AI(スーパーとりんさま)を使ってVR騎士物語ゲーム小説を書こうとしたが…な話
シカンタザ(AI使用)
前編
未来の日本の独身男性の一平は、アルバイトで貯めた金で最新のVRゲーム機材を揃え、話題のVR騎士物語ゲームを起動した。攻略やネタバレ情報は一切見ていない。そのゲームはアバターとなる自分の見た目と名前以外は完全にランダムに展開するという特徴があった。一平は適当に初期設定をした後ストーリーを開始した。
「あなたは16世紀ごろのイスパニヤ国の南部、ラ・マンチャ県のある村に住むイーシュという名の男爵です。」
というメッセージ音声が聞こえた。周りを見渡すと、中世風の村が広がっていた。そして、広場には数人のキャラクターがいた。ストーリーはこんな感じだ。イスパニヤ国で戦争が起こり、一平の住んでいた村も巻き込まれた。しかし、イーシュ(一平)はその村にたまたま訪れた騎士と親友になることが出来たため、その騎士に頼み込み一緒に戦うことになる。その騎士の名はドン・キホーテ。彼は騎士物語を読みまくって自分も本の中に出てくる騎士のようになりたいと思い、作男でロバにまたがるサンチョを従者として連れて、自分はやせ馬のロシナンテにまたがりここまで旅してきたというのだ。そして、イーシュと騎士ドン・キホーテは共に戦地に乗り込む。
イーシュの目の前には、「これは現実でありゲームであるということを忘れずに」というメッセージが表示された。これはVRゲームのやりすぎで精神に異常をきたしてしまう人間が続出したためにこのような注意書きを一定の時間おきにプレイ中に表示するように法規制されたためだ。
イーシュは自分も従者が欲しいと思い、目についた村の者に片っ端から声をかけた。彼に応えたのは、酪農家のラモンだ。
「お、俺はラモンです!よろしくお願いします!」
彼は酪農家だが、元騎士の家に生まれたため剣と乗馬は得意だという。外見は太った中年男性で、牛柄のシャツとズボンを着ている。
「おう、私がこたびの戦争で手柄を立てることができたのなら、お前は太守に任ぜられるだろう!」
イーシュはドン・キホーテたちと共に意気揚々と村を発ったところで、「これは現実でありゲームであるということを忘れずに」というメッセージが表示された。一平はそんなメッセージを気にもしないほどゲームに没入していた。
一行が丘の上まで来て下を見下ろすと、左右からもうもうと砂煙を上げて駆けてくる何かの集団が見えてきた。これにドン・キホーテが確信に満ちた表情で
「この戦は、我が友イーシュ殿の勝ちでしょうな。」
と言ってきたが、一平はそれが何を言っているのか理解できなかった。しかし、それは一瞬だった。両軍が激突するその瞬間に、自軍側の勝利が確定するエフェクトとともに表示されるメッセージを見たのだ!つまりこれは現実でありゲームだということを忘れずにという意味である。しかし、イーシュは丘の上に立っていただけなのになぜ勝利という判定なのか? その理由は、片方の軍はイーシュの手勢であったのだ。自分は自前の兵隊を持っていたのか、なんでゲーム側はそれを知らせてくれなかったんだっと心の中で文句を言いながらも、イーシュは
「うむ、よくやった。この勝利は私の誇りである!」
と胸を張って答えるのだった。
仲間と共に丘を降りて自軍の兵士の武功をたたえていたイーシュに馬に乗った敵軍の指揮官を名乗るものが現れ、一騎打ちを申し出てきた。イーシュは受けて立つと答えた。
「それがしは、人呼んで『銀月の騎士』。いざ、尋常に勝負!」
と言って切りかかってきた。イーシュはそれをぼんやりと見ていたが、とっさに
「お、お待ちを。」
と言って待ったをかけ、自分はイスパニヤ国の騎士であるという素性を名乗り改めて勝負を申し込むのだった。
一平は、ゲームに熱中していた。そんな時、ゲーム内メッセージで「これは現実でありゲームであることを忘れずに」というメッセージが表示されたのだ!
