第12話 史実と違う?
四郎「うーん」
俺は目を覚ます。すごく体が痛い。そりゃそうだ。あんな高いとこから落ちたんだ。痛くないわけが無い。しかし開いた目が写したのは、なぜか木目のある天井だった。しかし横には葉月の寝息が聞こえ、それを見て少し安心した。
四郎「ここは?」
睦月「忍城よ。あなたたちは何故か道端に倒れていたから成田氏長様が忍城に連れて帰ったの」
忍城…小田原攻め豊臣家の大軍を守り切った成田家の本拠か…しかし俺たちは伊賀にいたはず…何故?
皐月「お姉ちゃん…氏長様が呼んでるよ」
睦月「わかった!すぐ行く!」
そう言った睦月さんは文字通り飛んでった。
そこから俺は皐月さんに説明を受け、未だ起きない葉月の世話をしつつ、場内の仕事を手伝ったりしていた。
氏長「四郎殿、調子はいかがか?」
泰親「何かあったら我らに言ってくれ」
ここの城主である成田氏長様とその弟御、泰親様はとてもお優しい方で孤児を忍城に連れて、育てているようだ。睦月さんと皐月さんも同じで、だからこそ、お二人に異常なまでの忠誠心を持っていた。
そして、そこから2週間。
神流川にて織田家と大きな戦があった。世に言う神流川の戦いだ。それを聞き、あれからすでに二ヶ月が経過していることを知った。
そこからは情報が入ってくる。
「織田信長が明智光秀の謀反にて死去!」
「明智光秀が羽柴秀吉に殺された!」
「徳川家康が甲斐に侵攻した」
「真田昌幸が徳川家康についたぞ」
「上杉景勝が信濃に攻め込むらしいぞ!」
などなど。
そして「伊賀が壊滅した」わかっていたけど辛い。それは北条家に逃げ込んできた柘植清弘さんが伝えてくれた
清弘「お主たちが消えてから、織田家の侵攻が過激化したのだ。それでも筒井順慶を討ち取ったり、蒲生氏郷に重傷を負わせたりと奮戦していたのだが」
四郎「筒井順慶が死んだ?」
清弘「ああ。百地様が夜襲をかけて殺害した。屍鬼の筆頭、《錙豹》の手で会えない最後を迎えたそうだ」
清弘「それでも大軍を前になすすべもなく、我らは伊賀を逃れ、志摩に移動している」
歴史が変わっている。史実では筒井順慶が奇襲されるも長政は奇襲されてないし、順慶は死んで無い。伊賀忍軍も志摩に逃れず、信長は伊賀忍軍を完全に壊滅させたはずだ。
そして何より驚いたのは
「織田信忠が生き延びた」ことだ。
本来なら二条城で討ち死にするはずだったが、奇襲に備えて兵を多く引き連れていたそうだ。いろいろ状況が変わっていて、自分の知識では賄えない。だが、こんな世の中だからこそ、世界が楽しく感じられるのだった。
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