第3話 先生と生徒2

放課後、僕はまた職員室の戸を開けた。

どうやらe先生はいないみたいだ。


他クラスの教師が僕に話しかけてくる。


「e先生のクラスの子よね?もうすぐ来るだろうから、e先生の椅子に座っていてもいいよ。

・・・e先生も忙しいねぇ。」


「はぁ。じゃあ座ります。」


しかしいつ来ても、大人がたくさんいる部屋は緊張する。e先生早く来ないかな。


先生の机は相変わらず、というか前に来たときよりも散らかっているように思う。

これはお母さんがよく言うことなんだけど、机や部屋の状態は心の状態だから、自分のために整理しなさい。って。


先生という仕事は僕が思うより大変な仕事なのかのかもしれない。

いや、先生に限って多分忙しさは関係ないと思う。


「いやぁ、待たせたねぇ!色男君!」

「なんですか急に。」

「いいや〜。なんでも〜?ははは!

そういえば体調は問題ないかい?」


「はい!絶好調です先生!

それより、前に教えてもらったことを言ったよ!そしたら面食らった顔をしてたんだ!」


「そうかいそうかい。」


「でも・・・。僕と仲良くなりたい。って感じでは無かった気がするんだ。」


「んー。よく見てるねk君!君は超能力者だ!」


「バカにしないでください先生!」


「ははは!相手の反応が思ってたのと違うだけで、本当に仲良くなりたい。と思っていたかもしれないよ?もしかしたらそれが君じゃないとかさ。それはまぁいいんだ。」


「そんなものなんですか。僕は先生みたいに賢くないので、人の考えてることがよくわかりません。どうすれば人の気持がわかるようになるんですか?」


「おおっと!またいい質問だね!君は本当に小学生かい?一緒に考えてみようか!」


「まず結論から言うんだけど。人の気持なんてものは先生にもわからないんだ。」


「えっ?なんでですか?」


「それはね。僕が君の人生より少しだけ長く生きていて、今までの経験からきっとこう考えているだろうと考えてるだけなんだ。君がしているのと同じようにね。だから焦らなくていい。ゆっくり色んな人と会って色んな事を話して行けばいいのさ。」


「先生がおじさんだから、僕よりいっぱい色んな事を知っていて人の気持がわかるってことだよね。」


「そうさ!先に生きると書いて先生だからね!ははは!だれがおじさじゃ!」

おでこに痛みが走る。


「先生体罰です!!」


「うっ!そのキラーワードを辞めるんだ!これは愛あるお説教なんだよ!ちなみに年について言うのは、私にはいいけど女の人言っちゃだめだからな!!私より怖いぞ!」


「お母さんに歳の話をした日だけ、お菓子が減らされたのはそういうことだったんですね!」


「そうかもしれないね!k君はそういうサインを見極めるんだぞ!じゃないと先生みたいに・・・ゲフンゲフン!


さて、さっきの続きを話そうか。k君は人の気持ちについて質問してくれたよね?」


「うん。」


「人の気持ちは色んな人と色んな話をすることでわかるようになってくる。要は、経験を積むってことだね。」


「経験を積む!」


「人の気持がわかるようになると、無駄なケンカや争いが減るんだ。


ケンカは、お互いがお互いを知らないから起こる。

相手のことを知る方法の一つでもあるけどね。k君はケンカするのは好きかい?」


「好きじゃないです!僕はみんなと仲良くしたいです!」


「うんうん!そうだよね!いい心がけだね!自分の気持ちを一番大事に持って、他の人のことを知っていこう!」


「はい!」



「将来、もし君が私のことを覚えていていたら、経験してきたことを教えてほしいなぁ。

君がどんなことを言うのかとても興味がある。」


「分かった。約束!」


「あぁ。約束さ!」

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