第二十話

 そして、新たに買う土地の坪数つぼすうを確認した。一坪は一、八メートル×一、八メートルだ。三坪だと一、八メートル×五、四メートルになる。三坪の部屋を新たに三つ作り、六坪のスペースにニワトリ小屋と露天風呂ろてんぶろを作ることにした。つまり全部で十五坪、買うことになる。ここでは一坪、五百円だから合計七千五百円か。うん、余裕よゆうで買える。


 なので俺は早速さっそく、Z市の森林組合しんりんくみあいに行って新たに土地を十五坪、買った。そして次の日には境界線確定きょうかいせんかくていくいを打ってもらい、正式に俺の土地になった。更に、源治げんじさんの材木屋ざいもくやに行ってみた。すると工場の中には、端材はざいがたまっていた。事務室に行ってみると源治さんがいたので、小屋を増築ぞうちくしたいので端材を分けて欲しいと頼んでみた。すると源治さんは、笑顔で答えてくれた。


「へえ、もう小屋の増築をするんだ?」

「はい。今の小屋にはベットしか置いてないので、やっぱり不便ふべんなので……」

「なるほど。それじゃあ工場に置いてある端材を全部、持って行ってもいいから」

「ありがとうございます!」


 俺は、工場にある端材を軽トラの荷台にだいせながら考えた。うーむ。これは以前、小屋を建てた時よりも、少し量が多いくらいだな……。そうなると三つの小屋を建てるには、りないな……。どの小屋を優先ゆうせんして建てるか、考える必要があるな、と。とにかく端材をもらったので源治さんにお礼を言って、俺は軽トラを走らせた。


 自分の小屋に戻ってきた俺は、軽トラから端材をろしながら考えていた。そして結論を出した。やはり洗濯機せんたくきとトイレがある小屋を、優先して作ろうと。居間いまはまだ作らなくてもいいし、キッチンもまだ外で料理できるから、まだ作らなくてもいい。でもトイレと洗濯機は別だ。いつまでも山の中で用を足すわけにはいかないし、川で洗濯をするのもこれから季節が進んで水が冷たくなるとキツイからだ。そもそも洗剤せんざいを使っていないので、汚れが落ちにくい。


 そして俺は、簡単な図面を描いたノートをスマホで撮影さつえいした。

「えー、それでは明日から、洗濯機とトイレを入れる小屋を建てようと思います、それでは」


 その動画をユーチューブで配信はいしんすると、夕食を食べてベットに入った。動画の視聴回数しちょうかいすうを確認してみると最近の動画の中では一番、多かった。コメントも、もらった。『おお、小屋を増築するのか。ガンバレ』、『だんだん、生活しやすくなりそう』、『面白いです。がんばってください』など。俺はまたもコメントにはげまされ、眠りについた。


 次の日。朝食を食べると早速、小屋を建てることにした。一度、小屋を建てているから、必要なモノも分かる。土台どだいになる束石つかいし、屋根になるポリカーボネート波板なみいただ。それと窓とドア。俺はそれらを、長野市のホームセンターとZ市の住宅用品を取り扱う会社から買ってきた。更にZ市のホームセンターで、断熱材だんねつざい壁紙かべがみを買った。小屋の前にもう一つの小屋を作るので束石を並べていると夕方になったので、その日の作業は終わりにした。


 朝になるとまた、小屋を建てる作業を続けた。一度、建てているので作業はスムーズだった。束石に長さ三十センチの柱をはめ込む。その柱に板を打ち付けて床にする。更に柱を口の字のようにゆかはしに立てる。あとは柱に板を打ち付けて壁にする。三面に壁をつくると新しい小屋にもドアと窓を付けた。こうして新しく建てた小屋のドアから中に入り、更に奥にあるドアを開けるとベットがある小屋に入れる。そして、断熱材と壁紙も貼って屋根を取り付けた。これで二つの小屋ができて、自由にできるようになった。新しくできた小屋には、取りあえず東京のアパートで使っていた洗濯機を入れた。


 そして、ふと思いついた。洗濯機を使うには、水と電気が必要だな……。俺はまずこの小屋に、電気を引くことにした。ソーラーパネルを設置して太陽光発電もしようと思っているが、それだけでは天気が悪い日や冬は不十分ふじゅうぶんだろう。太陽光発電をして、足りない分を電力会社の電気を使おうと考えた。そこで、電気の引き方を調べてみた。すると地元の電気屋でんきやに現地確認をしてもらう、電気屋から管轄かんかつの電力会社へ連絡れんらくしてもらう、電力会社に電柱でんちゅうを立ててもらう、という手続きが必要だと分かった。


 なので俺は早速、Z市の電気屋に相談した。そして小屋の場所を確認してもらい、中部電力に連絡してもらった。中部電力によると電柱を立てるため、少し時間がかかるということだった。


 俺は電気を引く手続きと同時に、水の引き方も調べていた。まず水道すいどうだが、ダメだ。地中に水道管を通すので、お金がかかりすぎる。一メートル、五万円くらいする。また井戸いどるのもダメだ。一メートル掘るのに三万円くらいかかるし、そもそも水が出るかどうか分からないからだ。そうして決めたのが、湧水わきみずを引いてくる方法だ。湧水なら森の中で見かけたことがあるし、安いポリエチレンパイプで引けそうだからだ。


 湧水を引くためには自治体に水質調査すいしつちょうさをしてもらった方が良いらしいので、してもらった。すると俺が見つけた湧水は、飲んでも問題が無いことが分かった。なので早速、湧水を俺の小屋に引くことにした。まず湧水が流れ出ている場所に、プラスチック製のおけを置いた。ここにたまった水を俺の小屋まで引くのだが、これなら他の人も湧水を飲めるだろう。そして桶に穴をあけて、ポリエチレンパイプを差し込んだ。そしてZ市のホームセンターから五十メートル分、買ってきたポリエチレンパイプをつなげて、俺の小屋まで引いた。


 俺は、俺の小屋よりも少し高い位置にあるこ湧水を選んだ。だから俺の小屋まで少しずつだが、水が出た。俺は小屋と畑の間にプラスチック製の桶を置き、そこに水がたまるようにした。これなら小屋に水を持ってきやすいし、畑にも水をまきやすい。


 数日かかって湧水を引く作業が終わるとその間に、中部電力が俺の小屋まで電柱を立てて電線を引いてくれた。それから電気屋が小屋にメーターボックスと電気ボックスを付けてくれて、電柱の電線から小屋まで電気を引いてくれた。費用ひようは全部で、約十万円かかった。なので俺は早速、洗濯機で洗濯をしてみた。水は貴重きちょうなので洗濯をする時に一回、すすぎをする時に一回、水を入れて洗濯してみた。ちゃんと洗剤を使って洗濯をすると、これまでの汚れが一気に落ちた。


 それから、トイレも作った。洗濯機の横の床に穴をあけ、和式わしき便器べんきを付けた。その下にプラスチック製の桶を置いて、便べん尿にょうは畑にまく肥料ひりょうにすることにした。


 更に、風呂ふろも作った。俺は最初、コンクリートブロックで土台を作りその上に木造もくぞうの風呂を作って、まきで風呂をかそうとした。でもこれだと、木造の風呂が燃えてしまう……。なので、ドラムかん風呂を作った。コンクリートブロックで土台を作り、その上にドラム缶を置いた。ドラム缶は、アマゾンで買った。

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