オズマリア帝国の闇

 ウォーターとキリンが見せられていたホログラムで作られた子供。では、本当の子供はどうなっていたのか?それは、1年前の王国が統一された時に戻る。王族に連なる子供たちは1ヶ所に集められていた。

「僕たちに何をするつもりだ」

「父上が知ったらコテンパンだぞ」

「俺を誰だと思っているんだ。さっさと出せ」

「いくら欲しいんです?お金なら沢山あります。だからどうか見逃してください」

「こんな檻、俺の剣技で壊してやる」

 口々に文句をいう王族の子供にマイクからやたらハイテンションな男性の声が響いてくる。

「やぁ、初めまして、この研究施設を任されている研究主任のイルミネだよ。君たちはなんで幸運なんだ。この研究に立ち会えるなんて。その名も魔物を操ることは可能か試してみたらいいじゃないだ。ルールは、簡単だよ。今からその檻の中にキマイラっていう魔物を放り込むから君たちは食べられないように逃げ回るだけ、人間を食った魔物に知性が備わるのか。僕の探究心を満たしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇい」

 ブツンとマイクが切られるとキマイラが解き放たれた。出会い頭に咆哮をかまされ、あまりの衝撃にその場に座り込んで立たなくなった子供に容赦なくキマイラが襲いかかる。

「ゴォォォォォオォォオォォォォオ。グギャギャギャギャ」

 バリバリムシャムシャと全身を喰らい尽くされる王家の子供達。

「なんなんだよ。なんでこんな目に遭わなきゃならねぇんだよ。こっちに来んなよ。ギャァぁぁァァァァァァァァ」

「俺は死ぬわけにはいかねぇ。どけっ」

「何するんだよ。ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

「逃げるって何処に?相手は魔物なんだぞ」

「もう終わりだ。この世の終わりだ」

「おい、俺なんて食っても上手くないから。なっ、お前もあれだけたくさんの人間を食ったんだ。腹一杯だよな。えっ?がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ。腕が腕がァァァァァァァァ。もうやめてもうやめて。もう食べないでクレェェェェェェェェェェェェェェェェ。アハっナンダコレ痛みを通り越して、気持ちィィィィィィィィィィィィィィ。もっと食べてクレェェェェェェェェェェェェェェェェ」

 王家の子供達を全員食ったキマイラは、満足そうに眠りに付いた。

「アチャー、寝たら結果わかんないじゃないか。もっとこの国の反乱者とか罪人を沢山送ってもらわないとね。ヒヒヒハーッハッハッハッ」

 魔物が人を食っても知能なんて身に付かない。彼らは、動物と同じ目の前に何かいたら戦って倒して、その肉を喰らう。生存本能で生きているのだ。

 もうお分かり頂けたであろう?この時、食われた子供の中にウォーターの孫でありキリンの子が居たということだ。会えるわけがない既に死んでいるのだから。では、王家の女たちは、どうなっているのか?

「ここは何処なんですの?」

「こんなところに閉じ込めて何する気なのよ」

「ママーーーー。パパーーーー。何処にいるのよ。ねぇ返事してよー。ウワーン」

「こんなことをして、我が国民の怒りの裁きを受けると良いわ」

「こんなことをしたオズモンドは、業火の焔で身を焼かれるでしょう」

 するとまたしてもさっきの男のハイテンションな声がマイクから聞こえてくる。

「はーい。初めましてーーーーー。この研究施設を任されている研究主任のイルミネだよーーーーー。本当に君たちは幸運だね。だってさっきの子供たちは、それはもう腕をちぎられ。足をちぎられ、胴体を喰われ。絶叫しながら死んでいったんだからねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。安心して、君たちは、女の子だ。女の子の仕事って何だと思う?家庭を守ること。はーい、ザンネーン。そんな答えなんて求めてねぇんだよ。バァーカ。答えは、子を成すことでした。ということで、君たちに手伝ってもらう研究は、魔物は人に種を植え付けるのかだよ。君たち、1人1人に眠っている間に薬を投与しておきましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。迂闊に寝ちゃダメだよ知らないところでさぁぁぁぁぁぁ。子供の君たちでも赤ちゃんを産めるためにする画期的な薬だよ。簡単な話だよ魔物の雌になるんだよ。グフフ。楽しいなぁ楽しいなぁ。君たちが産む赤ちゃん魔物は、人の言葉が理解できるのかなぁ。ワクワクして、もう僕ねむれないよおぉぉぉ。なんちって。じゃあ、魔物の子を産みたくないならせいぜい逃げ回ってね。バイバァーイ」

 ブツンと音が切れると色んな魔物が入ってくるがどれも別々の女の子に向かっていく。

「なんなの、この気持ち悪いドロドロの魔物は、こっちに来ないでくださるかしら」

「シュルルルルルル」

「きゃあ、何すんのよ。そんなところにそんなもの入れんじゃないわよ。あっああん。なんで、こんな化け物のこと私、すっ好き」

「フシュフシュシャルルルル」

「ああん。何これーーーーーーーー。私のお腹がどんどん膨らんで。えっ。これ以上は、だっダメ。はっ破裂しちゃう」

 女の子が破裂するとそのお腹から無数の小さなドロドロが産まれ出ていた。

 ドロドロスライム、スライムの中では珍しく雌に種を出す。子供を産む時、雌は破裂するがスライムゆえ。元に戻る。

「アチャー。ドロドロスライムの習性を活かせば、人間も元に戻るかと思ったけど無理か。勉強させてもらいましたということで」

 別の女の子を追う魔物は大きな蜂である。

「来ないでよ。こっちに来んなって言ってんだろうが」

 パンチは、クリーンヒットしている。だが全くダメージはない。やがて、捕らわれると大きな蜂の巣の中へと入れられた。

「なっ何よ。この部屋。このはちみつ。すごくうまいじゃない。ここって天国なんじゃないかしら」

 するとさっきの蜂がやってきた。

「どうしたのかしら?うっ?なんだか身体中が熱く」

 ロイヤルハニービー、女王蜂1人。働き蜂数匹。兵隊蜂多数のハーレム。毎年、女王蜂は、たくさんの子を産む。全てのことは、兵隊蜂がやり。働き蜂が身の回りの世話をしてくれる。しかし、蜂が発情すると多数群がり我先にと雌を求める。働き蜂や兵隊蜂より大きな女王蜂であるから本来なら耐えられる。

「あら、ありがとう。ここ超天国だわ。ってえっ何何してるの貴方達。そんな、嘘だよね。キャアァァァァァァァァ」

 種を産み付けられ子を産む頃には、その小さな身体は圧死していた。

「アーア、まぁ良いんじゃないかなぁ。あの娘も死ぬ前に素敵な夢を見られたでしょ。少しの間、周りの者がなんでもしてくれる皇女様のような生活をね。でもいつもしてたんだったね。じゃあ、ただの無駄死にか。仕方ない仕方ない。この世界にオズモンド様以外の王族の子供なんて要らないんだから」

 不敵な笑みを浮かべ次々と預かっている魔物の毒牙に子供達をかけていくイルミネ。これがオズマリア帝国の闇の部分であった。魔物とズブズブの関係。そうでなければ魔物壁を作ってる間に壊しに来ないわけがないのである。

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