いない!」

と船乗りたちが指差す先には、美しい虹色に光る宝石が沈んでいるのが見えたのだ。そして彼らはそれを手に入れるために泳ぎ始めたのだった。

しかし途中で嵐が来て皆バラバラになってしまった。一平が必死に泳いでいると、ついに虹色の宝石に手が届きかけた。その時、突然地面が割れ彼はその穴に吸い込まれてしまった。

 目が覚めるとそこは自分の部屋だった。夢だったのかと思いほっとしていると、玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けるとそこにはドン・キホーテが立っていたのだ!

「えっ!?どうしてここに?」

と驚く一平に対して、ドン・キホーテはこう言ったのだった。

「実は、あなたが見た夢は私の記憶だったのです」

と言って彼は語り始めたのだ。今から数千年前、彼は小国を治める領主として人々から慕われていたそうだ。しかしある日彼が領地内を巡回している際、突然地震が起きてしまったのだという。すると彼は地面が割れてその中に落ちてしまったそうだ。しかもそこは底なし沼のような場所だったため逃げることができずそのまま沈んでしまったらしい。しかし、この時ドン・キホーテの従者であったカルデロは必死になって彼を救い出そうとしたのだが、とうとう助けることはできずカルデロも溺れてしまったのだった。その後、彼らは不思議な力によって別世界に転生してしまったのだそうだ。そうして2人はこの世界で新たな人生を始めることになったのだという。

「それで今は何をしているんですか?」と一平が尋ねると彼は答えたのだった。

「それはですね……」といって指差す先には、巨大な宮殿があったのだ!それを見た瞬間一平は思わず、

「うわあ、凄い!」

と叫んでしまった。するとドン・キホーテは言うのだった。「実は私たちはここで王族として暮らしているんですよ」

それを聞いた瞬間一平は驚愕した!自分が今いる世界はあのゲームを買う前とは違う異世界だったのだ!その後も2人は話をつづけたのである。

「ところで、私たちの目的はこの世界の平和を取り戻すことなんですが、そのためにはあなたの力を貸してほしいんです」

とドン・キホーテは言った。一平はもちろん了承した。そして彼らはまた冒険の旅に出ることにしたのだった。

ある日、一平たちは旅の途中で出会った商人からこんな話を聞いたのだ!なんでも、この辺りの海底には邪悪な魔女が住み着いており、人々を困らせているのだという。そこで彼らはその魔女を退治することにしたのだった。

「これであのゲームが始まるわね」とカルデロは言った。一平は驚いた様子で言ったのだった。

「え??」

すると彼は、「あら、覚えてないの?あなたはこのゲームで魔女と戦う騎士として活躍していたのよ!さあ行きましょう!」と言って一平の手を引っ張ってきたのだった。

 そして彼らは魔女が住むという城に向かって歩き始めたのである。その途中、カルデロは思い出話をしてくれたのだが、一平は全く覚えていなかったのだ。しかしそんな一平をよそに、彼は話を続けた。

「私たちはあの世界での冒険でたくさんの仲間に出会ったわ。でもその中でも特に仲が良かった人がいたのよ」と言ってカルデロは誰かを思い出すように遠くを見つめたのだった。

そしてついに彼らは魔女がいる城にたどり着いたのだった!城の中に入ると、そこには不気味な雰囲気を漂わせた老婆が座っていたのだった。

「よくぞここまで来たな、わしの名は魔女様じゃ!さあ、わしを倒してみるがよい!」と言って彼女は構えを取り始めたのだ。一平たちはそんな彼女に立ち向かっていったのだが、相手は強力な魔法を使うためなかなか攻撃することができなかった。

そんな時ドン・キホーテはこう言った。

「ここは私に任せてください!」そう言って彼は魔女に向かって突進していったのだ。そして、魔女の懐に飛び込むと、彼女は持っていた杖を取り上げられてしまったのだった!しかし次の瞬間、カルデロが叫んだのである。

「気を付けて!その杖を使って攻撃してくるよ」こう言われた瞬間一平はとっさに身を引いた。その瞬間、魔女が持っていた杖から黒い光弾が発射され、一平たちの近くにいたドン・キホーテに当たったのだ!その衝撃で吹き飛ばされた彼は気を失ってしまい、それに気づいたカルデロが言うのだった。

「大丈夫、まだゲームオーバーになっていないよ」と。そこで一平は、彼女に「じゃあ、どうすれば良いんだ?」と尋ねた。すると彼は言ったのだった。

「私が敵を足止めするからその間に攻撃してくれるかな?」この提案に対して一平が答えようとした瞬間、魔女の攻撃が始まった!魔女が杖を振ると黒い光線のようなものが出現してこちらに飛んできたのだ!それを間一髪のところで避けると、一平たちは反撃を開始した。しかし魔女は次々と攻撃を繰り出していくためなかなか近づけなかったのだ。そこでカルデロが言った。

