3体験目_だれ?
先日の話は楽しんでいただけただろうか?
私自身も改めて読み返してみたらゾクゾクと寒気がした。
当時のことを思い出してしまって夜トイレに行けなかった…。
さて、今宵も私の身に起こった嘘のような本当の話をしようと思う。
よかったらこのまま読んでいってくれればと思う…。
私は中学時代、吹奏楽部に所属していた。
私の所属していた吹奏楽部は厳しいことで有名であり、土日も学校に集まり練習をしていた。
あなたの中学時代の思い出は?と誰かに聞かれたら、「吹奏楽の練習」と答えるだろう。
そのくらい中学時代を部活に捧げてきたのである。
私たちの中学校には、新校舎と旧校舎があり、吹奏楽部は旧校舎で毎日練習を行なっていた。
今思うと楽器の音がうるさくて、旧校舎に追いやられていたのかもしれない。
旧校舎自体はそこまで古いものではなく、普通の公立高校の校舎というような外観だった。
ただトイレのドアだけは重い鉄の扉で出来ていた。
また、古くなっているからか扉を開けるとギギギ…となんとも不気味な音を発していた。
私はよくトイレに行きたくなる体質だったので、この不気味なトイレを使うことが少し憂鬱であった。
先ほども言ったが、私の部活の練習はものすごく厳しかった。
そんな中でも唯一の癒しの時間がお昼休憩であった。
このお昼休憩の間は、顧問の鬼教師も職員室に帰るので、旧校舎には吹奏楽部の部員のみとなる。癒しの時間である。
私たちはこのお昼休憩の中で、おしゃべりをしたりしていた。
しかしまだ中学生という事もあり、ある遊びも流行っていたのだ。
それは、「誰かがトイレに行った後に電気を消す」という遊びだった。
私も過去に友達に電気を消され半泣きにされていた。その分、友達にも行なっていたので恨みっこなしなのだが…。
ある夏の日、いつも通り部活の友達とお昼休憩に話していた時、一人の友達がトイレに行った。
友達がトイレに行ったのを確認すると、別の友達とトイレに行き例の遊びを実行したのである。
電気を消した瞬間、「うわーーー。誰!」と個室の中から大きな声が聞こえてきて、私と友達はケラケラと笑いながら部室へと走って帰っていった。
数分後に友達が小走りで帰ってきて「トイレは昼でも薄暗くて怖いんだから、電気消したまま逃げないで!」と私たちに告げた。
「ごめんって」と私はいいながら談笑を続けた。
その後、みんなで話していたら休憩時間が残り十分くらいになっていたため、私はトイレに行くといい席をたった。
そして鉄の重い扉を開けて個室へと入ったのだ。
少しするとギギギ…っと扉が開く音が聞こえてきた。
私はトイレの中で[さっきの仕返しで誰かが電気を消しにきたのか]と思い、少し微笑んでいた。
するとギギギ…ギギギ…と音がしてバタン!と大きな音を立ててトイレの扉が閉まったのである。
私はバタン!という音に少しビクッとし声を上げた。
「びっくりしたなー。電気は消さないでよ」
しかし外からの返事はない。
少しおかしいなと思った瞬間、電気がばちんと消えたのである。
「消さないでって言ったじゃん!」と私は笑いながら友達に向かって話しかけたのである。
しかし返事はなく、ずっと電気を付けたり消したりしてくるのであった。
「長いよー!」私は叫びながら個室から出て友達に文句を言おうとした。
しかし、その場には誰もいなかったのである。
[あれ?もう部室に戻ったのかな?]
そんなことを思いながら私もトイレを出て行ったのである。
部室に帰ったあと、友達がまだ話していたので私は、「何回も電気消したりしたでしょ!ちょっと長かったけど!」と笑いながら話しかけたのである。
すると友達は少し困惑した顔をして私に向かって「いや…私たちずっと話してたよ?」と言ってきた。
私はそんなことないでしょ!とトイレであったことを友達に話した。
しかし友達の一人が次に言った一言で冷や汗が止まらなくなったのである。
「誰かトイレから出るとしたらさ、あのトイレの扉すごい音なるよね?電気が変になってから扉の音が聞こえないってことはさ…。」
その件があってから部活でトイレに行く時は新校舎まで行くようになった。
今回の話はどうだっただろうか?
私が体験したのは怪奇現象だったのか?なんだったのかは未だにわからない。
みなさんも学校のトイレに行く際は気をつけた方がいいかもしれない。
では次回にお会いしましょう。
嘘のような本当の怖い話 斑鳩 琥 @Kou_Ikaruga
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