第18話 好きだから

「改まった話しってなんですの?」

「先ほどソニーは第三王子に婚約を申し込まれたと言っていただろう?」

「言いましたが、それがなんですの?」

「その、な…」


 ライトさんが言い淀んでいる?

 言いづらいことなのでしょうか?


「あの、なんでも言ってください。答えますので」

「では、何故断ったのだ?第三王子と婚約したらアディール家も安泰するだろう?」

「ライトさんまで、そんなことを仰るのですね…」


わたくしはボソっと呟いた。

 だって、言われたくなかったんですもの。

 家のことを考えろだなんてことに、似た言葉をライトさんには。

 辛かったわたくしの心を救ってくれたのが彼だから。


わたくしは、家のことだなんて考えたくないのです。自分のことを考えて、今回の申し込みを断りました」

「ソニー自身のこと?」

「えぇ。わたくしがしっかり考えて答えを出しましたわ」


 あの場で考え、お父様の命令にも背いて断った。

 それは、わたくしにとってとてつもない進歩なのです。

 それができた理由がライトさんなのにも、彼は気づいてはいないのでしょうけど。


「君の考えとはなんなのだ?」

「自分で考えてください。と言いたいところですけれど、ライトさんは分からないでしょうし、ちゃんと言いますわ。しっかり聞いていてくださいね?」


 わたくしは深呼吸をする。


「好きですわ。ライトさんが」


 きっと、一人ではないと言われた瞬間から惹かれて始めていたんだ。

 こんなすぐに好きになるだなんて、説得力がないかもしれないけれど。

 自分の気持ちに嘘をつくことはできないから。

 少しでも、届いていてほしい。

 わたくしの想いが。


 たとえ、拒絶されたとしても—

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