第三十三話
俺は会社を
「いや、一人でこんなに
俺はもちろん道夫さんの役に立ちたかったので、「分かりました。取りあえずお
「ありがとう、あんちゃん!
明日?! ダメだ、明日の金曜日は
それから俺は、佳奈さんにLINEを送ることにした。明日のお出かけを、
『すみません、佳奈さん。明日のお出かけは、延期させてください。ちょっと用事が出来たので。お出かけの日はまた後日、連絡します』
すると少しして、佳奈さんから返信がきた。
『そうですか、それは残念です。それではまた後日、連絡をください』
佳奈さんを残念がらせてしまい申し訳なく思ったが、上手く行けばあさっての夜にお出かけできるな、と思いつつその日は寝た。
そして次の日の夕方、俺は道夫さんの家に向かった。玄関に入ると、奥さんの
「すみません、
「いえいえ、
「はい、お願いします……」
「分かりました」と俺は、
「えーと、俺は
すると女性は、『ぺこり』と頭を下げて自己紹介した。
「あ、アタシは
すると道夫さんは、怒りの表情になった。
「こら、涼子! もっとちゃんと、
俺は道夫さんが怒っているのを初めて見て、
「いいじゃない、ちゃんと名前を言ったんだから。それとも何? 年齢、住所、電話番号まで言えばいいの?」
すると道夫さんは、
「いや、そうじゃなくてだな……。はあ、この通りなんだよ、あんちゃん……」
俺はやはり涼子さんは、見た目通り気が強い女性だなと思い知らされた。それでも他ならね道夫さんのために、俺は聞いてみた。
「えーと、涼子さんは最近、会社を辞められたそうですね?」
「そう、一カ月前」
「どうしてですか?」
すると涼子さんは、ため息をついて告げた。
「日本の会社の経営者が、バカばっかりだからよ!」
話によると涼子さんが勤めていたコンサルティング会社には、多くの経営者が相談にきた。その多くが、『従業員がどんどん減っていく。何とかしてくれ』というものだった。涼子さんが調べてみるとその会社は、残業時間が多く土日も休日出勤することがある会社だった。涼子さんは、今の人はワークライフバランスを
すると涼子さんはAIなどを
「アタシは日本の会社を少しでも良くしようと思って、コンサルティング会社に就職したの! でも日本の経営者は、バカばっかりなの!」
うーん、なるほど……。涼子さんの気持ちも、分からなくはない。でも
「えーと、それでは涼子さんはこれから、どうしたいんですか?」
すると涼子さんは、答えた。もちろん働くと。でもどんな仕事をしたいのか今、考えている
「アタシは近所の目なんか、気にしないわよ。それじゃあ取りあえず、家を出てアパートとかに住めばいいの? 五年間もコンサルティング会社で働いたから、
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