第四十一話
「私は以前、
しかし、あなたは違った。あなたは
俺は、『ゴクリ』と
「え? だって、アタシ……。え? ちょっと待って……。ちょっと待って!」
すると順番を待っていた他のお客さんが、ざわざわし始めた。なので
「涼子さん、取りあえずここを出ましょう。さ、立ってください」
涼子さんはゆっくり立ち上がると、
「ごめん、さっきは。アタシ、男にあんな風に言われたこと無いから……」
「いえ、こちらこそすみません。急にあんなことを、言ってしまって」
「いや、いいの、いいの。まあアタシも、悪い気はしなかったし……。っていうかアンタは良い人だからあんなこと言われて、ちょっと
「涼子さん……」
すると涼子さんの声は、少し大きくなった。
「でも、アタシでいいの? アタシこんな性格だから今まで
今度は亘司さんの、優しい声が聞こえた。
「いいんです。いつも本音を言う、あなたが好きなんです。私は出来れば、本音で話をしてくれる女性と付き合いたいんです」
「そ、そう……」
すると慶介は嬉しそうな表情で、話しかけてきた。
「何だかあの二人、良い
「ああ、そうだな」
そう答えて俺は、思い出した。
「すると亘司さんをワーケーションハウスから追い出すっていう話は、無しか?」
「はい。僕の
「そうか……」
そう聞いて俺は、『ほっ』とした。そして二人のこれからを、
「あの二人、上手く行くといいですね」
すると佳奈さんは、笑顔で答えてくれた。
「はい、そうですね。でもきっと、上手く行きますよ、あの二人なら!」
「そうですね……」
それから俺は、言ってみた。
「俺たちも、もっと上手く行くといいですね?」
佳奈さんは、歩きながら答えた。
「え? 上手く行ってるじゃないですか、私たち」
そして、立ち止まった。
「え? もっと?」
俺も立ち止まって、佳奈さんに告げた。
「佳奈さん、俺と結婚しませんか?」
「え?」
俺は、ゆっくりと告げた。
「もし佳奈さんと結婚しても俺は、今までのような不安定な生活を続けるでしょう。でもがんばって、ちゃんと
少ししてから佳奈さんは、答えた。
「もう、その話は付き合う時にしたじゃないですか。
俺は、ゆっくりと聞いた。
「え? それじゃあ……」
すると佳奈さんは、笑顔で告げた。
「はい、私たち、結婚しましょう。そして私を、幸せにしてください!」
俺は、佳奈さんの目を見て告げた。
「はい。幸せにします、必ず」
すると前を歩いていた
「ちょっと、何やってんのよ、二人とも! 早くこないと、
すると佳奈さんも、大きな声で答えた。
「ごめーん! 私、今、健一郎さんにプロポーズされてたからー!」
それを聞いた伊織さんと慶介は、ものすごい速さで俺たちの近くにきた。慶介が、
「プ、プロポーズしたって、本当ですか、健一郎さん?!」
俺が
「で、どう返事をしたんですか?!」
佳奈さんは、
「もちろん、OKしましたよ~」
するとなぜか、慶介は喜んだ。
「やったー! 結婚だー! お二人とも、お幸せにー!」
そしてそれを聞いた、涼子さんと亘司さんもやってきた。涼子さんが「え? 何? 結婚? 誰と誰が?」と聞くと、慶介は「佳奈さんと、健一郎さんでーす!」と元気よく答えた。すると涼子さんと佳奈さんと伊織さんは、きゃあきゃあとはしゃいだ。俺に近づいてきた亘司さんは、右手を出した。
「今日の
俺も右手を出して、亘司さんと
「はい。すみません」
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