なんてカオスな時間を送っているんだと内心思いながら本格的な決闘に突入した。
銀月の騎士が突進してくると、イーシュは「我が槍は、馬などよりもよほど速い!」と言って槍で突きかかった。すると、その一撃が銀月の騎士の胸を深く貫き彼は絶命したのだった。この勝利により、イーシュはラモンとの協力のもとイスパニヤ国の太守に任命されることになったのだった。しかし、なぜ銀月の騎士は一騎打ちを挑んできたのか。彼は本当に敵だったのか?それとも……。
「こたびの戦に勝ち、敵方の大将も討ち取ったとあらばこのラモン、騎士様に一生お仕えいたします!」
とラモンが言ったところで、ストーリーは終わったのだった。
「なんだこれ、クソゲーじゃねえか!」
っとVR機材を体から外した一平は嘆息した。他の人はこのゲームのことをどう思っているんだろうとネットの評判を調べた。そこに書いてあったことは、
「ストーリーは最高だが、主人公に全く感情移入できなかった。」
「このゲームのNPCは全く同じセリフしか言わないから面白くない。他のゲームと比べても劣ってると思う。」
などというものだった。ゲームレビューサイトには酷い評価が寄せられていたため、一平は二度とそのゲームに触れることはなかった。
それから1年後、件のゲームが大幅アップデートされたという情報を見て、一平はもう一度やってみようかという気持ちになった。名前は前回と同じイーシュとした。
ゲームを開始すると目の前に金髪碧眼で17歳のサンチュと名乗る美少女が現れた。
「あなたの従者としてお連れください!」
こういうのでいいんだよこういうのでとイーシュは頭をかきながらサンチュを連れて旅に出た。サンチュは一平のステータスや装備品、所持アイテムなどを確認させてくれた。
「主様、あなたは槍がお得意なのですか?それなら私も少し心得があります!」
とサンチュは意気揚々と言うのだった。そして彼女は槍を構えて見せた。その姿勢の美しさにイーシュは思わず見とれた。自分は騎士だった、ということを改めて思い出す。そしてイーシュは馬にまたがりサンチュを手招きした。
「よし、お前のその槍捌きを見せてもらおう!」
と意気揚々と言ったところでゲームスタートのムービーが流れた。するとサンチュの姿が消え去り、代わりにアジア系の美少女が現れた。思わず、
「え?誰?」
と口に出して言ってしまった。すると美少女が口を開いてこう言った。
「私はサンチュです!主様の従者としておそばに置いていただけないでしょうか?」
どういうことだと思いながらも承諾した。そして、サンチュとイーシュは旅をすることになった。ゲームの中のストーリーとしては、銀月の騎士の呪いでイーシュが馬から落ちてしまうところをサンチュが庇って重傷を負ったのだが、
「俺がしっかり手綱を握っていれば……」
などと悔いる彼をサンチュは優しく慰めたのだった。そして2人は数々の試練を乗り越え、遂には敵国の王を討つまでに至ったのであった。しかし、最後に立ちはだかったのはサンチュとイーシュを呪いから解き放とうとする銀月の騎士だった。
「貴様たちは自らの力でその呪いを打ち破ったのだ!だが私は違う……頼む、私を止めてくれ!」
という叫びを聞いてイーシュは銀月の騎士を殺してしまうのだった。そしてゲームのムービーが流れ、サンチュが目を覚ましたところでゲームクリアとなった。
「これは現実でありゲームであるということを忘れずに」
とメッセージが出てくる場面で一平は思わず叫んでしまった。
「違うだろおおおおぉぉぉ!」
しかし、ゲームは止まらない。銀月の騎士の呪いによってイーシュが馬から落ちてしまう場面に切り替わると、サンチュは
「主様、ご安心ください!この馬は騎士様が乗っていた馬です!きっと無事に主様を受け止めてくれますよ!」
などと言って馬を連れてきたのだった。そんなサンチュに対して、一平は
「これバグだろ!仕様だとしたらなんてクソゲーだよ!」
と叫んだ。すると、サンチュが
「バグ?仕様?」
と首をかしげている。ゲームの中ではストーリーが進行しているが、彼女の中では一平の声は現実世界のものとして聞こえていた。そのため、先ほどのイーシュのセリフは彼女が発したものであり、またこのゲームで彼女はプレイヤーに対して話しかけられることを想定されていないため、プレイヤーからの返答を待つ仕様になっていた。一平は
「なんでもない……」
と言ってゲームを進め、ついに敵国の首都にたどり着いたところでストーリーは終わったのだった。
