第14話 私の想い

「わ、わたくしは—」

 

 改めて考えると、上手く考えがまとまらない。

 最初出会ったときからルー様には惹かれていた。

 けれど、その気持ちを伝える気もなかった。

 自分の気持ちを伝えることも叶わないと思っていたからだ。


 ですが、今回このような話をいただけるだなんて…

 思ってもいなかったですわ。

 

「少しだけお時間をいただけないでしょうか?」

「うむ。何時間でも待とう」

「ありがとうございます」


 わたくしはそう言われたので、長らく考え始めた。

 昔、ルー様とお話しするのはとても楽しかった。

 嫌なことも忘れられた。

 それはわたくしにとって大切な時間だった。


 だからルー様との時間は失いたくなかった。

 ですが、その時間は急になくなってしまったのです。

 その日はいつもの通り庭仕事をしていました。

 けれど、どれだけ待ってもルー様が来られることはなかった。


 そして何日も待っても来られなかったのです。

 わたくしが辛いとき会いにきてくださる方はいなくなったのです。

 それがどれだけ苦しかったか…

 それを分かってくださる方はいない。


 わたくしは話を聞いてくれるだけで良いから、ルー様にいてほしかったのに。

 それさえも許されないのだと、現実を突きつけられたのです。


 今となっては、ルー様が第三王子だったからなのだと分かりましたけれどね。

 それでも、来れなくなるのなら一言でも仰ってほしかった…

 そう思うのはいけなかったのでしょうか?

 いけなかったのかもしれませんね。


 そしてその時間がなくなったことにより、わたくしはまた元通り苦しい日々に戻ってしまったのです。

 わたくしが一番苦しい時にそばにいてくれなかった。

 自然と、ルー様に惹かれていた気持ちは消えてなくなってしまっていたんだと思います。


 ですので、わたくしの答えは—

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