第8話 女子と買い物
クラス対抗戦まであと一週間。
各自が与えられた作戦遂行のため、放課後すぐに動き出す。
クラスが団結力を挙げていき、良い雰囲気になっている。
しかし、何人かの問題児を除いてだが、
「大原くん、残り一週間は君にも手伝って欲しい、」
「ほう、手伝って欲しいとな、では一体どういった報酬があるのか教えてもらおう」
「いや、報酬とかは、、」
「では、却下させてもらう」
谷口は大原 大輔に声をかけるもあっさり退けられてしまう。
クラス対抗戦について聞かされてからと言うもの、大原はグループとの
コミュニケーションを一切取っていない。
クラスからは痛い目を向けられているが、強靭なフィジカルにカリスマ性のある雰囲気に誰もが圧倒されていた。
「ダメみたいね」
落胆する谷口に大友は声をかける。
「まぁ、僕らの邪魔をしてるわけでもないし、出来るだけ説得してみるよ」
クラスをまとめ上げるのも大変そうだ。
俺にはできないな、
「神宮司くん、加波さんはどうかしら?」
「あぁ、加波は順調に成長している。
そっちはどうなんだ?」
「こちらも順調よ。
私達も加波さんと仲良く出来ればいいんだけれど、」
加波は俺ともう一人のクラスメイトには話をすることが出来るが、他の生徒にはさっぱりだ。
何かトラウマがあるのか、魔物使いを理解してくれないと高を括っているのか。
審議は不確かだ。
「すみません、少しよろしいですか?」
おしとやかで、品のある声が俺の耳を通り抜ける。
「なんだ?」
振り返ると、目を真んまるにした女子生徒、齋藤美波がこちらを見上げていた。
「加波さんはどこに行かれましたか?」
「加波は…手洗いでも行ったんじゃないか?」
真っ白な肌に艶のある透き通った銀色の髪。
あまりの眩しさに目を細めそうになってしまう。
「どうかしましたか?」
「いや、眩しさにやられてだな、」
「眩しさ?」
ポカンとする首を傾げる齋藤。
自分が放っているという自覚は無いらしい。
「齋藤さん、あまり神宮司くんに近づかない方が良いわ。
汚れてしまうわ」
「まっ!そうなんですか?」
「あのな…
勘違いされるようなことを言うな」
「事実だけれど?
実際あなたの近くにいると事件に巻き込まれてる気がするから」
俺がいつ巻き込んだって言うんだ。
斎藤は笑っているから真に受けていないのだろう。
ここはあまり話を広げすぎないようにするのが得策だ。
「美波さん、どうしてここに?」
目を真ん丸にしながら話を聞いていた齋藤は加波に肩をポンポンと叩かれる。
「静さんを探してました!
もし用事がなければ、今日お買い物でも行きませんか?」
その言葉を聞くと、加波は俺に視線を向ける。
今日は調整最後の日、
明日からは各自での調整の予定だ。
「いいぞ、明日に持ち越しで構わないなら」
俺の調整はそこまで時間はかからない。
一日、いや三時間ほどあればクラス対抗戦に向けての調整は事足りる。
「迷惑かけてすみません!ありがとうございます!!」
加波は頭を下げ、齋藤も俺に頭を下げる。
「別に頭を下げられるほどじゃないが、」
「そうです!もし宜しかったら神宮寺くんもご一緒しませんか?」
「え、ご一緒?」
「えぇそうです!この三人でどうですか?」
「私も、、賛成です、」
斎藤の提案に加波も頷いて賛同する。
「まぁ特段やることもないからな、大丈夫だ。
齋藤のグループは大丈夫なのか?」
「お気遣いありがとうございます。
大丈夫ですよ!皆さん各自で調整を始めてます」
「そうか、ならお邪魔させてもらおうかな」
まさか高校に入って女子二人と買い物に行けるとは想像もしていなかった。
あまり気張らずに楽しむとしよう、
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