自給自足の生活に憧れ、長野の山奥で暮らし始めた青年・今福健一郎のスローライフはじめて物語です。
仕事の人間関係に疲れた主人公の健一郎は、衝動的にキャンプ道具一式を抱えて山奥に引きこもってしまいます。
行き当たりばったりで川で魚を釣ったり、小屋を作ったり、酪農にも挑戦してみたりと、無計画だけれど、とにかく思いつくままやってみようという健一郎の行動力が楽観的でいいんですよね。キャンプ生活やひみつ基地を作り上げていくようなストーリーに男心がくすぐられます。
それでも現金収入は必要です。そこで周囲の森や川、野鳥や動物、大自然の暮らしを動画で配信して広告料で稼ぐという発想が、現実でもありえそうで興味深いんですよ。
健一郎の挑戦を面白がって協力する地元のおじさんたちや、職場の後輩も健一郎を追いかけて移住してきて、どんどんスローライフの交流の輪が広がっていくのが微笑ましい。
明日は何をやってみようか。スケジュールのない悠々自適な田舎暮らし、あなたも体験してみませんか。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)