第11話 衝撃・詮索

森がざわめき始める。

大きな魔力が男の身体に流れ、森がそれに怯えるように騒々しくなっていく。


「あなたじゃ私を倒せないわ」


「減らず口を、」


男は拳に魔力を込め、大友との距離を縮める。


「ファイヤーウォール」


大友は接近してきた男との間に火の壁を作る。

肉の焼けた匂いが香り、男の拳は大友には届かない。


「ファイヤーボール」


大友は男が後退した隙を逃さず、腹に向けて火の玉を放つ。


「少しはやるようね」


「ちっ、」


しかし男は結界を張ることで逃げる時間を稼ぐことは出来たが、火の玉の威力に負けて結界が崩れる。


(もういい、、加波だけでも犯してやる)


男は手印を結ぶ。


「もう終わりよ、」


大友はそう言って男に向けて手の平を向け、距離を少しずつ潰していく。


「え、」


しかし、大友はその場から進むことが出来ない。


「まさかあなた、、私の周りに結界を、!

 加波さん逃げて!!」


しかしその呼びかけも虚しく、男は加波の首根っこを掴み、地面に引きずる。


「舐めた真似しやがって、、目の前で仲間が犯されるのはどんな気持ちだ?」


男は加波の胸を鷲掴みし、ブラジャーの中に手を入れる。

加波は恐怖で動けず、男は揉みしだき、大友は必死に結界を叩く。

結界内で魔法を使えば、自身の身体にダメージを追ってしまう。

しかし剣を持参していない今、頼りない拳でしか結界を破壊するしかない。

更に大友は焦ってか、魔力を上手く流すことが出来ない。


「見てろ、」


男は加波の首根っこを掴み、結界で手と足を地面に固定する。


「お前ぐらいなら、この結界でも拘束できる、」


加波は身動きが取れず、大の字になる。

その目には我慢していた涙がこぼれ始め、男はゆっくりと制服を脱がしていく。

下着姿になった加波は目を閉じ、何も考えないでいた。

男はベルトを外し、ズボンを下ろす。


「生でもいいよな、」


男は吐息を荒くし、加波の下着に手をかける。


「生が良いに決まってる」


男は正常な判断が出来ないでいた。

加波に一目惚れしたあの日から…ずっと追いかけ、加波の秘密を知った。

ずっと好きだった。

ずっと抱きたかった。

いろんなところを触り、知り、見て、感じたい。

共有したい。

エッチしたい。

判断力はもうない。

思うがままに手を下着に入れ、局部を触る。


「じゃあ、脱がすよ」


男は加波の陰毛と共に局部を念入りに触り、下着を脱がす…


「ガハッ!!」


男は吹き飛んでいく。

まるで目の前で爆発が起きたように、男は衝撃を受け、後方へ吹き飛んでいった。


「どういうこと、、」


大友は目の前の出来事に頭が困惑するが、自身の周りにあった結界が解除されていることに気づき、加波に寄り添う。


「ちょっと、、どういうことよ!」


大友は慌てて男に駆け寄る。

加波よりも優先したのは、男が全身血まみれで見るも無残な状態になっていたからである。


「大友、今は加波を頼む」


「え、あなた、、」


「加波を一人にするな。

 俺が治す」


大友は突如現れた神宮寺に驚くが、言われた通り加波のそばに歩み寄る。


「あなたがやったの?」


大友は加波に制服を着せ、頭を撫でながら抱いて神宮寺にそう問いかける。


「あぁ、遅くなって悪かった」


「一体どうやってそんな血まみれに、、って!治ってるじゃない!?」


「だから言っただろ、治すって、」


「いや、でも、、」


先程まで血まみれでボコボコに膨れ上がった身体は完全に完治しており、

男はスヤスヤと眠っている。


「この男のことは任せろ、」


「でも、加波さんの秘密が、、」


「それも大丈夫だ、」


神宮寺は男の状態を確認し、加波と大友に近づく。


「加波、話すことは出来るか?」


「…はい、、」


「俺はこの男の記憶を消すことが出来る。

 どうする?」


「どういう、!」


「大友、これ以上俺の詮索はやめてくれ。

 俺は今、加波のために話をしている」


大友の出かかった言葉は、神宮寺の眼差しによって掻き消される。


「どうする?」


「お願いします、、」


「わかった、お前の記憶はどうする

 今回のことは傷に残ると思うが、

 消すことは出来るぞ」


加波は涙を拭き、俯いて考え込む。


「大丈夫です、」


「わかった。

 あと今回の件、俺のことについては他言無用で頼む」


神宮寺は二人にそう言うと、男を抱えてどこかへ向かった。

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