デザート王国の陥落

 レインクラウズクリア王国の陥落から続けて、リーフフラワー王国の陥落を知った他の国々は、戦々恐々となる。そして、オズモンドは、イーリスとローズマリーとナデシコを連れ、次の国デザート王国へと向かった。その道中も常に誰かに入れ続けたままだ。オズモンドのとんでもない力は、この性豪のおかげでもある。性に貪欲なオズモンドは、無尽蔵なのだ。尽きることのない性欲。これを発散し、パワーとすることで、有り余る力を解き放っていた。オズモンドには、3人の妻がいる。そして妾は数えきれないほどいるのだ。そして、今3人の新たな妻を迎え入れた。オズモンドの野望は、各国の王妃を全て自分の女とすることだ。今は、言わされているだけだがいずれ本心から自分を求めるようにする。所謂寝取りが大好きなのだ。妾の多くも旦那のいる女だった。強引に奪う快感。これがオズモンドの力の源だった。そして、娘は、政治の道具。息子は、優秀でなければ辺境に飛ばす。オズモンドは、子供にも容赦しない。だが妻たちはオズモンドのやることが正しいと。依存である。有り余る性をぶつけられ過ぎるとそれを浴びていないと自分を保てなくなる。一種の麻薬だ。それゆえ、オズモンドに嫌われる行動を取らないようになる。娘や息子よりもオズモンドなのである。そして、娘たちや息子たちもオズモンドに嫌われることは、アイデンティティの消失である。それゆえ、好かれるために何でもするのだ。これがオズマリア王国の恐ろしさだった。そして、ここデザート王国でも内乱が起こっていた。扇動していたのは、オズモンドの娘で、デザート王国の第二皇子カクタスに嫁いだオアシスである。

「本当にこれで良いのかオアシス」

「えぇ、カクタス様、貴方がこの国を統べるためには、第一皇子のキャメルを叩き潰すしかないのですから」

「そうだな。オアシスの言葉はいつも正しい。これが終わったらいつものお礼をその」

「えぇ、胸で顔を挟んであげますわ」

「ムホホ〜俄然みなぎってきたー」

「(単純で馬鹿。扱いやすくて最高ね。お父様に良いところを見せるためにもキャメルを始末するまで、こき使ってあげる)」

「何故、あの馬鹿者はわからないのだ。これがオアシスの策略だと。父上、このままではいずれ押し込まれます」

「うむ。まさかこれほどカクタスに付くとは」

 オアシスは優秀だった。カクタスに付く見返りを兵たちに説く。それは、給与が2倍。そして、好きな女を抱けるというものだった。兵士も所詮男。金が2倍になり、好きな女を抱けるとなればホイホイと第二皇子のカクタスに付く。結果、ドゥライ王とキャメル第一皇子の軍の3倍であった。

「キャメルよ。ワシは城の守りを固める。外は頼んだぞ」

「はっお任せください。我が愚弟に引導を渡してやる」

 意気揚々と突撃したキャメルだが圧倒的兵力を前に、追い詰められ、最後には取り囲まれ捕えられ、オアシスの前に連れてこられた。

「オアシス、貴様、これは全てオズモンドの企みだな。カクタス、何故それがわからぬ」

「兄上がとっとと僕にこの国を譲っていればこんなことにはならなかったのだ」

「あら、私はあくまで愛するカクタスに力を貸しただけ、このことにお父様は関係ありませんことよ」

「ふざけるな。そんな屁理屈が通ると思っているのか」

「あら、やだ怖ーい。カクタス〜。早く殺しちゃおうよ」

「あぁ、そうだねオアシス。皆、逆賊キャメルの首を討て」

「(企みだと気付いていてこのザマ。まったく不甲斐なしよ。父上、申し訳ございません。キャメルは、先に逝きます)」

「(クスクス、これで残るは王城だけ。王城はお父様の仕事だから。後はこのカクタスを殺して終わり。純粋さを失った王族は殺して、年端もいかない子供は残しておけなんて、お父様の考えはわからないけど。まぁ良いや。これで褒めてもらえるよね)」

 オアシスは後ろからカクタスを刺した。

「グフッ。何で、オアシス」

「オアシス様、御乱心なさったのか」

「あら、やだ。貴方たちの給与2倍も好きな女を抱けるっていうのも。この国を我が父オズモンド王に捧げた後の話よ。貴方たちはよくやってくれたわ。だからお父様には、よろしく言ってあげる。さっみんなもカクタスにトドメを刺してよ」

