第11話 戻ってこいと言われた

 オシャレをしたあとにアリア様が、手を叩いた。


「そうだわ!ライトに見せにいきましょう!」

「えっ、で、でも…」

「こんなに可愛いのだから自信をもちなさい!ほら行くわよ!」


 アリア様が、扉を開け歩き出した。

 わたくしはなるべく走らぬように、あとをつけた。


「ライト〜いるかしら?」


 アリア様はわたくしとライト様が初めて出会った場所の扉を、開けた。


「母様、お静かに。今お客様がいらしているのですよ」

「あら、すみません。はしたないところをお見せしてしまいました」


 アリア様が頭を下げられた方を見てみた。

 すると…


「な、なぜ、お父様がこ、ここへ?」


 わたくしの身体はブルブルと震え出した。


「相変わらずのようだな。ソニーよ。

 私だって来たくはなかった」

「なら、なおのこと何故?」


 来たくはなかったのなら来なければ良いのに。

 わたくしはもう会いたくなかった…


「お前を呼び戻すように言われたのだ」

「だ、誰にですの?」

「何故かは分からないが、この国の第三王子にだ」

「第三王子?」


 関わった覚えもない。

 それなのに、何故私わたくしを?


「ああ。ということだから、お前を連れて帰る。それを話にこの屋敷までやってきたというわけだ」

「そう、でしたのね」


 わたくしが必要だから。

 今まで散々な日々を送らせておいて今更…

 ですが、王子の命令に背けば、アディール家は危ういのでしょう。


「お前に選択肢はないからな。私と共に帰る。それが今のお前に与えられたものだ。分かっているな?」

「分かりました。お父様と一緒に帰りますわ…」


 わたくしにある選択肢は一つだけ。

 お父様には従うしかない。

 お父様がわたくしの手を掴もうとした瞬間、ライトさんが間に割って入った。


「さすがにその言い方はないのでは?」


 カッコよくて頼りになる。

 ですが、今は—


「ライトさん、良いのです」


 彼に向かって首を横に振った。


「だがっ」


 彼がそう言ったがお父様がすかさず


「早くしろ。時間がないんだ」

「はい」


 わたくしは頷く。

 そして、ライトさんを見て小声で言う。


「必ず帰ってきますので、待っていてください」


 彼は声に出さず、頷いた。

 わたくしはお父様の後を歩きだした—

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