第2話 ゴブリン攻略戦

翌日、俺は学校の帰りに早速ダンジョンへ向かった。


「さて、昨日の考えが正しけりゃ確実に1匹ずつ仕留めれるはずだ。

今日も頼むぜ、ドローンさん」


凛太郎に悪いが、昨日は戦闘の考察に夢中で渡す動画の編集ができなかった。

少しお小言を貰ってしまったが、引き続きドローンを借りれたので、まあ良しとする。


「さて、今日こそリベンジだ。ゴブリンの攻略、開始するぜ!」


2階層に入ると早速、3体のゴブリンとエンカウントした。


こちらを見つけた時点で左右に広がり、囲むように攻撃を仕掛けてくる。


(まずは、攻撃をしのいでこいつらがパターンに入るのを待つ)


しばらくすると、1体のゴブリンが果敢に攻撃を仕掛けてきた。


数舜後には2体目も攻撃に加わる。


(思った通り、こいつらには探索者相手のいわば必勝パターンみたいなのがある!

役割分担がランダムだから戦闘に集中してると気づきにくいけど、ドローン視点で全体を見渡してみたらよくわかった!)


2体の攻撃が加速する。


左右に広がっていた中、2体の距離がつまり、3体目のゴブリンの姿が視界から消えた。


(俺は3体目から目を離したんじゃない!果敢に攻撃してくる2体によって、視覚を狭められてたんだ!)


2体の連撃をさばいていくと、一瞬の間攻撃が止み、2体にスキができた。


(ここだ!)


俺は、太ももに装備していた投げナイフを引き抜き、自身の死角である右斜め後方へ投げた!


『ぎゃ!!』


そこにはこちらへ投擲を投げようとしていた3体目のゴブリンがおり、投げナイフは肩に深く刺さっていた。


「完っ璧っ!!」


即座に双剣を構えなおして、動揺をしている前方の2体に切りかかった。


振るった刃は一番近くにいたゴブリンの首に吸い込まれ、鮮血をまき散らす。


2体目のゴブリンが我に返るが、動揺が隠せていない!


「構え直すのがおせえ!!」


武器を弾き飛ばして2体目を仕留める。


ゴブリンの腕力は人間の少年程度、1匹ずつならば簡単に倒せる。




(俺は、何もわかってなかった。)


思い返すと今までの連敗は、自身の意識外で不意打ちを食らって形成不利に陥っていた。


それは死角からの攻撃というだけでなく、防御が間に合わないタイミングで攻撃を受けていたからだ。


(動画を見て気づいた。ひきつける役の2体は一瞬、連撃を止めてスキを作ることで、こっちの反撃を誘ってたんだ。)


2体の連撃中、防御態勢をとる中でなら、3体目の不意打ちに致命的なダメージを受けはしなかっただろう。


しかし、連撃が止み、反撃に転ずる一瞬のスキをあえて置くことで、3体目は攻撃を完全な不意打ちで行うことができる。

しかしそれは・・・


(逆に言えば!前方2体の動きを見る事で、死角にいる3体目の攻撃タイミングを読むことができる!)


2体の仲間をやられたことで不利を悟ったのか、3体目のゴブリンが撤退を始める。


しかし、先の2体に比べ距離があるとはいえ、肩にささったナイフにより動きが鈍い。


「これでえええ!トドメええ!!」


走るスピードをそのままに首へ切りつける。


ナイフのダメージもあり、防御をすることもできず、最後のゴブリンは息絶えた。


「・・・ゴブリン、攻略完了だな。」


ロジックさえ分かれば、同じモンスターは倒せる。


5体6体と増えればパターンこそ変わるだろうが、基本的な攻略方は変わらないだろう。


「・・・ダンジョン動画か、・・・結構いいかも。」


こうして、俺はダンチューブの楽しみ方を覚えていった。


・・・・友人が想定していた楽しみ方とはだいぶかけ離れているが。

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