一平は、ゲームをプレイし終わった後しばらく放心状態だった。ネットではこのゲームを評価する感想がコメント欄にも多く書き込まれていた。
「銀月の騎士の呪いで馬が暴れて落ちる場面は笑った」、「サンチュちゃんかわいいな、この子と旅をしたい」、「ストーリーは良かった。これはクソゲーじゃなくて良ゲー」、「世界観が意味不明」、「戦闘場面がつまらなすぎる」、「グラフィックも声優の演技も最悪」、「演出や会話のつまらなさが売り」、などと言った意見が見られた。そして一平もこのゲームをプレイして少し考えが変わった。
あのゲーム、確かにクソゲーだったかもしれない。しかし、VR技術の進歩を感じさせてくれたという点では面白い試みであったし、このゲームがあったからこそ自分はこうして現実世界でも女の子と会話出来ているのかもしれないと思ったのだった。
「もう1回やってみよう」
そう言って一平は再びゲームを起動した。
今回彼の前に現れた風景は、中世風の村だった。自分は、この村の領主であるらしい。すると、部下の1人がやってきて、こう言った。
「領主様、隣国からの書簡が届きました」
と言ってきた。これは現実でありゲームであるということを忘れずにという意味だと思いつつ一平は手紙を受け取り中身を読んだのだった。そこにはこのようなことが書いてあったのだ。
「我が名は、ドン・キホーテ。隣国からやってきた騎士である。先日、我々の村で反乱が起き領主殿のお力添えを賜りたいと思い訪れた。あなたのおかげでこの村の反乱は治まったが、実はあの後さらに多くの反乱軍が現れ我々は窮地に立たされたのだった。しかし、あなたの力によって我らは反乱を鎮圧し、村人たちもあなたに感謝している。もしよろしければ、我が領土に一度来ていただきたいのだがいかがでしょうか?」
一平は、騎士として困っている人たちを見捨ててはならないと感じ、彼の領地に向かうことにした。そして再びゲームスタートのムービーが流れると、一平の目の前に金髪の美青年が姿を現したのだった。彼はカルデロと名乗った。
「騎士様、本当にありがとうございます!」
と言ってハグをしてきた。すると、
「こら、カルデロ!騎士様には高貴な挨拶をしろって言っただろ!」
と声がした。そちらを見ると、髭を蓄えた男が立っていた。彼はドン・キホーテと名乗った。彼らの村には他にも多くの人々がいたが、彼らは皆ドン・キホーテの従者らしい。一平は、彼らと宴会を楽しんだ後で眠りについたのだった。
翌日、彼らが反乱した者たちを捕らえに行くというので一平も同行することにしたのだった。一平は馬にまたがり彼らの後ろをついていくのであった。そしてついに敵の本拠地にたどり着いたのである。敵はこちらに気づくやいなやすぐに攻撃をしてきたため、戦いになった。しかし、一平とカルデロは剣で敵を次々に倒していったのだった。
そしてついに敵将を捕らえることに成功したのであった。
「騎士様、本当にありがとうございます!」
と言ってカルデロはまたもハグをしてきたが、その背後にいたドン・キホーテは、
「こら、カルデロ!騎士様には高貴な挨拶をしろって言っただろ!」
と怒った。するとカルデロは少しシュンとして一平から離れたのであった。そしてこれからどうするかという話になったが、彼らは村に戻ることにしたらしい。一平も彼らに同行し村に案内してもらったのだった。
村にたどり着き、領主に挨拶を済ませるとドン・キホーテは、
「騎士様、我々はこれから領地に帰るのですが、どうかお見送りに来てくださいませんか?」
と言ってきた。一平はもちろん快諾するとすぐに馬に乗って彼らと共に旅立ったのであった。道中ではたくさんの敵が現れたが彼らは難なく倒し、ついにドン・キホーテの領地に着いたのである。
一平が領地内に入ると歓声が上がったのだった。そして、彼の屋敷で1泊することになった。そこでは宴会が開かれて、多くの領民たちが彼を迎えてくれたのだった。宴が終わると一平は再び馬にまたがり村に帰ることにしたのであった。
翌朝、一平は再び馬に乗って彼の屋敷を出たのだった。そして村への帰路を進んだところでゲーム終了となったのであった。
「これでこのゲームも終わりか」
そう呟きながらゲームの電源を落とした彼はあることに気づいたのだった。なんと、あのゲームまだ続きがあるらしいのだ!しかしそれは続編ではなく、なんと今回のアップデートによって追加された引継ぎモードで遊べというものだった。
一平はさっそくダウンロードしてゲームを起動してみた。するとそこには、最初に出てきた村の風景が広がっており、一平がゲームスタートのボタンを押すと……カルデロが出てきたのだった!
