畑農家から始まる無双生活!

はたなかまや

第1話

「神の子から人と成りしこの者の適性を示したまえ!」

この瞬間をずっと待っていた。この世の中にはでは敵わない様なモンスターが存在する。森を歩けば襲われる、危険な所だ。このように教わって子供は育つ。もちろんそれぞれの街はモンスターが入れないように壁があったり結界があったりしてほとほと安全なところで子供がひとりで森に出たりすることは無い。しかし街でもモンスターによる被害が出ているのが現状である。


そんな世に生を受け俺はモンスターを倒し、モンスターの根源やら謎を解明する冒険者になりたいと幼い頃から思い身体を鍛えてきたし、冒険者の素養や基礎能力を積む学校にも行かせてもらっていた。


適性は子供の頃の行動に大きく影響される、これは迷信ではなくそのような傾向が国全体として確認されている。つまり俺は冒険者になることの出来る適性、冒険者パーティを組むことが許可される攻撃適性や魔法適正などのどれかであることをほとんど確信していた。


攻撃適性のひとつ剣の適性、これが俺の努力を活かせる適性だろうなと思いながら神司の言う適性を待っていた…。













「そなたの適性は『フィールダー』、恐らく農業適性『ファーマー』の亜適性だろう。」


亜適性、よくある話だ。防御適性「ガーダー」と「シールダー」であったり、アシスト適性「ヒーラー」、「エンハンサー」など能力や立ち回りに多少の差はあれど広く「𓏸𓏸適性」という様に括られる。


今回俺が神司により告げられた適性により俺は冒険者になることは生涯ないことがおよそ確定された―


「ありがとうございます…。」

そういい神司の前から避ける。同期はどうなんだ!?そう思い、探していた矢先に現れた冒険者学校の時から馬が合わないアランの野郎。


「俺は攻撃適性、しかも剣の適性だったぞ、畑農家のヴァルよぉ!」


「エイマたちを探しているんだ、どいてくれ。」


「おいおい、もう畑農家は立ち去れよ。早く畑を耕してきな。というより元からお前にはセンスがねぇって思ってたぜぇ、俺は。なのにお前はエイマと仲良くしやがって。いつものすまし顔が崩れてるぜぇ。」


相変わらず腹の立つ野郎だ。そう思うが事を荒立てるのは得策では無いことは明らかだった。

適性によって待遇が変わるのだ。片や、人や街を守る攻撃適性、片やどこにでもいる農業適性。

だがそれは成果を上げてからだろうに、このアランはもう成果を上げた気でいやがる。こういう所が鼻につくんだよ、と心の中で毒づく。


その時目の先に同じく冒険者を志していた幼なじみたちを見つけた。


「エイマ!キーシャ!ラドンも!」

そう言い駆け寄る。みんなの適性はなんだったのだろう、冒険者適性では無い人はいたのか。気になって仕方ない。自分が安心したかったから。でももしかしたらこの時、駆け寄らずにこの聖堂から去っておくべきだったかもしれない。


「私はアシスト適性だったよ!」とエイマ

「私は攻撃適性、スピアだけどね」とキーシャ

「俺は防御適性だぜ!!」と豪快にラドンが続く。


この中の誰かは俺と同じように一般適性だと思っていた。でも実際はそうでなくて皆、冒険者適性だった。

嗚呼、もうこいつらとは関わることはなくなるんだなと思った。そう思っていると自分が惨めになり俺は駆け出した。


「ちょっと!?」

エイマの声が聞こえる。


かけっこではエイマに負けたことがなかった。追いつかれないだろうと思った。でも俺の腕はエイマに掴まれていた。

そうか冒険者適性だから身体強化されてるんだなと察した。どこまでも惨めだ。


「なんで泣いてるの?」

エイマに聞かれる。俺泣いてたのか。

キーシャ達も追いついてきた。

「ちょっとなんで急に走り出すのよ、ってえ!?」

「どうしたんだよヴァル!」

泣いている俺を見て皆、驚く。


「まさか一般適性だったの?」

エイマの優しい声が抉れた心に痛い。

これから関わることは少ないだろうと思った俺は隠すことがばからしくなり、





「俺、農業適性だったんだ」

無理して笑って言った。でもそう言った瞬間俺たちの周りの空気が無くなった気がした。














初めまして。はたなかまやと申します。異世界系は初めて書くので不慣れですがゆったりまったり参ろうと思います。

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