第十五話
俺が頷くと、
「こんなに
道夫さんは家に着くまで、テンションが高かった。だから俺は、酒はあまり飲めないとは言えなかった。だが今日は、不思議と飲みたくなっていた。俺も小屋が完成したのは嬉しかったし、一度道夫さんと飲んでみたいと思っていたからだ。家に着くと道夫さんは玄関で、大声を出した。
「おーい、ばあさん! 酒の用意をしてくれ! 今日は、飲むぞー!」
そして道夫さんの家の
「ほんと、すごいですねえ」
俺と道夫さんはビール、日本酒、そして道夫さんのとっておきの高級なウイスキーも飲んだ。もうこれ以上は
そして朝になると、おばあさんに起こされた。
「はいはい二人とも、もう起きてくださいよ。もう八時ですよ」
俺はそのまま居間で、朝食をごちそうになった。大根の
「よかったら今度、作り方を教えますよ」
すると道夫さんは、聞いてきた。
「あんちゃん、これからどうするんだ?」
そう言われて、俺は考えた。これから、何をしたらいいんだろう? 取りあえず、小屋は建てた。でも俺のゴールは、そこじゃない。俺のゴールは大きな
その人に会えばこれからどうしたらいいか、ヒントをもらえる気がした。だがその人が、どこに住んでいるのか分からなかった。なので取りあえず、道夫さんに聞いてみることにした。
俺は朝食をごちそうになった後、おばあさんが出してくれたお茶を飲みながら道夫さんに聞いてみた。
「あの、このZ市で自給自足の生活をしている人を知りませんか? 以前テレビで、見たんですけど……」
すると道夫さんは、
「ああ、
そして、
「でも一人で小屋を建てちまったあんちゃんも、立派な有名人だ! がはははは!」
俺は礼を言うと、道夫さんの
玄関があったので中に入って、俺は声をかけてみた。
「すみませーん! 誰かいらっしゃいますかー?」
するとお腹が大きな、純日本風の美人が現れた。
「はいはい、いらっしゃい……。えーと、どちら様ですか?」
俺は、
すると女性は柔らかに
「ああ、そうなんですか。へえ、自分で小屋を建てて……。はい、ここは確かに利久の家です。今、家の裏で畑仕事をしているので、呼んできます。ちょっと待っててください」
と、家の奥に戻った。少しすると日に焼けて、たくましい表情の男性が現れた。俺は、思い出した。この人こそテレビで見た、利久さんだと。利久さんも柔らかに微笑んで、告げた。
「妻から、聞きました。何でも、自分で小屋を建てられたとか。私の方こそ興味があるので、お話を伺いたいです。まずは、上がってください」
俺は一礼すると、玄関から中に入った。左に曲がると広いスペースがあり、何と
「あ、彼女は私の妻で、
久美子さんが頭を下げたので、俺もつられて頭を下げた。すると利久さんが、聞いてきた。
「それじゃあ、どうして山に小屋を建てたのか聞かせてもらえますか?」
俺は、正直に答えた。会話が苦手な俺は、会社で
すると利久さんは、微笑んだ。
「なるほど。それにしても小屋を自分で建ててしまうのは、すごいです。一体、どうやって?」
「はい。ユーチューブの動画を見て、勉強しました」
「なるほど、すごいです。私には、そこまでの行動力は無かったです。この古民家は空き家だったので、安く買ったんです」
俺は、
「なるほど、そうでしたか」
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