第7話 世界政府・十二神将「第四席」

「あなた、何をしたの?」


放課後、集合場所のD級ダンジョンに俺達4人は集まっていた。


「何って、お前が連れて来いって言ったんじゃないか?」


「それは、、そうだけど…

 まさか変なことしたんじゃないでしょうね?」


「するわけないだろ」


こいつの俺に対する評価はどうなっているんだ。


「まぁいいわ」


加波はまだここに来たものの、ずっと俯いたままである。

加波は二人に対してはまだ心開けていないようだ。

一昨日の件から、俺と魔物の話で盛り上がり、今回はダンジョンに行くことを

了承してくれた。

悪く話思われていないんじゃないだろうか。

ただ、加波は大友たちに自分の能力については話せていない。


「まさか来てくれるとは思わなかったわ。

 頑張りましょうね」


そう大友は話しかけ、加波は小刻みに頷く。


「そうね、あなたが加波さんに教えてあげて」


「なんで俺が、」


俺としては同性の佐藤教えたいんだが、


「現状、加波さんとのコミュニケーションを取れるのはあなただけだからよ」


言われるがままに俺は加波を、大友は佐藤に魔力のコントロールや戦いのコツを伝授していく。


「これはこれは、1-3のイキリ女じゃねえか」


ふっと嘲笑った声が聞こえる。


「どちら様?」


「おいおい、これだから情弱は困るぜ」


「あなた聞こえてる?わたしはどちら様と聞いているの?」


「1-2クラスの風見だ」


真っ赤な髪に鋭い目つき。

180cmほどある筋肉のついたフィジカルは佐藤と加波に恐怖を抱かせる。


「あなたが噂の風見君ね」


「なんだ、俺を知ってんのか」


「えぇ、1-2のお山の大将だと聞いてるわ」


「殺すぞ」


「グッ、、何を…」


その瞬間、周囲は炎に囲まれたように熱くなる。

風見はポケットに入れていた手をゆっくりと出して佐藤の首を掴む。


「やめなさい」


佐藤の首は圧迫し、赤色に腫れ上がっていく。

その腕を大友は掴むが、ビクともしない腕と熱さに顔を歪ませる。


「なんだ、随分良い顔見せてくれるじゃねえか」


「なぜ佐藤君を、、」


佐藤の首と大友の手の平から煙が出る。


「いい加減に、」


大友は細剣の鞘に手をかけ、剣を抜く。


「そんな焦んなよ」


風見は佐藤の首から手を放し、笑みを浮かべる。

佐藤は膝をついて咳き込み、俺は佐藤の首に治癒を施す。


「恥な男だな、女に助けてもらうなんて」


「なぜ佐藤君を狙ったの?」


「あ?別に意味なんてねえよ」


そう言うと、風見は三人の取り巻きと共に去っていった。


「佐藤君、大丈夫?」


「あ、あぁ…」


俺の治癒で赤黒い外傷が消える。

首に触れて状態を確認し、佐藤は立ち上がる。


「ごめんなさい、私が彼を煽ったのが原因だわ、」


「いや、良いよ」


「しかし厄介な相手になりそうね、愉快犯…それとも戦略かしら」


クラス内でも風見の噂は耳にする。

どうやら他の生徒も被害を受けているらしい。

目の前で初めて見たが、随分と大胆な行動だ。


「とにかく今日は安静にしておきましょ、

 それよりもあなた、すごいわね」


「何がだ?」


「いや、治癒よ。

 あの傷をすぐに治せるレベルだとは思ってもいなかったわ、、」


どうやら大友からの評価は上がったみたいだ。

しかし、上がりすぎるのも良くない。

期待ほど、されて良いことは無い。

それも、クラス対抗が近づく現状は特に。


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「失礼します、”十二神将”「第四席」エディン様、報告したいことがあります」


「大賢者の孫の件か?」


「そうです、」


「”大賢者の孫”が魔法教育高等学校に入学しているという噂は本当だったのか?」


「まだわかりませんが、その可能性は高いです。

 今調査をしておりますが、あまりにも学園が厳重である故、

 調査は困難を極めております」


「そうか、」


世界政府第一諜報室にて、妙な話が立ち込める。

ここは世界で最も高貴な場所、通称「アルカディア」

天空に位置するこの場所は大きな結界により守られており、

侵入することは困難である。

世界貴族が住む「マグ・メル」の側近に位置する

この地は、世界政府の拠点であり、世界のありとあらゆる情報が流通している。

ここで行われる会議において、世界の命運は大きく変わる。


「あと数日で新入生のクラス対抗が行われます。

 その時がチャンスかと、」


「わかった、十分注意するように。

 相手は”六眼”の可能性が高い…

 六眼など、何百年ぶりだ、、」


白い髭を生やした老人は上を見上げ、眉を顰める。


「それとなんですが、、」

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