第36話 乗っ取りと呆気ない終わり

パァン!


乾いた音が鳴り、目の前の武者が崩れ落ちた。それを放った佐竹常陸介義重は笑みを浮かべ、そこを去っていく。


宝衍「殿?殿?」


僧は慌てて彼に近づくが、すでに息をしていない。


宝衍「おのれ!佐竹常陸介め!怪しいとわかっていた!おかしいと!なぜこんな大同盟を組んだのに別働隊を用いなかったのかと!まさか…ふざけるな!」


僧は叫ぶ。しかし


義重「うるさいぞ」


いつのまにかいた義重に脳天を撃ち抜かれた。此処に、鎌倉時代から続く名門、佐野家は滅亡したのだった。

そして狼煙が上がる。近くにいた佐野兵は皆佐竹兵に撃たれ、みたものは北条方以外誰もいない。


義重「お主にも死んでもらう」


そう言った義重は鉄砲を取り出し、撃つ。

次の瞬間、俺の意識は落ちていった。


康邦side


氏朝が胸を貫いたのを遠目で見れた俺は乾いた後に気づいてはいなかった。そんだけだ。周りの歓声が大きかったのは。しかしなぜだろう?次の瞬間、氏朝が眉間を打たれ落馬していった。


氏直side


大きな歓声が上がる。よくやってくれたようだ。しかし様子がすこしおかしい?


綱成side


急に本陣が脆くなり、佐竹本陣に突入を成功させた。さっきの歓声は氏朝と康邦だろう。しかし佐竹本陣には肝心の義重と義宣がいない。何処にいった?


憲秀side


歓声が上がる。佐野宗綱を打ったのか!

まずは安堵。しかし次に来た報に驚いた。それは…佐野宗綱と佐野宝衍が氏朝に殺され、それを義重が殺したというものだ。ありえない。なぜ義重がそこにいる?宝衍もそう簡単に死にはしない。それこそ不意を打たれない限り。


義重side


邪魔なものどもは死んだ。あとはこの戦を綺麗に終わらせるだけだ。正直佐野の本心には気づいていた。刺客を俺に送っていたことも。先手を当てたのは大きかった。しかしなぜだろう?何者かに唆された気がしたのは。


?side

「よし!」

「どうかしましたか?」

「義重がやってくれたわ!」

「常陸に送っていた密使からの使いですか…それで、なにがあったんですか?」

「佐野が消えた。これで俺の関東進出はかなり楽になったわ」

「佐野をやったんですか!しかも佐竹を使って?よくできましたね」

「俺の策略は天下一よ!あとは最上の叔父が動かなければいいが…」

「先に関東出るんですか?東北を先にやらないと…」

「今が1番な好気なんだ。蘆名の足止め、頼むぞ」

「おまかせあれ」


舘山城を意気揚々と出たのは、独眼竜こと、伊達侍従政宗と、片倉小十郎重綱だった

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