【異世界帰りの勇者パーティによる高校野球蹂躙劇】~野球辞めろと言ってきた先輩も無能監督も見下してきた野球エリートもまとめてチートな投球でねじ伏せます。球速115km/h? 今はMAXマッハ7ですよ?~
第45話 魔神が選手を魔人に改造するから魔改造という
第45話 魔神が選手を魔人に改造するから魔改造という
俺はスタンドに行き、みんなと合流する。
しれっと
優子の予備制服を借りて、【装備換装魔法】で着替えたってところかな。
胸の部分がパツンパツンだ。
今にもボタンが弾け飛びそうで、ハラハラする。
左隣の優子と楽し気におしゃべりしながらも、右隣に座っている
しかも恋人つなぎだ。
こ……こいつら……。
見せつけやがって。
引率の
自分も夢中になって、姫とおしゃべりしてるけど。
甘奈先生は、ファンタジー異世界に興味深々だからなぁ。
姫には【言語理解】スキルがあるから、日本語ペラペラだ。
「お久しぶりですわね。シノブ様」
やっと俺に気付いたプリメーラ姫が、座席から立ち上がって
俺も胸に手を当てる、ウィリアム王国騎士団の礼で応えた。
「お久しぶりです、プリメーラ姫。再会できて嬉しいです。しかしなぜ姫が、地球に……?」
「うふふふ……。地球への【異世界転移魔法】が完成した瞬間、抑えが効かなくなったのです。どうしても逢いたい方がいて……。王国中の魔石を魔法の媒介にして、転移してきてしまいましたわ」
チラッと憲正を見て、頬を赤らめる。
リア充どもめ!
爆発しろ!
……この姫様、異世界への帰還方法とかちゃんと考えて来たのかな?
怖くて聞けない。
「地球に転移するまではともかく、よく俺達を見つけられましたね」
「地球に来た瞬間、感じましたもの。皆様の魔力を。ケンセイ様の魔力を、わたくしが探知できないはずがありません。ユウコの魔力は、異なる世界まで伝わるほど強大ですし。シノブ様はいつも上手に
ん……?
探知できたということは、俺達って魔力を失ってはいないのか?
魔神サキは、「スキルやレベルの力を
何らかの方法で、異世界の力を取り戻すことは可能なのかもしれない。
明後日の決勝戦までには、間に合わないだろうけど。
グラウンドに視線を向ける。
後攻である
公立の進学校にしては、ハイレベルな守備だ。
さすが準決勝まで、勝ち残ってきただけはある。
だけど……。
何だろう?
違和感を覚える。
春季大会で対戦した時とは、雰囲気が違う。
妙に余裕があるというか……。
聖魔学舎の守備練習が終わり、今度は先攻である
うーん。
さすが私立の強豪校。
スポーツ特待で、選手を集めているだけのことはある。
全員体がデカいし、守備も上手い。
ボール回しのスピードが、圧倒的に速い。
普通に考えるなら、聖魔学舎に勝ち目はないんだけど……。
「……あら? 聖魔学舎の監督って、春から変わってるの?」
優子に言われて気付いた。
ノックを打っていたのは、春季大会の時にも監督だったオッサンだ。
だけど別の人物が、ベンチで腕組みしながらふんぞり返っている。
かなり小柄なシルエット。
まるで子供だ。
……変だ。
何で俺達の誰も、聖魔学舎の監督が変わったことに気づかなかったんだ?
出場校のデータは、ひと通り仕入れてある。
ベスト8あたりから、聖魔学舎もマークしていた。
エースの
春から監督が変わっていたら、誰かが気付くはずなのに……。
それにあの新監督。
俺は視力に自信があるんだけど、なぜか顔がよく見えない。
名前も思い出せない。
事前に調べたはずなのに。
存在が、ぼやけている?
これじゃまるで、強力な【認識阻害魔法】を使われているみたいだ。
んん?
新監督がこちらを見て、ニヤリと笑ったような?
次の瞬間、聖魔学舎ベンチから監督が消えた。
そしてスタンドで観戦していた俺らの前に、いきなり現れる。
え……?
こいつは……?
「くくく……。どうだ? 驚いたか? 【認識阻害魔法】を使い続けていたから、気付けなかったであろう? 今大会で、聖魔学舎の監督は
「ま……魔神サキ!」
「監督としての登録名は、
俺ら熊門野球部一同の前に現れたのは、少女モードの魔神サキだった。
格好は聖魔学舎のユニフォーム。
ツインテールヘアを揺らしながら、空中にふよふよと浮いている。
空飛ぶ少女を見て、周りが騒ぐかもしれないと心配になった。
ところが周囲を見渡すと、誰もサキに注目していない。
こいつ、俺ら以外には【認識阻害魔法】を使い続けてやがるな。
「魔神サキですって!? この少女が……?」
プリメーラ姫は驚いているな。
無理もない。
異世界アラミレスで戦ったサキは、山のような巨人だったからな。
「サキ……、何が目的だ? なぜ聖魔学舎の監督になっている?」
「決まっておろう。高校野球の監督を、やってみたかったからだ」
野球部一同、盛大にコケた。
プリメーラ姫もだ。
「ええ? それだけか?」
「もうひとつあるぞ。シノブ・ハットリ。お主と野球で戦ってみたかった」
「俺と?」
「そうだ。お主は我を、最高にゾクゾクさせてくれるピッチャー。そんなお主が、我のチームと戦う。じつに面白いではないか」
……ちょっと待て。
それって何か、おかしくないか?
「え~っと、サキ。野球で俺と戦いたいのはわかった。だったらなぜ、俺達のスキルやレベルを封じたんだ?」
おかげでウチの野球部は、大幅な戦力ダウンだ。
勝ったからいいものの、俺達が敗退していればサキの目的は達成できていない。
俺の問いに、サキは視線を逸らした。
明後日の方向を見ながら、頬をポリポリと掻く。
こいつ……。
まさか……?
「【聖女】ユウコのケツバットが痛かったから、カッとなってやった。あまり深く考えてなかった」
やっぱり。
なんて行き当たりばったりな魔神だ。
「よ……よいではないか。お主達は異世界の力がなくとも、火の国学院を打ち破り決勝戦まできた。必ずそうなると、我は信じておったぞ。さすが我の
「いまさら取り繕っても
「う……うるさい! 言っておくが、決勝戦までに封印を解いてはやらぬぞ。我が聖魔学舎から、フルボッコにされるがいい」
「俺らと決勝戦で、戦うつもりでいるみたいだけど……。まずは準決勝で津弧山館を破らないと、戦えないぜ? 大丈夫か?」
「くくく……。心配無用だ。聖魔学舎の選手達は、我が魔力で魔改造しておる。野球魔人達の試合を観て、恐れおののくがよい」
「そうか……。それともうひとつ、新任の魔神彩季監督に忠告。ユニフォーム姿の監督や選手が、スタンドの観客と会話したり席を同じくするのは規則違反だぜ」
「…………。
俺達に念を押すと、サキは煙のように姿を消した。
どこに行ったかと視線を巡らせれば、いつの間にか聖魔学舎ベンチに戻っている。
今度は姿が、ハッキリ見えるようになっていた。
聖魔学舎の選手達を魔改造?
野球魔人?
一体どんなプレーをするんだ?
俺の尊敬する鉄心さんは、どうなってしまったんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。