第4話「呪いと噂」
「治癒魔法を使いますね。すぐに痛くなくなるので安心してください。」
「…別に痛くない。」
病院に行き、病院の治癒スキルを持った女性の医者が手当てをしてくれた。フィックの傷口にそっと手を当てる。すると血が止まり、傷が閉じ、どんどん回復していく。フィックも顔色も良くなった気がした。しかし、傷跡は残ったままだった。しかもなんだか黒い…?
「…これは呪いですね。傷は閉じましたが、おそらく何かしらの呪いにかかっています。」
「え?!…どうすれば…?」
予想もしない急展開な出来事で、僕は思わず大きな声を出す。
「そもそも呪いとは、治癒魔法などで癒える『傷』ではなく、そいつを呪いたいと言う欲望が詰まった『恨みの塊』なのです。つまり、呪いをかけた張本人を殺さないと呪いは解けないってことですね。」
女性はニコニコと笑顔で話すものだから、ちょっと不気味だと思ったのは内緒で、すごく納得できる話だった。
「今のところ呪いの影響はありませんが、十分に気をつけて今後生活してくださいね。では、次の患者様がいるので。失礼致します。」
女性は笑顔でそう言ってその場をさった。
「フィックさん大丈夫…?」
「別に大丈夫。あとフィックでいいし。」
フィックは胸に手を当てながらこっちを見ずにそう言う。
「あ、わかった!フィックね!」
「…お前名前は?」
「僕はアル!よろしくね。そういえば魔族に怯まずに立ち向かってたのめっちゃかっこよかったよ!!」
「…別に仲良くするとは言ってなし、別にムカついたから言っただけだし。」
フィックは立ち上がり、早歩きで病院を出る。慌てて僕も追いかけようとしたが、立ち上がった時にはもういなく、見失ってしまった。なんだったんだと思いながら、僕も病院を出た。
そういえば、魔族なんて初めて見るくらいだったし、今までは人々の前に現れたり、襲うようなことはなかったのに、なぜ現れるようになったのかが疑問だ。そしてあの魔族が言っていた「魔王」も少し気になる。確か本では数十年前に倒されたはずじゃ…?
考えても謎が深まるばかりでモヤモヤする。
ふと前を向くとと武器屋があったので、気分転換に寄ってみた。
「あれ、アルじゃん!!」
「あ、エマだ。」
あまり入らない武器屋だったが、偶然にもエマに会った。
「エマ武器買うの?」
「そー!ここの武器とか装備屋は可愛いもの多くてさ!アルも買うの?」
エマは可愛いデザインの武器たちをみて凄くテンションが上がっていた。
「僕は気分転換に来ただけ。まぁいいのあったら今度買おうかな。」
僕もエマと一緒に見ていると、武器屋のおじさんに話しかけられた。
「お嬢ちゃんたち、旅人かい?」
「あ、いや、私とアルは学生です!」
「おぉーそうなのか。てっきり魔王討伐を目指してる旅人かと。旅人だったら魔王に関するいい情報が入っきてきたのに。」
魔王に関する情報と聞いて、僕はすぐさま「いや、聞かせてください。」と真剣な眼差しで言う。
おじさんは少し動揺しながら、「わかった」と言って話を進める。
「最近入ってきた情報なんだが…」
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