0‐3 明け方の夢③

「もしも~し。そろそろ起きてくれませんかね。キャリーくん?」

 夜明けとともに目覚めた少女が素早く身支度を済ませると、相棒の機体からだを蹴りながら問いかける。

 彼としてはもう少し穏やかに起こしてほしいところであるが、そうした気遣いをされない程度に付き合いは長い。

 彼女もどうすればキャリーを素早く起動できおこせるかを理解していて実行に移しただけだ。

「おはようございますカナタ。今日も起こしていただいたので、目覚めも快調です。」

 彼も少女へ挨拶を返す。

 さすがに彼よりも半分以下の体格である少女を小突き返したりはしない。

 彼女にはそうしても問題ない様な雰囲気は有るのだが、実際に小突こうものならいろいろな意味でしゃれにはならないだろう。

 やがて装備を整えた少女は大ざっぱに出発の合図をする。

 それに答え、起立する彼の背中に素早く飛び乗る少女。

 そこには開放型の簡易操縦席。

 機装ゴーレムである彼は自立行動が可能だが、主人からの操作も可能になっている。

 最も少女はそこで操作を行うことはなく。もっぱら座席代わりにしていた。

 今日も座席に乗り込むと、まとっているマントのフードを目深に被る。

 少女と彼の目的は同じである。

 ある青年を探すこと。

 それが可能なのかは分からないままに二人は世界を放浪している。

 青年が求めた未来は訪れていたのか。それを見定めるためにも。

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