「私が囮になるからその間に攻撃して!」と言われたので一平が頷くと、彼は魔女に向かって走り出したのだった。そして彼は魔女を引きつけると、そのまま相手の攻撃を避け続けていた。その様子を後ろから見ていた一平は、彼女の勇気ある行動に感動していた。

そしてとうとうカルデロが捕まってしまった!その時、ドン・キホーテが立ち上がりこう言ったのだ。「今こそ力を使うときだ!」そう言うと彼は剣を抜き、魔女に向かって突進していった!すると魔女は彼を攻撃しようと杖から黒い光弾を発射したのだ。しかしそれを剣で打ち返すと、その勢いで魔女に接近したドン・キホーテはそのまま斬りつけたのだ!

「やったぞ!」と言って喜ぶ一平だったが、次の瞬間彼は驚愕することになった。なんと魔女は生きていたのだ!そして再び攻撃しようとしてきたのである。一方、一平とカルデロはドン・キホーテが作ってくれた隙に魔女から脱出していた。

「どうする?このままでは勝てそうにないぞ!」と一平が言うと、ドン・キホーテは自信満々にこう言ったのだった。「大丈夫だよ、私はまだ戦える!だから君たちは逃げて!」

しかし次の瞬間彼が放った光弾によって吹き飛ばされてしまった!それを見たカルデロが言うのだった。「早く逃げようよ!このままじゃ死んじゃうって!」それを聞いた一平は、「そうだな、逃げよう!」と言って逃げ出したのだった。

それから一平たちは必死に逃げた。しかし魔女の攻撃は容赦なく続くため、なかなか逃げることができなかったのだ。そしてとうとうカルデロが倒れてしまった!その時だった。ドン・キホーテが再び立ち上がり、こう言ったのである。

「私が時間を稼ぐから君は逃げてくれ!」

そして彼は魔女に向かって突進していった!しかし、攻撃してもダメージを与えることができないでいたのだ。しかも、ドン・キホーテは攻撃を受けて倒れてしまった。

「ドン・キホーテ!!」と叫ぶ一平に対してカルデロが言うのだった。「ここは私に任せて、早く逃げて!」そして彼は剣を構えて魔女に向かっていったのだ。

「やめろ!!お前では勝てない!一緒に逃げよう!」と一平が言ったがカルデロは首を横に振った。「私は騎士だから誰かを守るために戦うの」と言って彼は魔女に攻撃を仕掛けたのだった。

 場面は変わり、一平は逃げていた。しかし、ドン・キホーテとカルデロを見捨ててしまった事を思い悔やんでいた。

「俺はどうしたら良いんだ……」と悩んでる間にも、魔女の攻撃は続いていた。その時、頭の中で声が聞こえたのだった。

「あの2人を助けたければ私の言う通りにしなさい」

それを聞いた瞬間、一平はなぜか従わなければいけないと思った。そして彼は魔女に向かって走ったのである。「ドン・キホーテ!カルデロ!」と叫びながら。

その時、ドン・キホーテが立ち上がったのだ!彼は最後の力を振り絞って剣を振ったのだった。しかしそれは魔女に当たらなかった。そこで一平が代わりに剣を振ると、見事に命中したのだ!こうして、ようやく魔女を倒すことができたのである。

 戦いが終わり、一平たちはしばらく呆然としていたのだった。しかし突然「やったぞ!」という声が響き渡ったのだ!見るとそこには、国王がいたのである。

「お前たちは英雄だ!ぜひ私と一緒に来てくれないか?」と国王は言うので、一平たちは承諾することにしたのだった。

それから数日が経ち、一平たちはようやく城に戻っていった。するとそこには大勢の人々が集まっており、彼らが英雄として迎えてくれた。そして国王がこう言ったのだった。

「お前たちはこの国を救った英雄だ!この功績を称え、何か欲しいものはあるか?」と。するとカルデロが答えたのだった。「それなら、この国の騎士になりたいのです」それを聞いた国王は言った。「おおそうか、しかし王女であるお前がなぜ騎士になりたいのだ?」

なんと、カルデロは女性で、とある国の王女だったのである。※作者注:キャラクターブックに「男」と書いたのにスーパーとりんさまはかたくなに女にするのでこちらが折れました。

「実は私たちは、ある王国の騎士だったのですが、魔女を倒すために旅をしていたのです。そこで一度死んでしまったのですが、神様に助けてもらってこの世界に転生したんです」と彼女は説明したのだった。

こうしてカルデロは王女としてではなく騎士として新しい人生を送り始めたのであった。

 ある日彼らは森を探索していた。すると目の前に小さな村が見えたのだった。彼らはその村に向かおうとしたのだが、森には魔物が生息していることが分かったのである!そこで一平たちは作戦を練ることにしたのだ。