「騎士様、またお会いできて嬉しいです!」
と言う彼のセリフを聞いて一平は、再びゲームの世界に入り込んでしまったのだということを確信したのだった。そしてカルデロと会話したり戦闘を楽しんだりした後で、彼はついにボス部屋まで来てしまったのだった。するとそこにはあのドン・キホーテがいたのである。
「ドン・キホーテ?お前はどうしてここに?」
一平が戸惑いながら尋ねた。
「俺は、領主殿に頼まれてお前を試すためについてきたのだ」
とドン・キホーテは答えた。そして2人が戦闘を開始すると、一平はカルデロを補助役にして戦った。するとなんと、敵の動きが遅くなり簡単に攻撃を当てることができたのだった。
「これがアップデートされた引継ぎモードの力か!」
一平は思わず叫び、そのままドン・キホーテを倒すことに成功したのだった。すると彼は、自分の領地に戻るといいと勧めてきたので、一平はカルデロと一緒に村に帰ることにしたのだった。
そして、一角獣を退治しにいくというイベントが発生したのであった。しかも、なんと今回はドン・キホーテもついてくるというのだ!戦闘では彼が従者として援護してくれるらしい。そして、一角獣を倒すと、
「騎士様、これでこの森も平和になることでしょう」
と言ってドン・キホーテが感謝してきた。すると画面が揺れだした。
「地震だ!」
とカルデロが叫んだ。しかし、地震は収まらなかった。そしてドン・キホーテたち一行が画面から消え去ったのだ。
「え?どういうことだ?」
一平は戸惑った。するとそこへ、画面から声が聞こえる。それは聞き覚えのある声だった。
「私は、君たちの住む世界とは違う別の世界を統治している者だ。」
とその声は言ったのだった。そして、その声の主はこう言ったのだ。
「君たちの世界に最近不穏な動きが感じられるので調査させていただいたところ、どうやらバグが生じていることが判明してね。それでバグを修正するために君たちにゲームの世界に入り込んでもらったんだ。」
一平は、その説明を聞いて怒りがこみ上げてきたのだった。そして思わず叫んだのであった。
「俺たちを弄んでたのか!」
するとその声は言ったのだった。
「弄んでいるとは人聞きが悪いね、これも立派な仕事なんだよ。」
そして、こう続けた。
「でも安心してくれ、君たちは無事元の世界に帰ることができるし、バグだって直ったからね。それから、この続編も用意しているので楽しんでいってくれたまえ!」
すると画面が激しく揺れ出し、光が一平を包み込んだのであった。
ある日、一平は目が覚めると、自分がゲームの世界に入っていることに気づいた。
「ああ、これ夢か」
彼はそう言いながら歩き回っていると、ドン・キホーテとその従者のカルデロという人物に出会った。話を聞くところによると、今この世界が大変なことになっているらしいのだ。そして彼が言うにはその危機を救うためには騎士であるあなたの力が必要なのだという。
「断る!」
一平は当然断った。しかしドン・キホーテはさらに続けた。
「ではこういうのはどうでしょう?あなたに力を貸す代わりに、私と共に領地に行き、住民を救ってくださいませんか?」と提案されたため仕方なく了承するのだった。そうして2人は共に村に向かい、住民を魔物から守る戦いを始めることになった。
「これはまた変な設定のゲームだな」と一平は思ったが、すぐに戦闘に集中し始めたのだった。
ドン・キホーテの話によると、この村には悪名高い領主がおり、彼は人々を脅しては村の発展を妨げるようなことをしているらしいのだ。しかも、その領主にはたくさんの手下がいて、彼らによって村人は苦しい生活を耐え忍んでいるらしい。
一平たちは早速悪名高い領主の家に向かったのであった。そして家の前で見張りをしている2人を倒すとドン・キホーテは叫び声をあげたのである。すると中から悪名高い領主が出てきたのだった。
「お前、あの村から騎士が来たとはどういうことだ!」
と領主は驚いた様子で言った。一平がすかさず名乗りを上げる。すると、彼は突然襲いかかってきたのだ。
「やられるもんか!俺は騎士だ!」
と言って一平は剣を構えたのだった。そして激しい戦いが繰り広げられたのである。そしてついに悪名高い領主を倒した一平は、村人たちにもう大丈夫だと言って回ることにした。すると村人たちから歓声が上がるのだった。しかも、ドン・キホーテから感謝されお礼として村の財宝をもらえて一平はとても喜んだのであった。
それから2人は領地に戻り、ドン・キホーテの屋敷で食事をすることになった。そこで、一平はドン・キホーテに尋ねたのだった。
「ところで、どうして悪名高い領主が人々を苦しめるんだ?」
すると彼はこう答えたのだ。
「実はある貴族の陰謀なのです」と言うので一平は驚いた。そしてドン・キホーテはさらにこう続けた。
「領主はその陰謀に加担しているのです」
一平はそれを聞いて、すぐにでもその貴族を倒さなければならないと考えた。そして、ドン・キホーテと共に再び旅に出ることにしたのだった。
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