(9) 違和感

 二週間後。

 最近つけられている気がする、と打ち明けられたのはひまりの家にお邪魔していた時だった。そんなに深刻そうな顔はしていなかった。けど、取り繕っているようにも見えた。

 そんなひまりにぼくは大丈夫か、と根掘り葉掘り聞いたが曖昧に頷き「ま、気がするってだけだし、大丈夫だよ」と口角をきゅっと上げて微笑んだ。ぼくはそれに安堵し、それ以上聞こうとしなかった。それよりも聞いてほしいことがあると言ってひまりに昨夜あった出来事を話してしまった。




 今思うと自分を殴りたくなってくる。いや、殺したい。


 もっと、ぼくがあの時聞いていれば。

 もっと、ぼくが真剣そうにしていれば。

 ぼくが行動に移していたら。

 ずっと見守っていれば。



 ずっと。ずっと…。ずっと……。

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