第50話 池袋東口ダンジョン(3)

「というわけで、さっそく四刀流を試してみます」


”キター”

”わくわく”

”どうせぶっ飛んだ四刀流w”

”誰も真似できないヤツwww”

”まったく想像がつかん”

”絶対におもろい方法www”


「ギガントオーガは大した相手ではないので、解説しながら戦ってみようと思います」


”この余裕w”

”大したことない深層モンスターw”

”解説しながら戦う相手じゃない”

”前回、クアッドスケルトン戦でコメント見なかったよね”

”今回はコメント見ながら出来るのか?”

”クアッドスケルトンより強いんだろ?”


「ああ、あのときは人命がかかっていたので。ソロならコメント見ながらでも余裕の相手です」


”まあ、実験台にするくらいだからな”

”解説してくれるのマジ嬉しい”


「ギガントオーガの良いところはHPが高いんですよね。だいたい10万くらいでクアッドスケルトンの5倍です。なので、いろいと試せて便利です」


”10万www”

”聞いたことない数字www”

”長所「HPが高い」www”

”完全に実験台w”


「さっきも言いましたが、こちらの武器はクアッドスケルトンの死骨剣です。残り三本は収納袋に入れて、いつでも取り出せるようにしてます」


”ゴツい剣だな”

”完全に悪寄りの剣”

”ヒーローには似合わないな”

”だから、今日はひでおなのか”


「鎖を切っちゃいますね。あっ、音量に注意してくださいね」



 ――ウギャアアア。



”音量下げなかったワイ氏、無事に鼓膜死亡w”

”音量下げてもうるせえ”

”オカンが怒鳴り込んできたw”

”両サイドから壁ドン来たwww”


「ただの唸り声に聞こえますが、これはギガントオーガの能力のひとつ――威嚇というもので、弱い探索者だと、これだけで動けなくなってしまうので注意が必要です。ある程度の強さがあれば、ちょっとうるさい程度です」


”ちょっとうるさい程度w”

”怖ええ”

”ちびった”

”無理無理、絶対無理”

”平然としてるひでおはアタオカ”

”見た目と声だけで、死ぬわ”


「動き始めました。クアッドスケルトンのような剣技はなくて、力任せに四本の剣を振るうだけです」


”速ええ”

”見切れない”

”残像しか見えん”


「大ぶりの攻撃ですね。タイミングを合わせて――えいっ」


 ――ガンッ。


 僕は左腕を上げて、ギガントオーガの斬撃を受け止める。

 そして、死骨剣を振り上げ――。


「この隙に、四刀流やっちゃいますね。速いので、よく観ててください」


 1本目の死骨剣を斬り下ろす。

 次いで2本目。

 3本目。

 4本目。


 解説するために、バックステップでギガントオーガから距離を取る


「これがひでお流四刀流です。死んじゃわないように手加減してます」


”はっ?”

”なに?”

”まったく見えんかったw”

”速すぎるだろwww”


「やっぱりそうですよね。次は解説しながら、ゆっくりやってみます」


 再度ギガントオーガに接近し、攻撃を避けながらタイミングを合わせて――。


「まずは1本目で斬り下ろします」

「真下まで来たら、手首を捻って、回転させながら、上に放り投げます」

「空いた腕を回転させ頭の横まで来たところで、2本目を収納袋から取り出します」

「2本目でさっきと同じように斬り下ろします」

「さっきと同じように2本目を上に投げ――」

「これを4本目まで繰り返しです」

「4本目を上に投げたところで、落ちてきた1本目をキャッチします」

「後はこれのループです。伝わったでしょうか?」


”草”

”想像してたのと全然違うんだがw”

”理屈は分かった”

”でも、誰も真似出来ないww”

”というか、誰もやろうと思わないw”

”やっぱりひでおはひでおだったwww”


「今のは垂直バージョンですが、水平バージョンも簡単です。ブーメランと同じ要領ですね」


”いや、こっちの方が難易度高いだろw”

”サラッととんでもないことするww”

”しかも、余裕たっぷりwww”


「今は片手でやりましたが、両手でやれば八刀流。剣を増やせば十刀流や十二刀流も可能です。頑張ったら二十刀流くらいまではいけそうなので、暇なときに練習してみたいですね」


”もうついていけないw”

”二十刀流というパワーワードww”

”絶対にトレンド入りするwww”


「じゃあ、倒しちゃいますね。ちょっと本気出します」


”本気出すとやっぱりなにも見えないw”

”ギガントオーガに同情ww”

”一瞬で終わったwww”

”これはひどいwwww”


「以上、ひでお流四刀流でした」


”以上じゃねえよw”

”つーか、四刀流じゃなくてジャグリングだろw”

”↑俺もそう思った”

”チェーンソーとも言う”

”だな”

”完全に四刀流じゃない件”

”相手としては無限に斬られ続けるという拷問w”


「えーと、なにかまずかったですか? 僕としては良いアイディアだと思ったんですが……」


”ひでお流だから大丈夫ww”

”たしかに、ひでお流だからな”

”そう言われると、すげー納得する”

”やっぱり、ひでおはひでおだったwww”


「そうですか……」


”めっちゃ落ち込んでるw”

”落ち込むひでおがかわいそうすぎるw”

”大丈夫、楽しかったぞ”

”いろんな意味で想像の上で面白かった”

”そこがひでおの魅力だ。気にすんな”


「励ましの言葉、ありがとうございます。これからも楽しい配信になるように頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」


”がんばれー”

”応援してるぞ!”

”ひでおが楽しんでくれるのが一番”


「あっ、忘れるところでした。ごめんなさい」


”おちゃめ”

”やっぱり、ひでお”

”なんだろ?”

”告知?”


「SNSの『えつくすー』ですが、DM機能を解放しました。誰でも気軽に送ってください」


”おおおお!”

”やった!”

”今までコメ欄しかなかったもんな”

”これは嬉しい”

”でも、スパムとか凄そう”

”ほとんどスパムだろうな”


「ご心配ありがとうございます。スパムとかは助けるマンが作ったAIで弾かれるようになってます」


”やっぱり助けるマンw”

”万能過ぎるw”


「皆様、おつき合いありがとうございました。今日の配信はこれでお終いにします。お楽しみいただけましたら、高評価、チャンネル登録お願いします」







   ◇◆◇◆◇◆◇


【後書き】


次回――『間話 虎夫とリリスと……』

ノープロットでノリと勢いだけで書いてきたけど、50話&10万文字突破!

みんなありがとー!!


今回で第1部終了!

といっても、変わらず毎日更新目指すよー。

これからも一緒にダンジョンヒーローを応援してね。

チャンネル登録やDMは出来ないけど、フォローと★評価はできるので、よろしくお願いしますm(_ _)m

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