第38話 宝石集め

それから二ヶ月。俺はあの宝石とアクサが頭から離れなかった。


今の暮らしには当然満足していたし、あんなつまらなかった元の日常には戻りたくもないと思っていた。だからこそ、あまり魅力には感じなかった。事実ならこれからこの世界は史実とは違う未来に進んでいく。小田原征伐が起きないかもしれないし、氏照様や氏政様が死ぬことがないかもしれない。


そんな中、葉月が話しかけてきた


葉月「最近落ち込んでいるのか?四郎らしくもない。僕でよければ話を聞くよ?」

四郎「うん…この前こういうことがあってさ…」


そうして俺はあの老人の話をして、白色の宝石を見せた


葉月「それなら僕も持ってるよ。目を覚ましたら懐の中に入っていたんだ」


そういうと、緑色の宝石を渡してきた。

確かに持っている宝石と同じ見た目をしている。そして俺は確信を得た。


四郎「これって伊賀のあの神殿にあった円盤にちょうどハマりそうな形じゃない?」

葉月「そう言われてみれば確かに…」

四郎「ううん…」

葉月「それは四郎にあげる。僕はよくその話を理解できないし四郎が持っていた方がいい気がする」

四郎「わかった。俺が預かるよ」


そういい懐に仕舞う。しかし気づいたら懐から出てきたか…


師走「これを持っているものは関東から出れない」


その言葉が頭をよぎる。もうわけわからない。


そしてその宝石を見つめると…それぞれに師走と葉月という文字が刻まれている。なんの数字か?確か日本の旧暦って…


睦月

如月

弥生

卯月

皐月

水無月

文月

葉月

長月

神無月

霜月

師走


って…紙に書いて驚く。葉月の宝石を持っていたのは葉月だ。ということは…

たまたまということかもしれない。しかし何か気になった俺は身近にいる旧暦の名を持つものを思い浮かべる


長月さん、親父(文月)、睦月さん、皐月さん。


とりあえず近くにいるのは睦月さんと皐月さんか…あとで聞いてみよう…

そう思うと紙をしまい、忍城へと足を向けるのだった。


その頃…


長月「ハァ…なんなの?これ」


長月は伊賀の里に入れないでいた。入ろうとすると凄まじい電撃をくらい、動けなくなるのだ。気づいたら懐に入っていた紫の宝石を船人に預けると入ることができるけど自分で持つと入れない。


長月「でもな…」


長月は四郎と同じ考えを浮かべる


長月「これ多分神殿のとこにハマるよね?うーん…」


ここで疑問が出る。関東には入れたのになぜか伊賀に入らないこと。


長月「めんどくさいけど一回関東に戻るか…ハァ…」

船人「代金はちゃんといただきますからね」

長月「わかってますよ」


そうして船は来た道を引き返すのだった。

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