第四章 そうだ! 恋をしよう!

第二十七話

「それじゃあ、かぼちゃを収穫しゅうかくしましょう。全部、収穫できるので、そうしましょう。佳奈かなさんは、手前のかぼちゃを収穫してください」


 すると佳奈さんは、笑顔で答えてくれた。

「はい。分かりました!」


 どうしてこうなったかというと俺が朝食を食べ終えた時、突然、佳奈さんからLINEがきた。

『おはようございます、健一郎けんいちろうさん。突然ですがそろそろ、かぼちゃを収穫しませんか?』と。確かに、かぼちゃはそろそろ収穫時期だ。そして今日は土曜日で、佳奈さんの仕事は休みだ。なので俺も賛成さんせいして、LINEを返信した。


『はい、そうですね。それじゃあこれから収穫しようと思うので、ワーケーションハウスまで迎えに行きます』と。


 そうして俺の畑で収穫時期になったかぼちゃを、二人で収穫することにした。だがその前に俺は、おそる恐る聞いた。

「あの、佳奈さん……。二人で収穫する場面をまた、スマホで撮影さつえいしてもいいですか? そしてそれを、ユーチューブで配信はいしんしてもいいですか?」


 するとやはり佳奈さんは、笑顔で答えてくれた。

「はい、いいですよ~」


 かぼちゃを収穫する動画を撮影するために、一軒家いっけんやの壁にスマホを固定しながら俺は、『ほっ』としていた。出来れば佳奈さんがうつっている動画を、配信したかったからだ。なぜなら佳奈さんが映っている動画が、バズったからだ。


 前回、俺は佳奈さんと二人で漬物つけものけた。漬物を漬ける動画はめずらしいだろうと思って、その時もスマホで動画を撮影した。そして、ユーチューブで配信しようとした。その時、ふと思った。動画に、佳奈さんも映っている。俺の姿が映っている動画は、今まで何度も配信してきたので俺はもちろん構わない。でも佳奈さんは、どうだろう? もしかしたら、嫌がるかも知れない……。


 なので俺は、聞いてみた。佳奈さんも映っている動画を、ユーチューブで配信してもいいですか、と。すると佳奈さんは、構わないと答えてくれた。話によると佳奈さんの友達の伊織いおりさんがインスタグラムをやっていて時々、佳奈さんも映っている写真を投稿とうこうしているそうだ。なのでSNSに対する抵抗ていこうは、あまりないそうだ。ただ佳奈さんはSNSは、ツイッターしかやってないそうだ。


 とにかく今回も佳奈さんが映っている動画をユーチューブで配信出来るので、俺は期待してしまった。また、バズるのではないかと。前回の漬物を漬ける動画は、すごかった。何と視聴回数は、百万回を超えた。自分で作った野菜を漬物にするのも珍しいので、それもバズった理由だろう。だがやはり、佳奈さんが映っていたのが最大の理由だろう。


 それは、コメントを見て分かった。動画に付いたほとんどのコメントが、『誰だ、あの美人は?!』、『ひょっとして、彼女か?!』、『彼女の姿を、もっと見たい!』というのが多かったからだ。


 俺も、佳奈さんは美人だと思っている。しかしこうして皆のコメントを見ると、佳奈さんは『すごい』美人のようだ。すると、あまり女性と付き合ったことが無い俺は、佳奈さんを意識するようになった。その佳奈さんは、笑顔で俺に呼びかけてきた。

「健一郎さーん! こっちの方のかぼちゃは全部、収穫しましたよー!」


 俺はその笑顔を見て、緊張しながらも答えた。

「はーい! 俺の分は、これから収穫しまーす!」


 そして俺の分を収穫すると、二人で俺の一軒家のキッチンに移動した。俺はスマホを見ながら、佳奈さんに告げた。

「えーと、俺が作るかぼちゃ料理はもう決めたんですが、佳奈さんはどうですか?」


 すると佳奈さんも、スマホを見ながら答えた。

「はい、私もようやく決まりました!」


 俺は料理をしている場面を撮影できるように、キッチンの壁にスマホを固定すると料理を始めた。俺は定番すぎるが、かぼちゃの煮物にものを作った。まず、かぼちゃを半分に切ってたねを取りのぞき、電子レンジで加熱する。そして、一口大ひとくちだいにカットする。あとはなべに、かぼちゃ、水、しょうゆ、酒、砂糖、みりんを入れて煮る。そしてかぼちゃが柔らかくなれば、完成だ。


 そして次に佳奈さんが、かまどをオーブンの代わりにしてパンプキンパイを作った。その手際てぎわがあまりに良かったので、聞いてみた。

「あの佳奈さんって結構、料理が得意なんですか?」


 すると佳奈さんは、ちょっとれながら答えた。

「得意かどうかは分かりませんが休日に結構、料理はしますよ」


 いやいや、この手際の良さは絶対、得意だ。料理が得意な美人か。絶対、モテるだろうな……。それから俺たちは川に行ってアマゴを二匹、釣った。それをかまどで塩焼きにして、ちょっと遅い昼食を食べた。かぼちゃの煮物を食べた佳奈さんは、めてくれた。

美味おいしいですね。料理も得意なんですね」


 俺はとても、照れてしまった。

「いやあ、それほどでも……」


 そして佳奈さんが作ったパンプキンパイを食べてみると、やはり美味しかった。俺は、本音を言った。

「美味しいですね、これ。店で売ってても、不思議じゃないですよ」


 すると佳奈さんも、照れた。

「本当ですか、ありがとうございます……」

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