無愛想な新人 ハヤテの話

 ハヤテです。よろしく。

 なつみさんの話が長かったので、さくっと始めます。


『だるまさんが転んだ』ってみなさん、遊んだことありますよね。

 今日はその話をしようと思います。

 とある小学校でのお話です。


 その日はあいにくの雨。

 外で遊べない子どもたちは校舎内で遊ぶことにした。

 といっても、走り回ることもボールなど道具を使っても遊べない。

 できるのはかくれんぼなどの激しくない遊び。

 そんな中で一人の子がこんな事を思いついた。


 ほら、じゃんけんをして勝った手の形で階段をのぼるゲームあるでしょ?

 グーなら「グリコ」、パーなら「パイナツプル」、チョキなら「チヨコレイト」っていうあれ。

 あれみたいに「だるまさんが転んだ」やろうって。

 下の階からスタートして鬼の子は階段の上で「だるまさんが転んだ」を言って、下の子達は階段を登っていく。


 え?小学校とか学校の階段って踊り場があって折り返しているでしょって?下から登って来るのが見えないんじゃないかって?


 その子達が使おうとした階段は、踊り場にでっかい姿見が置いてあったから、鬼は鏡を通して下の階が見えるわけ。


 早速鬼は上階へ、残りの子は階下へスタンバイ。

 いつもと同じように鬼は後ろを向いて、子ども達は下から階段を登る。


「だーるまさんがこーろんだ」


 鬼は言い切って振り返る。

 動いてる子は誰もいない。


 もう一度同じことをして振り返った時だった。

 階段を勢いよく駆け上ってきていた子が鬼にタッチしようとしていたと同時に振り返ってしまい、タッチしようとした子はバランスを崩して階段から転がり落ちてしまった。


 それから大騒ぎで、みんなその子に駆け寄り声をかけ、先生を呼んだ。


 まぁ、階段で遊んじゃだめだよって言われる典型だね。


 その子は病院に運ばれたけど亡くなってしまったんだって。


 それからというもの雨の日に鏡の前を通ると「だーるまさんがこーろんだ」って子どもの声が聞こえることがあるんだってさ。

 もしその声が聞こえたら、振り返らずに鏡も見ずに立ち去ること。


 もし振り返ったり鏡を見てしまったら、今度の鬼はあなたの番ね。




「階段で転んだ」

 三題噺「鏡」「じゃんけん」「だるま」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る