 兵士たちは、オアシスを刺した。

「この売国奴めが。我らも国を売ると思うな」

「と、ん、だ、ば、か、の、あ、つ、ま、り、よ、ね、、、」

 この後に続く言葉は、もう遅いって言うのにだ。

「カクタス様、目を覚ましてくだされ」

「オ、ア、シ、ス、は?」

「あの売国奴なら我らが」

「そ、ば、に、は、こ、ん、で、く、れ」

「何を言ってるのです」

「こ、れ、は、め、い、れ、い、だ」

「わかりました」

 絶命したオアシスのそばにカクタスを運ぶ兵士たち。カクタスは、オアシスの手を取る。

「さ、び、し、か、っ、た、の、だ、な。ち、ち、に、あ、い、さ、れ、な、く、て、つ、ら、か、っ、た、で、あ、ろ、う。お、ま、え、を、ひ、と、り、に、は、せ、ぬ、あ、ん、し、ん、せ。ゴフッ」

「カクタス様ーーーーーーーーー」

 オアシスの手を掴んだまま絶命したカクタス。その頃、王城も最後を迎えていた。

「オズモンド王よ。何故だ」

「ククク。何故か。貴様らはそれしか言わぬな。対魔物同盟だったか?あんな無能な集まりで国家を浪費する貴様らに引導を渡してやろうと思っただけだ。これ以上、人間国家が弱くなる前にな」

「ふざけるな。対魔物同盟は、人間国家を維持するのに大切な同盟。1人のものが国を治めたからといって、魔物の侵攻が止むわけではないぞ」

「フハハハハ。浅はかだな。どうして、俺が今人間の国を攻撃しているのに魔物が静観していると思う?」

「まさか、そのようなこと。ありえぬ。取引したのかオズモンド」

「ククク。魔物にも話の通じるやつがいるということだ。死にゆくお前に冥土での土産話という手土産だ」

「これでも、デザート王国を束ねる王ぞ。簡単にはやられん」

「面白い。3分待ってやる。好きに打ち込んでこい」

「舐めるな」

 ドゥライは、四方八方から切り込みをかけるがそのどれもが防がれる。やがて、3分経つ。

「時間切れのようだ。お前の妻は、俺が貰っていく」

「渡さん。絶対に」

 ドゥライが突撃するタイミングでカウンターによる一撃をお見舞いするオズモンド。

「(すまぬ。愛する我が国民たちよ)」

「つまらぬ」

 奥へと進むオズモンド。

「きゃー、こっちにこないで」

「ほほぅ。第一皇子キャメルの妻キリンか」

「何をするのです」

「ドゥライの妻、ウォーター。熟女だがそこが良い」

「穢らわしい。誰かこの者を追い出すのです」

「誰もいませんよ。貴方の愛する旦那もあそこで肉の塊となってます」

「なんですって。まぁ良いでしょう」

「冷え切った関係というのは本当のようだな」

「それがどうかしましたか」

「こんなにも脂の乗った良い身体なのに、ドゥライは、こっちの女に手を出していたか」

「痛い痛い」

「第一皇子の妻に手を出すクズ男だったとはな。こいつの産んだそこにいる子供、ひょっとしてドゥライの子供だったりしてな」

「!?」

「その反応は図星か」

「そうなのですかキリン。貴方」

「仕方ないじゃないですか。子供に罪はありませんもの」

「そんなことって。これでは、キャメルが可哀想すぎる」

「そんな内輪の話などどうでも良い。キリンにウォーターよ。我が妻となれ」

「こんな年増のどこに魅力を感じるのです。ですがこの身体で民が救われるのであれば良いでしょう」

「そんなに卑下することはあるまい。ウォーターよ。お前は、十分魅力的だ。その証拠にワシのイチモツもこんなに滾っておる」

「(ドゥライの3倍、こんなので貫かれたらどうなるというの。ゴクリ)」

「(こんな大きいの見たことない。ゴクリ)」

「どうだ。ワシに使える覚悟ができたら、裸になり、この宣誓文を読め」

 我先に裸となったウォーターが跪き、オズモンドの聳り立つアレに御奉仕を始める。

「良いぞ。ウォーターよ。この技、このワシがこんなにも早く上りつめるとは」

「お褒めいただき光栄ですわ。オズモンド様。私、ウォーターは、オズモンド様に絶対の忠誠を誓います」

「ドゥライは、馬鹿よな。こんな良い妻をほっぽり、こんなテクも何もない若いだけの女に現を流したのだからな」

「酷いです。私キリンもオズモンド様に忠誠を誓います。だからもっと色々教えてください」

「キッチリ仕込んでやるとしよう。ウォーターにキリンよ。ワシは等しく愛してやる。それゆえ、もう喧嘩をするでないぞ」

「はいオズモンド様」

「ククク。(冷え切った関係であったゆえに、一押しでこやつは堕ちそうだな。これは良い女が手に入ったわ)」

 この映像ももちろんデザート王国の国民たちに流されており、オズモンドとの愛おしそうな情事を見て、売国奴と罵っていた。そして、オズモンドは、彼女らを連れて、つぎなる国エンペラード王国へと向かう。

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