第11話「豊富な情報」

 少し小走りをしながら周りをキョロキョロと見る。やってみるとは言ったものの、ギルドに加入するためにもう二人集めるのは結構大変なものだ。元々エマみたいにみんなと活発に喋る子じゃなかったから、結構大変だ。何人かに声をかけてみたが、案の定断られてしまったため、どうしようかなと少し悩んでいる。

 そもそもギルドに入って旅をする場合、どんな人が欲しいだろうか。やっぱり、強い人は欠かせない。そして豊富な情報を持ってるともっといい。色々知っていると得なことが多いからな。


…」


 一人いるじゃないか。でもどこに…。そもそもギルドに入ってくれるかもわからないし…


 そこでハッと思いつき、僕は来た道を走って戻る。もしかしたらあそこならいるかもしれない。



「はぁ…はぁ…」


 10分ほど走って、やっと目的地に着いた。

 呼吸は早く、汗が頬を伝う。ドアを開けた後、手を膝につけて少しかがみながら下を向く。


「あら、どうしましたの?」


 声が聞こえて前を向くと、椅子に座って本を読むルミールがいた。やっぱりここだった。


「急いでいらっしゃいますけど、何かお探しですの?」


「あ、いや、ルミールさんを探してて…」


「あら、わたくしを?どうかなさいましたの?」


 ルミールは少し驚いた表情を見せる。


「ちょっとご相談が…」


「そう言うことでしたら聞きますわよ。こちらの椅子に腰をお掛けになって。」


 ルミールさんの言う通りに僕は反対側の椅子に座る。


「それで、相談とはなんですの?」


「あ、えっと、あの、その…」


 僕は少し言うのを躊躇ためらう。


「ゆっくりでいいですわよ。」


 ほんとにルミールさんは優しいな。そう思いながら、僕は勇気を出して言う。


「ギルドに入りたいんですけどもう二人必要で…もしよかったら…」


「いいですわよ。」


「え?」


 思ったよりあっさり決まってしまって驚きを隠せない。貴族は旅をする人がほとんどいなく、親も拒否する場合が多い。


「親とかは大丈夫なんですか..?なんか貴族って...」


「あぁ、それなら大丈夫ですわ。」


 僕の考えすぎか?なんて思いながらも


「ありがとうございます!」


 と言ってから、ギルドに入りたい理由も説明しておく。学校が魔族によってなくなってしまったこと、今まであった大体の事を話した。


「災難でしたわね。ではわたくしも色々あてを探してみますわ。」


「え、ありがとうございます!!」


 何とか一人。しかもいい人で良かった。あと一人、いい人が見つかるといいな。

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雑魚能力使いが魔王討伐目指してみた! のえたそ @noel-afreet

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