第三十話
それでもやはり俺には、不安が残った。ちゃんと食べられるキノコを、
この山に何年も住んでいる道夫さんなら、きっとキノコにも
「ああ、いいぜ。ちょうど今、ヒマだったから」
そして俺と道夫さんは、俺の
「ああ、これはナメコだ。もちろん食えるぜ」
そして次に、木に生えているキノコを見つけた。かさはちょっと大き目で、茶色だった。シイタケだろうと思って本と道夫さんに確認すると、そうだった。
それから地面から生えている、赤くて細長い
「それは
不思議に思った俺は、聞いてみた。
「え? どうしてですか?」
すると道夫さんは、説明した。これはおそらく、ベニナギナタタケだろう。でもこれによく似たキノコに、カエンタケがある。こいつは赤くて太くて
そして次は、木の根に生えているキノコを見つけた。かさが茶色で
うん、今回は、これくらいでいだろう。キノコを教えてくれた道夫さんにお
「自分で食うモノは自分で採るから、大丈夫だ。あ、食うなら
そして道夫さんは自分の家に向かって、歩き始めた。まあ、いいかと思い俺は、一軒家に戻った。そしてキノコ採りの動画を、
「えー、まずは鍋に、水とダシが入ったしょうゆを入れます。そして、
うん、キノコそのものも
そしてキノコ鍋を作って食べる動画も、配信した。鍋などの食器を洗い
やはりキノコを採るという珍しい動画は、バズるようだ。そしてそれを材料にした、キノコ鍋の動画につながったんだと思う。動画を観た人のコメントも、にぎわっていた。『あー、俺もキノコを採ってきて、キノコ鍋を作りてー』、『これは、
俺は
そして、土曜日になった。朝ご飯を食べた俺は軽トラに乗って、ワーケーションハウスに向かった。そこに着くと
いや、佳奈さんはどちらかというと美人だと思うが、服装が可愛い。それに、にっこりと
「今日はよろしくお願いします、
こくこくと、俺は
「そ、それでは
「はい!」
それから軽トラの中に、
「あー、そういえば、
すると佳奈さんは、
「はい。二人は付き合っていますよ」
「ええーー!!」
俺は思わず、急ブレーキを
「だ、大丈夫ですか?! 健一郎さん!」
「は、はい。大丈夫です……」
俺は再び、軽トラを走らせた。そして、聞いてみた。
「あ、あの。付き合っているって、いつから付き合っているんでしょうか?……」
すると佳奈さんは、ちょっと考え込んだ表情になった。
「えーと、ここにきたその日に良い感じになって、次の日から付き合いだしたみたいです」
そして俺は、気付いた。軽トラの中に流れる、
「そ、そうだったんですか……。慶介と伊織さんはお似合いだと思うので、
「はい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます