第40話
「あの、、、国分先生?
全然良いんですけど、この大量の豆乳はどうされたんですか?前来たとき無かったですよね?」
診療室へとやってきた俺は診療室の至る所に置かれた豆乳が気になりすぎて、話し合いを再開する前に訊ねてみた。
「おほほほほ。
特に深い意味はあーりませんのよ。私豆乳がだーい好きなものでございますから。こちら全ておフランス製の豆乳でございますのよ」
今にもスネちゃ◯!と叫びださんばかりのキャラ崩壊した国分先生を見た俺はこれ以上つっこむのは危険と判断し、やめておくことにした。
というか、豆乳にフランス製とか関係あるのだろうか。
「それで、先生のおっしゃっていた方法についてなんですが」
そう言われた国分先生は急に厳しい顔をカサンドラさんに向けた。
「その前に、カサンドラさんでしたね。
あなたその身を捧げる覚悟はあるかしら?」
先生の問いに死を連想したのだろう。俯いたカサンドラさんは即座に返答することができなかった。
「先生!急になにをっ!?」
だが、国分先生は真剣な顔つきのまま手で俺を制した。
次の瞬間、顔をあげたカサンドラさんは強い瞳でハッキリと告げた。
「私一人の命、故郷救えるなら喜んで捧げまする」
「その覚悟があれば大丈夫そうね」
カサンドラさんの覚悟を聞いた国分先生は厳しかった表情から一転して笑顔となる。
「あの〜まったく話が見えないんですが。
カサンドラさんが身を捧げることがどうして彼女の国を救うことになるのですか?」
「きちんとご説明いたします。
まずはカサンドラさん、あなた片岡様の家で働きなさい」
また突拍子もないことを言い出した国分先生
その身にふりかかる悲惨な運命を覚悟していたカサンドラさんは呆気に取られる。もちろん俺もだ。
「それで毎晩行われるあみだ大会に参加し夜の権利を勝ち取るのです」
「
ですが、男聖二週間一度しか射精できない聞きました。
片岡様、今の話本当でございまするか?」
「あ、、、はい。………ほんとです」
ほぼ毎晩ヤッてるなんて猿かと思われるんじゃないかという恥ずかしさから最後は尻すぼみになってしまう。
「そんな………」
ほらぁ!やっぱり俯いちゃったじゃん。
カサンドラさんとは良い関係築けそうだったのに……
俺は恨みがましく国分先生を見つめた。
「
ガバッと顔を上げると同時にぴょんぴょん飛び跳ねたカサンドラさんは思わず母国語が出てしまうほど興奮しており、全く何を言っているのかわからなかったがその様子からとりあえず幻滅されたわけではなさそうだ。
「落ち着きなさい、話はここからよ。
ギリギリ合法にするため、あなたは片岡様の精子を体内で受け止めなくてはならない。
けれど、そうするとまず間違いなく不純物が混じってしまうのよ」
「あの、外に射精してそれをってのはダメなんですか?」
精子やら射精やらという単語が普通にバンバン飛び交う話に気恥ずかしさを感じながらも訊ねた。
「ダメです。それでは譲渡とみなされます。
ですが、体内へ射精された場合は別です。
体内に入った精子は女性のものと見なされ、その所有権は女性に移るのです。これは、その女性の権利を守るためです」
ハァ…よくわからないけどすごくすごくめんどくさいシステムだってことだけはわかる。
カサンドラさんは国分先生の話を一字一句聞き逃すまいと真剣に聞いていた。
「でも、体内に入ったら不純物が混じるんですよね?
あっ!なるほど!コンドームですね?」
「いえ、残念ながら。
昔は避妊や性病予防のためにコンドームというものがよく使われたそうですが、現代ではそもそも避妊という考えが存在しません。
また、性病に関しても男聖、それに直接種付けされる女性に関しては病院でしっかり検査されるためこちらも問題とはならないのです。
ですから、現在コンドームは販売どころか製造すらしておりません」
じゃあダメじゃん。どうせいちゅうねん。
国分先生はおもむろにデスクの引き出しを開けると、中から取り出した物を高々と掲げた。
「じゃじゃーん!そこでコレです!」
国分先生ってじゃじゃーんとかボディコンとかちょくちょく古いよなぁ。
「こちらは搾精するために開発された女性の口に装着する、その名も『精子うけ〜る君ver.4.5』です」
いやいやいやいや!ネーミングセンス!!
しかもver.4.5ってまぁまぁ改良されてるし!
「これを装着した状態でフェラチ◯中に射精していただくと、こちらに精子が溜まりそのまま保存できます。あとは冷凍すればOKという優れもの!!」
「あれ?でも、桜さんに手伝ってもらったときはこんなの使いませんでしたよね?」
そう、例の約束通り病院で桜さんに搾精してもらったときは普通に手にローションをつけてだった。
そういえば、あのときの桜さん目ガン開きでふんふんと鼻息荒くちょっと……いや、だいぶ怖かったな。
「ええ、こちらの器具は現在ではほとんど使用されておりません。
と言いますのも、これは主に女性が満足感を得るためのものだからです。
搾精とはただの義務であり、さっさと射精して終わりたいのにわざわざ女性を満足させようなどと考える男聖はいません。
よって、とても優秀な器具でありながらほとんど使われることがなく倉庫で大量に眠っている状態です」
「なるほど。その、、精子受け〜る君でしたっけ?を使って精子を保存してアフリカに送るってことですね?」
「送るというか彼女自身に専用飛行機で持ち帰ってもらうことになります。
ただここで重要なのは、あくまで片岡様が耐えきれずに口内に射精してしまったということです。
精子はとても貴重なため、基本的に病院での搾精時を除く膣内射精以外は刑罰の対象となります。
しかし、不測の事態、たとえば彼女の口技があまりに上手すぎて暴発してしまった場合はその適用外となります。
そして、口内も体内であるということから射精された精子は彼女のものとみなすことができるというわけです」
うん………どうでもいいけど、この話してるときの国分先生イキイキしすぎじゃないだろうか。ちょっと涎垂れてるし。
すると、ここで今まで黙って説明を聞いていたカサンドラさんがおずおずと手を挙げた。
「あの、私したことない…です。自信ありません」
そんな彼女の言葉を受けても国分先生には一向に動じた様子がない。腕を組んだ国分先生はふふんと得意そうな表情を見せた。
「そんなあなたのためにこちらの病院には『フェラチ◯ますた〜君ver.5.5』があります。
こちらで猛特訓すれば、あら不思議!
一か月後には『ひょっとこすっぽんカサンドラ』の出来上がり!」
えぇー!!?
なんか現代のネーミングセンスって直線的すぎないか?それとも、国分先生だけが特殊なんだろうか。
ただ当のカサンドラさんは目を輝かせ、拳を高く突き上げて「頑張りまする!!」と叫んでおり、やる気満々の様子。
ちなみに、その精子受け〜る君の膣用はないのかと訊ねた俺に国分先生は諦めの表情をして言った。
「挿入してしまいますと、女性の方が我慢できずに途中で外してしまうのです。
片岡様ならお分かりになるのでは?」
「アッ……ハイソウデスネ」
挿入時のみんなの様子を思い出した俺は肯定することしかできなかった。
前戯の段階では割と自由にさせてもらっているのだが、いざ挿入した途端にみんなの目の色が変わりコトが済むまでほとんど何もさせてもらえないのだ。
カサンドラさんがひょっとこのようになるのはあんまり見たくないなぁと思いながら診療室での会話を終えて帰宅の途についたのだった。
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