騒音
momo
第1話
最近、騒音に悩まされている。
ドンドンと何かを叩く音、バタバタ走る足音まで、家中に響き渡る。
「ねぇ、うるさすぎない?」
「あぁ…どうにも耐えられん」
最近私たち夫婦の会話はこの話題が多い。互いにストレスが溜まっているのは明らかで、つまらない喧嘩まで始まってしまう。
「静かにしてもらうように言いましょうよ。あなた注意してちょうだい」
「そうだな…」と言いながら、私は騒音の主を思い浮かべる。やたら背の高い神経質そうな男。会っても挨拶することなく、ふいと逃げられあげくに騒音。
「明日にでも、話してみるか。話にならなかったら引っ越そう」
なるべく穏便にすむことを思い浮かべながら、その日は眠りについた。
次の日私はさっそく話をしようと出かけた。
男は私の訪問に驚いた顔を見せ、動きが止まった。
「あのー…」と言いかけたが突然、男は大きな声をあげ逃げ出す。
それから数日、バタバタドタドタといつにも増して騒音が激しくなった。
「ねぇどういうこと?話ができないの?」
「そうなんだよ。話そうと思っても逃げられる。もう引っ越さないか?話にならないだろ」
「そうねー…でも一回文句言ってやんないと気が済まないわ。私、明日言いに行く」
妻は一度言い出すと聞かない。だが一人は危険だ。私もついていくことにした。
話していると男が帰って来た。
「よし、行きましょ」
妻が気合い十分といった顔で歩いていく。男が目の前に現れ話しかけようとしたその瞬間妻が突然倒れた。
「おぃ!大丈夫か!」声をかけ体を揺するが反応がない。
まさか、騒音を注意しようとしただけで?やはり男は頭がおかしかったのか。
とにかく妻を助けなければ。息があるか確認しようとした瞬間。
私の頭も殴られたような感覚ー。意識がなくなりそうになりながら、男の声が聞こえた。
「あー良かったぁ。ゴキブリが出てこの何日か仕留められなかったんだよな。これでぐっすり眠れる」
騒音 momo @wxyz-momo
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