「俺たちは今、強力な武器を持っていないから倒すことはできないだろう」とドン・キホーテが言ったので、カルデロは、「だったら魔法を使えばいいんじゃないかしら?」と言った。すると一平が、「いや、それは危険だ!もし失敗した時に取り返しのつかないことになるかもしれない」と反対したため話し合いが続くことになったのだった。

彼らは話し合っているうちにだんだんと不安になってきたので武器を手に取り魔物に挑んでみる事にしたのだ。そして彼らはついに魔物を倒したのだ!すると、そこに村人たちが集まってきたのだ。そして村長はこう言ったのだった。

「おお!あなたたちが倒してくださったのですか!」と目を輝かせていた。一平たちは村人になぜこんなところに住んでいるのか尋ねたところ、どうやら最近彼らが飼っていた家畜がよく襲われるため不安になっていたのだという。そこでカルデロは、「私たちが退治してあげましょうか?」と提案した。すると村長は喜びながら、「本当にありがとうございます!ぜひお願いします!」と言ったのだった。

その後一平たちは村人と共に村に戻り家畜を襲った魔物を退治することにしたのだが、それは意外にも簡単に倒すことができた。しかし問題はここからだった。なんと魔物は倒した後も消えなかったのだ。そこで村人たちがパニック状態になり騒ぎ始めてしまったのである。

「どうしよう?このままじゃ村は崩壊してしまう!」と村長が言ったので、一平たちは村人を安心させるようにこう言ったのだった。

「大丈夫、私たちに任せてください!何とかしてみせます」と言って一平たちは、どうやって家畜を襲った魔物を退治できるか考えていた。しかしいくら考えても答えは出なかった。

しばらくするとドン・キホーテが、「そうだ、この剣を使ってみませんか?」と言い出したのだ。

彼が差し出した剣は、まるで炎のように赤く光り輝いていた。

「この剣でどうするんだ?」と一平が尋ねると、ドン・キホーテは、「この剣で魔物を斬るんです」と答えたのだった。

最初は躊躇っていた一平たちだったが、他に方法が思いつかなかったためやってみることにした。そして彼らは再び森に戻るとさっそく魔物を探し始めた。するとその時、カルデロが突然立ち止まったのだ!そして彼女は何かを見つけたような素振りを見せた。

「あれを見て!」と彼女が指差す方を見ると、そこには巨大な蛇のような生き物がいた!しかもそれは森の奥の方にいたのだ!それを見た一平たちは驚きながら、「なんでこんな所に魔物がいるんだ?」と言った。しかしその時、カルデロは突然走り出したのだった。そして彼女は、「早く追いかけないと!」と叫びながら森の奥へと進んでいったのである。

それを見た一平たちは急いで追いかけることにしたのだが、カルデロのスピードに追いつけず、結局見失ってしまったのだった。

 その後一平たちは必死になって彼女を探したが見つけることはできなかった。2人は村に戻って村長から話を聞くことにした。

「あの蛇は、あの蛇は魔女の使いと呼ばれる魔物なんです!あの蛇を倒せば魔物たちも消滅するでしょう!」と村長は興奮した様子で話した。そこで一平たちは、「わかりました!必ず倒しましょう!」と言ったのだった。

そして彼らは再び森の奥に進み蛇を探し始めたのだが、なかなか見つけることができなかった。しばらくすると突然カルデロが叫び声が聞こえた。一平たちが慌てて駆けつけるとそこには大きな洞穴があった。そして中からはカルデロの声が聞こえてきたのだ!

「助けて!」という彼女の声が聞こえた。一平とドン・キホーテは急いで洞穴の中に入った。するとそこには、カルデロが巨大な蛇に襲われている姿があった!それを見た2人は驚いたが、すぐに剣を構えると攻撃をしかけたのだった。

しかし、その蛇は非常に強くなかなかダメージを与えることができなかったのだ。

するとその時、突然一平の頭に声が聞こえてきてこう言ったのだ。「この剣の力を使え!そして魔女の使いを倒すんだ!」それを聞いた彼はいつの間にかドン・キホーテが見せた赤い剣を握りしめていた。今はこれしか方法がないと思い彼は剣を振ったのだった。すると、その剣からは炎が飛び出していき巨大な蛇を焼き尽くしたのだった。そしてそれが終わると一平は力が抜けたようにその場に倒れた。

その後目を覚ました一平は、カルデロやドン・キホーテと共に村に帰り村長たちに自分たちがしたことを伝えた。村人たちはとても感謝しており彼らの勇気ある行動に賞賛の声が上がり、一平たちは一躍英雄として祭り上げられたのだった。

それからしばらくしてからのことだった。一平がいつものように村を散歩していると、突然1人の女性が現れたのだ!その女性はカルデロと瓜二つだったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る