【異世界帰りの勇者パーティによる高校野球蹂躙劇】~野球辞めろと言ってきた先輩も無能監督も見下してきた野球エリートもまとめてチートな投球でねじ伏せます。球速115km/h? 今はMAXマッハ7ですよ?~
第28話 アスリートなら、スポンサーに自らの価値を示せ
第28話 アスリートなら、スポンサーに自らの価値を示せ
「その問いには、なんと答えていいのやら……。半分は正解、かな?」
特に強そうには見えないけど、言い表しようのない凄みを感じるぜ。
やはり異世界と、関係がある人間なんだ。
こないだ
あいつの仲間かもしれない。
「きみたちはさっき、『同類』だと言ったな? それはつまり……」
「ええ、そうです。あなたと同じように、異世界へと召喚されました」
同じ異世界関係者に、黙っていても仕方ない。
俺は構えを解かないまま、自分達のいきさつを語り始めた。
剣と魔法の異世界アラミレスに召喚され、3年間冒険したこと。
魔神サキを討伐したこと。
その後は地球に戻ってきて、普通の高校生として生活していること。
「異世界アラミレスか……。そんな名前の異世界も、あるんだな」
「金生さんは、違う異世界だったと?」
「ああ、ナロハイファンという。それに俺は、召喚されようとして未遂に終わった」
「えっ? それではなぜ、全身から異世界の匂いがするんですか?」
「たぶん、【女神の加護】の匂いだな。きみたちのスキルやレベルと同じようなものだ。これを魂に仕込まれて、魔王討伐の鉄砲玉として異世界に派遣される予定だった。魔王が現地の勇者に倒されて、異世界派遣は中止になったが」
「金生さんも、何か超人的な能力を?」
「俺の場合は、『財力チート』ってところだな」
なるほど。
このお金持ちっぷりは、女神様の力によるものか。
アラミレスの関係者じゃないなら、敵である可能性は低いな。
俺と優子は、武器を【アイテムストレージ】に戻した。
「失礼しました。魔神軍の生き残りが、関与している可能性も捨てきれなかったので」
「構わない。警戒するのは当然だろう。しかし、きみたちも大変だったな。高校1年生で、魔神討伐なんて重責を背負わされるとは。異世界関係者はもう少し考えて、地球人を召喚して欲しいものだ」
「ご……ごめんなさい」
いきなり、部屋の隅にいたメイドさんが謝った。
紫色の髪と瞳を持つ、神秘的な雰囲気のメイドさんだ。
「金生様。まだ根に持っているんですか? お金持ちになってハッピーな人生を送れているんだから、結果オーライじゃないですか。加護を授けた私に、もっと感謝してもいいと思います」
ええっ!?
金生さんに加護を授けたってことは、このメイドさんって女神様!?
全然気づかなかったぞ?
ああ。
注意深く観察すると、人間じゃない力を感じる。
魔神サキに近いけど、禍々しさは感じない力だ。
「俺は独り身のオッサンだったからいいですけど、この子達はまだ若い。親元から連れ去り、異世界で過酷な魔神討伐を強制するなどもっての外です」
俺達のことを心配してくれるなんて、このオッサンはいい人だな。
だけど……。
「金生さん。いきなり召喚されて、確かに戸惑いはしました。だけど俺達は自分の意思で、魔神討伐を決意したんです」
これだけは言っとかないとな。
「それに俺達を召喚したプリメーラ姫は、自分も魔神討伐の旅に同行してくれました。危険を異界から来た勇者に丸投げして、高みの見物を決め込んでいたわけじゃない」
あっ。
メイド女神さんが、胸になんかグサグサ刺さったリアクションをしている。
この女神様は、金生さんに魔王討伐を丸投げする気満々だったんだな。
「ふっ……。きみたちは、大人だな。俺が高校1年生だった頃は、自分の夢しか見えていないガキだったよ」
「異世界で3年間過ごしたんで、精神年齢は18歳だったりするんですよ」
「なるほどな。……そういえばきみたちは、何の用件で俺を訪ねてきたのかな?」
「……すっかり忘れていました」
俺と優子は、
グラウンドを使える日が週3回しかなく、練習が足りていないこと。
使えても狭く、
だから金生さんの私設ドーム球場を、使わせて欲しいということ。
「事情はわかった。甲子園か……。夢を追う若者は、応援したい。しかしドーム球場を稼働させるには、莫大なお金がかかる。照明や空調設備の電気代。グラウンドの整備費。稼働させるスタッフの人件費。タダで使わせるわけには、いかないな」
もちろん、わかっている。
金生さんにとっては
俺達が対価として用意しているのは、異世界から持ち帰った不思議アイテムの数々だ。
【鑑定魔法】と同じ効果を発揮できる、【スカウティングオーブ】。
地面から浮かび上がり、滑るように飛行できる【シルフボード】。
装着者の成長を著しく促進する、【魂育の首飾り】。
これらのファンタジーアイテムは、地球でも問題なく作動することを確認している。
最初は地球上に存在しない宝石とかだけ、渡すつもりだった。
だけど相手が異世界のことを知ってるなら、ビックリ魔導具とかまで見せてもいい。
お金だけでは手に入らない、珍しいアイテム。
所有してみたいはずだ。
【アイテムストレージ】からこれらを取り出そうとした時、金生さんは意外なことを言い出した。
「お金のかかるドーム球場をきみたちに使わせるということは、
「それは……。大会に出て、結果を残したりだとか……」
「そうだ。だがきみたちには、もう夏の県大会までに出られる大会がない。他の方法で、スポンサードを受けるに相応しい選手だと示してもらわないといけない」
背後から、風切り音が聞こえた。
振り返ると遠藤先輩が、金属バットで素振りをしている。
「
○●○●○●○●○●○●○●○●○
ロールスロイスに乗せられて、屋敷と同じ敷地内にある私設ドーム球場へとやってきた俺達。
……デカい。
昔、福岡ドームまでプロ野球の試合を観にいったことがある。
あれと変わらない規模だ。
建設に、何億円使ったんだ?
マウンドに立ち、周囲を見渡す。
青々とした人工芝。
今は無人だけど、圧倒的収容数を誇る観客席。
ギラギラと輝く照明。
俺はプロ野球選手志望じゃない。
だけど華やかな場所でプレーすることに、憧れがないわけでもない。
ドーム球場は興奮する。
「服部くん。優子ちゃん。制服のままじゃ投げにくいだろう? 着替えるなら、ロッカールームに案内しよう。トレーニングウェアも貸し出すぞ」
「いえ、お構いなく。俺達はこんな方法で、着替えられますんで」
金生さんの眼前で、【装備換装魔法】を発動。
俺と優子は一瞬で、熊門高校野球部のユニフォームへと衣装チェンジした。
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