雑魚能力使いが魔王討伐目指してみた!
のえたそ
第1話『思ってたのと違う...』
一つだけ魔法を使えるといわれて、君はどんな魔法を思い浮かべますか?
タイムトラベル、瞬間移動、超人的な肉体、様々な魔法が思い浮かぶと思います。
僕が貰った魔法は......
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大自然に囲まれた惑星「ディオーナ」は、魔法が使える世界。
そんなディオーナの大都市「エトワール」に十年前、僕は生まれた。
世界を支える大都市の一つということもあり、商売はとても
幼いころ絵本が大好きだった僕は、毎週お母さんと大都市エトワールの中心にある宮殿の図書館に行って絵本を借り、絵本を通して様々なことを学んだ。毎回借りるのは魔法についての本。この世界では、沢山の魔法を自由に操ることができないらしい。
人それぞれ違った「固有スキル(固有魔法)」があるのだ。
固有スキルは、自分で決めることができない。しかし、固有スキルの種類によって違う数回の「進化」と能力の「覚醒」があり、それによってスキルが増えたり、自分に合ったスキルに変化する場合もある。これも本を読んで知ったことだ。
絵本をたくさん読んでいくうちに、憧れの人もできた。
【アーサー・エトワール】
この人はこの大都市を作り上げた人であり、固有スキルにとらわれない、様々な魔法が操れてしまう「神の子」とも言われている人だ。
今はもう亡くなってしまったが、今でも沢山の人に
その人に強い憧れを持ち、早くも僕の人生を大きく動かした人だと思う。
沢山の魔法を操るというのは、この世界で限りなく不可能に近い。
...というのはわかっていても、少し期待してしまう自分もいたりする。
そもそも、固有スキルというのは幼いころから使えるものではない。条件は満十八歳になること。満十八歳になり、宮殿に行って固有スキルを開花させることで固有スキルが使えるようになる。
そして僕、「アル・フューザ」は満十八歳と数日、今日は固有スキルがもらえる日。
宮殿の前にはすでに沢山の人が集まっている。大都市エトワールの住民や、周り町や村から来た人もいるそうだ。
毎年のように見てきたものの、いざ自分の番となると、期待はあるが正直あまり実感がわかないものだ。
「あ、アル!おはよ~!」
大きく手を振りながらこちらに駆け寄ってくるこの人は「エマ・アシュリー」。僕の幼馴染だ。元気で明るい金髪少女だが、ちょっと抜けてるところもある人気者だ。
「ついに私の固有スキルが決まるんだぁ...!緊張する〜!」
「そうだね~、僕も緊張してる。」
自分の頬に両手を当てたり、足を動かしてみたり、エマは緊張もあっていつもよりも落ち着きがなかったが、目はとてもキラキラしている。よっぽど楽しみなのだろう。
エマを横目で見ながら、僕は少し笑顔を見せる。
「エノワール在住の皆様、エノワール付近の
エノワールに広がる透き通るような声のアナウンス。毎年、始まるときにはこの女性がアナウンスしている。ついに「開花の儀式」が行われるみたいだ。
「あ、始まるよ!早くいこ!」
エマは僕の腕を掴んでそう言う。
「別に急がなくても...」
「だって、楽しみで仕方ないんだもん!」
エマはさっきよりも目がキラキラしている。しかし、触れた手は少し冷たかった。
宮殿の中に入ると白を基調とした壁と色とりどりのガラスでできた内装が神々しく見え、真正面に自分の体の数十倍あるアーサー・エトワールの大きな像がある。
何度も見たこの像に懐かしさを感じながら、僕たちはアナウンス通りに進む。
「わぁ~綺麗...!」
「そういえば、エマって初めて入るんだっけ?」
「うん!だからすっごく楽しみだったんだ!アルは何度も来たことあるもんね!」
「でも図書館だけだよ。だからちょっと新鮮。」
図書館は入って左の廊下を進んだところにあるが、今回は入って右側。いつもとは違った景色が広がっている。図書館のように様々な色が不規則に並んでいる本棚とは違い、色とりどりでありながらも、統一感や規則性のある、少し緊張する空間が広がっている。
「こんにちは。固有スキルの開花ですね。こちらにお越しください。」
優しそうな女性に声をかけられ、僕は一旦エマと離れてその女性について行く。
「では、こちらへ。」
僕は女性に案内され、大きな石の前に立つ。
「これは、『賢者の石』と言います。ここに手をかざすことで、固有スキルを開花することができます。手をかざした後、目の前に画面のように表示されるので、今確認することもできますし、今後いつでも確認できるようになりますので、ご安心ください。」
「はい...!」
「それでは、私は次のお方の案内がありますので行かせていただきます。終わりましたら、出口を進んで突き当りに紫の帽子を被った人がいますので、その人に話しかけていただくと、説明などがございますので。では、幸運をお祈りいたします。」
女性は笑顔でそう言って出口の扉を開けた。
「ここに手を当てると...固有スキルがわかるのか...」
僕は右手を手のひらを下にして出し、あと数センチメートルで触れられるというところで手が止まる。自分の固有スキルを得られるという嬉しさはあるものの、いざ自分の番となると少し不安を
数秒深呼吸をし、覚悟を決めて少しずつ手を前に出す。そして、恐る恐る賢者の石へと手を差し出し、ゆっくりと触れる。
賢者の石に触れると、青緑色に石が光る。その数秒後、光が解き放たれて空中に青緑色の画面が表示される。最初は何も書いていなかったが、徐々に白い文字で「固有スキル」と一文字ずつ薄っすらと映し出される。
僕の固有スキルは....
「ごみ...ひろい..?」
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