第2話「文字化け」
「ごみ...ひろい...?」
僕は表示された文字を何度も読み返す。
固有スキル:ゴミ拾い
能力説明:縺薙?蜉帙?縲√◆縺?繧エ繝滓鏡縺?☆繧九□縺代□縺ィ諤昴≧縺九b縺励l縺ェ縺??縺?縺後?√%縺ョ蜉帙↓縺ッ螟ァ縺阪↑蜉帙′螳ソ縺」縺ヲ縺?k縲ら悄縺ォ蝟??縺ゅk閠?□縺代′縺、縺九a繧句鴨縲√♀蜑阪?縺、縺九a繧九°?
分かる部分はゴミ拾いだけ。戸惑うが、僕のスキルはゴミ拾いらしい。これってもしかして...
「雑魚スキル...?」
何回読んでも解読できるわけもなく、いつかわかるかもしれないので残しておこうと学校で習った写真魔法「カメラ」を使って写真を撮る。
案内してくれた女性に言われたことを思い出して僕は出口を出る。
紫の帽子...紫の帽子...あ、いた!
「すみませーん。」
「こんにちは。固有スキルの説明ですね。まずは、この指輪を右手の人差し指にはめてください。」
「あ、はい!」
僕は紫の帽子を被った男性に言われた通りに指輪をはめる。
指輪は初め少し大きかったが、すぐに自分とぴったりのサイズになり、指輪には紋章が刻まれる。
「紋章が入りましたね。これはこの指輪が自分のものという証です。覚えておいてくださいね。この指輪を使うことで、固有スキルのレベルなどの状況確認ができますので、定期的に見ることをお勧めします。先ほど賢者の石を触れたときに出た固有スキルの説明も確認できますよ。それでは説明は以上です。この先の未来に幸運を祈っています。」
男性のわかりやすい説明を聞いたあと、僕は宮殿を出た。ふと指輪で固有スキルの説明を見ても、文字化けしたままだ。
歩いていると、木の枝が空を舞って僕の足元に落ちる。
「ゴミ拾いっていうからには、ゴミ拾ったらなんか変わるかな。」
思い付きでその木の枝を拾う。拾ったごみはどういう原理かすぐに消えた。
「え?!」
僕は思わず声を上げる。さっきまであった木の枝が、今目の前で消えたのだから驚きでいっぱいだ。
「これが、僕のスキル...?」
もう一度固有スキル説明を見ると、少し小さめの二つ目の画面が投影され、
十万分の一と表示されている。下にはゲージのようなものがあり、ほぼ何も溜まっていない。
「もしかして...十万個ゴミを拾えと...?」
いやいやいや、どれくらいの年月がかかるんだ? 一日十個のゴミを拾うとしても一万日。つまり、二十七年と四カ月もかかる。しかもこの能力、日常的には便利だが、戦闘には全く向いていない。これでは一般人から、ちょっと便利な一般人に変化しただけだ。しかも...
「あ、いたいた~!」
エマの声ではっとした。そーいえばエマを待っていなかった。
「もー!探したんだからね!」
エマは少し怒り気味にほっぺを膨らませながら指で腰あたりを突っつく。
「ごめんごめん。そーいえば何だった?固有スキル。」
「私はね~『翻訳』だったよ!」
「翻訳?」
「なんか他言語とか異国の文字が分かるみたい。なんかできる女感あってかっこよくない!?」
エマも戦闘向きじゃなくてちょっと安心してしまったが、普通に使える能力だな。
「アルは何だった?」
「うーん...」
僕は言うのをためらった。
「えー言ってよ!」
「...ひろい。」
「え?」
「ゴミ拾い!」
エマの元気な顔は一変し、全てを察したかのように「あぁ~...なんかごめんね...?」という。エマなりの気遣いが余計刺さる。結構楽しみにしてたのに。
「ま、まぁとにかく?学校ないじゃん?今日」
「今日は学校午後からあるけど。」
「あぁ~...でも今日学校で使うわけじゃないしさ...!」
「固有スキルを使った実技だけど。」
「...で、でもゴミを使って攻撃とかできるかも...じゃん?」
「ゴミ消えるだけで使えないんだよね...」
「・・・」
エマの気遣いは全部空振り。エマの焦った顔が徐々に無くなって冷や汗に変わる。
今日は午後に学校があるからという理由で、僕たちは現地解散をしてすぐに家に帰った。
家に帰り僕は靴を脱いですぐに部屋に行く。両親は仕事で忙しく、朝早くに行って夜遅くに帰ってくることが日常的だ。一人っ子なので気が楽っちゃ楽だからいいけど。それよりも、
「なんでこうなっちゃうかなぁ...」
僕はベットにダイブする。ずっとアーサー・エトワールみたいにまではいかないけど、どーせならいいスキルが欲しかったものだ。ないものねだりというのはわかっているが、流石にこのスキルはねぇ....
「夕方から学校だ。切り替えていかなきゃなのに、ずっと考えこんじゃうなぁ。」
僕は気持ちを切り替えようとリビングに行き、置いてあったパンをかじった。.
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