(7) 敬語

 二か月後。

 やっと敬語ではなくため口に慣れてきていた。翼と違って二か月でため口になれたのは陽舞梨がもつ何かのお陰だった。多分人を安心させる何かだと思う。

 最近はカラオケにはまっていた。陽舞梨は歌が上手く、でもぼくは聞くに堪えないジャイアン級の下手さだった。けれど面白がりながらもアドバイスしてくれて練習し続け今では一般人並みの上手さになれた。

 さらに陽舞梨に見惚れている時間も多くなっていた。

 小説は中盤ぐらいに差し掛かっていた。ちょうどその時に近くで不審者が出たらしく被害も出ていて、それで学校が休校になった。その休みを利用して小説の舞台になる地名に二人で出かけたりした。

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