第9話 ティータイム
皆様をお呼びして広間に集まっていただいた。
クッキーを盛り付けたお皿を運び机の上に置いた。
「お口に合うかは分かりませんが、どうぞ」
「あぁ、いただこう」
ライトさんがそう言ったあと、クッキーを一枚取りお口へと運ばれた。
その様子を見ながら
不安でいっぱいだから…
「美味しい」
「ほ、本当ですの⁈」
「あぁ、本当だ。人のことを考えて作ってくれた味がする」
「良かったですわ…」
ライトさん方に食べてもらうことを考えながら、頑張って作りましたからね。
美味しいと言ってもらえて良かったですわ。
あっ、けれどアリア様とロイド様にも食べていただかなければ。
「あの、アリア様とロイド様も、ぜひ…」
「えぇ、いただきます」
「うむ、いただこう」
お二人が一枚のクッキーをお口に運ばれる。
「美味しいですよ」
「あぁ、美味しいな」
お二人が微笑まれた。
「良かったです」
美味しいと言っていただけると、心が温かくなりますわね。
知らなかったですわ…
今までそんなこと言われなかったものですから。
お母様とお姉様にお出ししても、何も言わずに食べていましたもの。
ですので、美味しいと言われることを期待してもいなかったのですわ。
それなのに、この方達は当たり前のように言ってくださった。
この屋敷に来てからまだ二日しか経っていませんけれど、ずっといたいと思えるほど居心地が良い。
「ソニーさん」
「はい?」
少しぼーっとしてしまっていたかしら?
声をかけられて、惚けた返事をしてしまいましたわ。
「貴方明日のご予定はあるかしら?」
「いえ、ありませんわ」
「そう。なら、明日は
「もちろんですわ」
アリア様に誘われたら断るわけにもいかないですものね。
それに、嫌ではないですし。
何をされるのかは分かりませんが…
「それなら、明日を楽しみにしていてね。ライト、ソニーさんを借りるわよ」
「私にわざわざ言わなくてもよろしいですよ。母様なら悪いようにはしないでしょう?」
「それはもちろんよ!」
それって、なんだか婚約者のようで照れてしまいますわ。
いえ、婚約者なのだけれどね。
「ソニー嬢は嫌だったらちゃんと言うのだぞ。アリアは結構強引なところがあるからな」
「ちょっと、強引ではないわよ?」
「いや、君は強引だろう」
そんな言い合う二人を見てると、なんだか微笑ましいと思いますわ。
なんて、いつになるか分かりませんけれどね。
「多少強引でも大丈夫ですわよ」
「だから、そんなふうにはしないわよ?」
「ふふっ、はい」
明日がくるのがとても楽しみになりましたわ。
明日が楽しみだなんて、久しぶりに思いました。
アリア様と過ごすのならとても楽しいことができるでしょうし。
待ち遠しいですわ。
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