第6話 同年代の友達

「んっ、ふぁ〜よく寝ましたわ…」


 目を開ける。

 天井が見覚えがなくて、自分の家ではないということを実感した。


「そうでしたわ、わたくしはもう—あの家から出たのですね…」


 ずっとあの家にいることがキツかった。苦しかった。

 けれど、そんなことは誰にも言えなかった。

 ですが、これからはそんなことを気にしなくて良い。


 改めて、そのことを実感できた。

 

「さて、しっかり起きなければ」


 わたくしはベッドから降り、カーテンを開けた。

 日差しが少し眩しい。


 その時、扉のノック音が聞こえた。


「どうぞ」

「失礼いたします」


 先日も会った侍女だった。


「本日よりソニー様の御付きになったエマでございます。なんなりとお申しつけを」


 お辞儀をして彼女は言う。


「分かりましたわ、エマ。仲良くしてくださいね」


 わたくしは彼女に微笑んだ。


「い、いえっ。私のような使用人が貴方と仲良くなど…」

「そんなことは気にしなくて良いですわ。

 わたくしね、同年代の友達がずっとほしかったのです。ですから、ぜひお友達になってくださると嬉しいですわ」

「わ、私でよろしいのなら…」

「嬉しいですわ!」


 わたくしは彼女の手をとり握った。

 彼女はコホンッと咳払いをした。


「ソニー様、身支度がまだでしょう?お手伝いしますよ」

「ありがとう」


 わたくしはエマに手伝ってもらいながら、身支度をした。

 いつも無頓着にしていた髪も、エマが綺麗にといてくれた。


「ソニー様のお髪は綺麗ですね。これからも綺麗であるように、私が精一杯頑張らせていただきますから」

「ふふっ、ありがとう」

「いえ、カルセル様の為ですから。それに、ライト坊ちゃんがあんなに楽しそうにしているのを見るのも初めてなので。カルセル様には感謝しているのです」

わたくしはなにもしていませんわよ?」

「ソニー様がお分かりにならなくても、しているのですよ」


 その意味は分からないけれど気にしなくても良いのかもしれませんわね…

 

「そうだ、エマ。わたくしライト様にお菓子を作る約束をしたのだけれど…」

「お聞きしていますよ。ご一緒に作らせてください」


彼女はそう言って微笑んだ。


「確かに二人で作ったら楽しいかもしれないですわね。一緒にしましょう!」

「はい!」


 わたくしと彼女は手を握り合わせた。

 誰かと一緒にというのは、初めてですわね。

 楽しみですわ。


「早速しますか?あっ、その前にご飯を食べましょうか。ソニー様もお腹が空いているでしょう?」

わたくしも一緒に食べて良いのですか?」


 アディール家にいる時はわたくしは一緒には食べてはいけなかった。

 それなのに、良いのでしょうか?


「もちろんですよ。行きましょう」

「えぇ、分かりましたわ」


 そう言ってもらえたので、部屋を出て向かいました。

 

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