第2話

「俺、農業適性だったんだ」

そう言った瞬間、俺たちの周りの空気が無くなるような感じがした。


「農業適性『フィールダー』、『ファーマー』の亜適性らしい。こうしてエイマに追いつかれたように俺の適性は冒険者適性ではないだろうな。」


「今までの努力も全部無駄になったし、もうどうでもいいや。エイマ、キーシャ、ラドン。お前らなら良い剣士とパーティを組んだら上位冒険者になれるだろ。頑張ってな。この国のどっかで畑しながら応援してるぜ。」


ちょっとぶっきらぼうになってしまったな。そう思ったが、

「冒険者になっても会いに行くから!ちゃんと連絡してよね!?」

エイマの励ますような明るい声が響く。

「そんな暗い顔あんたには似合わないわ!辛いかもしれないけど、私たちとの関係を切ろうとか思わないでよ!?」

キーシャのちょっとツンツンしてるけど優しい声も続く。

「まぁ、これからもなかよくしてくれや!お互い頑張っていこうぜ!」

ラドンも続く。


確かにそうだ。変わらない過去を振り返っても仕方ない。未来に悔いは残さないようにしよう。俺は農家としてゆったり暮らしていく運命だったのだろう。

こいつらは冒険者として生き、俺は農家として生きる。そんな運命だと知ってても俺は冒険者になる努力をしただろうか。



少し考えて俺はきっとするだろうなと思った。

「お前らと過ごせた日々は幸せに満ちていて楽しかった!!またあえる日まで!」


「「「うん!!(おう!!!)」」」














こうして俺は農家として生きることを決めたわけだが、まず配当された土地が広大だ!!!びっくりした!

俺が農業適性なのに今まで体力を培ってきたことを買われ、大きな土地を頂けた(迷惑!!)

更にはこの広い土地に家は無いようなものだ。どういうわけかと言うと、あるにはあるんだが古小屋のような感じ。狭いし、綺麗じゃない。だが住む場所がないよりはましか。いつかリフォームが必要だなと思う。どうやら農業適性だと建築方面も多少はできるそうだが…先が不安でならない。


「まぁまずは耕すところからだよなぁ。」

農業適性者向けのセミナーのようなものが、適性決定後にあった。そこで得た知識をまとめたノートを見ながら呟く。

「必要な道具やらは貰えたけど本当に広すぎる土地だよなぁ。いつか良いシステムを導入したいもんだな。」


そんな呟きは空気とともに消えていった。






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